うなぎの波動
吸い込まれる瞬間
おぼえてる
水の中のように耳の中が真空になっていく
遠のく意識と
鋭くなる感覚
生まれる前のことを思い出していた
小さな粒だったわたしは海の中をただ漂ってあなたに辿り着いた
遠くで汽笛の音が聞こえる
こどもたちの笑い声
夢みたい
繋がりはそう切れない
結び目がどんどん増えていくだけ
吸い込まれた先の今は
生暖かい泥の中だ
突然やってくる電流の他には
何にもない
うなぎの波動
空気の音
植物が少しずつ少しずつ大きくなりやがて朽ちていく音
繋がっていたのはどこまでなのか
繋がっているべきなのはいつまでなのか
終わりはあるのか
🍫