私の本籍は新長田にある。
先日機会があって、
大人になってから初めて新長田に行った。
駅周辺をぐるっと歩いて古い街並みも見てまわった。

少し前にNHKのドキュメント72時間で
取り上げられていたが商店街がたくさんあり
すじ焼きやそばめしが有名。
（すじ、すじこん、とは牛すじとこんにゃくを
甘辛く煮たおかずである。）
迷うことなくすじ焼きを注文し、
寂れた古い商業施設内のベンチで食べた。
この時も思ったが、
最近1人でその辺で座って何かを食べたりすることに抵抗が全くなくなってきたな。
良いことなのか悪いことなのか…

外であまりお好み焼きを食べる機会はないのだが、やはり専門店はいつもおいしい。
しかもめちゃくちゃ安いのは長田価格か。
ありがたい。
割と大きいサイズのお好み焼きだったが、
美味しくてペロリと平らげてしまったので
帰りにもお土産にする帰るために、
もう一度お店に寄った。
そこでは今川焼きも売られていて、
粒あん白あんカスタードあんの3種類がある。
私は天邪鬼なので、
こういう時に絶対粒あんは頼まない人間。
カスタードくださいと言うと、
あー今はカスタードないわーと言われてしまう。
あーそしたら白あんで。

途中見つけたお肉屋さんでは
すじこん入りコロッケを発見し、即購入。
お土産がいっぱい手に入りほくほくした気分で
家に帰った。

晩御飯の後、今川焼きを少し温めてかぶりつく。
たぶん、何の変哲もない普通の今川焼きなのに
なんとなくいつもとは違った味がした。

震災の跡がそこかしこに見え隠れしているような
息をひそめながら、地底に眠っているような
静かだけど、何かを感じるような新長田で
過ごし感傷的になっていたのかもしれないが、
その白あんの味が優しくて
なぜか泣きそうになった。
一口ずつ、しみじみとおいしかった。
今川焼きを食べて泣きそうになることなんて
後にも先にもないだろうな、と思ってこれを記す。

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