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"チャイナ"と呼ばれるわたし達

「ニーハオ!ニーハオ!」
「ハロー!チャイナ!」

街を歩けば私に向かって飛んでくるのはこんな言葉達だ。
無論アフリカの人々にとってアジア人の顔を見分けるのは非常に難しい。ましてナミビアには元々かなりの数の中国人が住んでいたので、アジア人=中国人という先入観が根付いていることに不思議はない。

でもね。
私は日本人なの。
せっかくならばナミビア人に日本の事を知って欲しいし、日本人としての自分を認識して欲しい。今日はそんなアフリカにおけるアジア人の立場について綴ろうと思う

1."チャイナ" と呼ばれて

決して中国や中国人を悪く言う意図はない。
だが "チャイナ"と呼ばれると「ちがうよ!」「中国人じゃないよ!」と訂正したくなる。それはきっと名前を間違えられたときに「ちがうよ!」と言いたくなる気持ちと同じだろう。どうやらわたしには日本人としてのアイデンティティがきちんと備わっているらしい。

人種など関係ない。
人類みな兄弟だ。

世界平和を謳う上で稀にこういう価値観に出会う。
だが人種や国籍は大切なアイデンティティであり、否定すべきものではない。大切なのは"人種"という繊細な話を無視せず、互いに認め合うリスペクトの心ではないか。

具体的に一歩踏み込んでみよう。
例えばナミビア人に「チャイナ!チャイナ!」と呼ばれたとき、そこにはどんな意味が込められているのだろうか。

馬鹿にしているように聞こえるだろうか。
察するにそう呼んでくる人達に、一切の悪気は無いのではないだろうか。もしこの状況を想像して「馬鹿にされてるな。」と感じた方はいま一度考えを改めて欲しい。それは恐らく先入観だ。

例えば、日本人も海外に出たときは外国人に対して当たり前のように「ハロー」と声をかける。相手の言語を話す努力をする事は相手に対するリスペクトでもあるのだ。ただフランスやイタリアなどの母国語を話す国の人々にとっては、英語で話し掛けられることはいい気分ではないらしい。英語はアメリカやイギリスのもので、我々は我々の言葉を話すんだぞっ!という気持ちになるらしい。

あくまでも一般論だし、
これはもちろん人による。

ただ「ハロー」と言う私たちに悪気はない。
同じくナミビア人にとってアジア系の人を見掛けたときに「ニーハオ」と話し掛けるのは、相手の国の言葉で話そうという努力、彼らなりの誠意なのかもしれない。そこに差別的な意識は存在しない。単に他民族を受け入れようとするナミビア人の努力の表れなのだと感じる。

そう感じ取るようになってからは、チャイナ呼びやニーハオという挨拶を否定せず受容できるようになってきた。

2.受容が得意な多民族国家

ナミビアは複数の民族が一堂に会する多民族国家である。多民族が同じ国で共生するためには互いの文化へのリスペクトが必要不可欠である。

日本に住んでいると同じ国に違う民族が暮らしているイメージが掴みづらいが、つまりはそういうことである。

もともと多民族がいて当たり前の文化の中では、アジア人だろうがなんだろうが相手の文化を受け入れるだけの心の余裕、素地が備わっているのだ。これは日本と大きく違う部分だろう。

だからこそ、私もすぐに職場に受け入れてもらえたし、みんな日本語を覚えようとしてくれる。これはひとえにナミビア人の寛容な心によるものだと感じる。広い心で受け入れてくれるナミビア人の同僚たちには感謝しかない。

私の職場にもたくさんの民族の方がいる。
アフリカーンス語が母語の方もいればオシワンボ語が母語の方もいる。へレロ語、ダマラ語など細かく見たらキリがない。だがその文化が混ざり合う状況を"当たり前" として一緒に働いている姿は素晴らしいと思う。

まさに互いの文化を尊重してこそ成り立つ環境である。

3.圧倒的マジョリティ"中国人"

ご存知の通りこの地球上マジョリティは中国人である。ナミビアにも実際に多くの中国人が暮らしており、日本人は少ない。

そんな状況の中で日本人の存在をアピールしていくのは難しい。なんせナミビア人から見たらみんな同じに見えるのだ。ただ、「私は日本人だよ。」と伝えた時に喜んでもらえる事が多いのでその点に関しては日本人としてありがたく思う。

今後もおそらく日本人が街を歩けば「ニーハオ」と言われるだろう。だがそこにはなんの他意も無いのだと思う。「ニーハオ」と言われたらまずはアジア人へのリスペクトに感謝して、その上で「こんにちは」と言う言葉を知ってもらえればそれで良いのではないだろうか。

中国人へのリスペクトも忘れてはいけない。
「ちがうよ!」と否定するだけでは中国の方に申し訳ない。お互いの文化を尊重しつつ、中国人と日本人の違いをうまく説明できるようにならないといけないと思う。

そういった意識をベースに持ちつつ、自分の生活圏内くらいはアジア人を見ると「こんにちは」と言う習慣が定着するといいなぁと密かに企むおーくぼなのであった。

ではまた!

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