見出し画像

ささやかなしあわせを紡ぐ、くらしの彩り #買ってよかったもの

今年の春から夫との2人暮らしがはじまり、初めての冬を迎えようとしています。

年の瀬には、1年という月日の短さを実感するのが常ですが、今年はいつもより長く感じました。

3月までは実家から美術館に勤務して、4月から新生活がはじまって、5月に小さな結婚式をして、修士論文を書いて、9月に卒業、そこから就職活動をして、と盛りだくさんな1年だったからでしょうか。

涼しい地元から、暑苦しい街に引っ越してきたので、夏がものすごーく長かった(と感じた)せいもあるかもしれません。


がらりと生活が変わって、ようやく慣れてきたところで、また来年から大きく生活が変わろうとしています。

春からは学芸員としてのお仕事がはじまります。それにあわせて引越し、そして車で通勤することになりそうです。
配属先候補の美術館は複数あるので、どの街に暮らすことになるのか3月下旬までわかりません。

今度引っ越すなら、図書館の近くに暮らしたいな、家の近くに公園があるといいなと妄想しています。


また大きく暮らしが変わっていくことになりますが、今年の4月からの暮らしを振り返ってみると、私の憧れが詰まった暮らしでした。

子どもの頃、親が買っていた雑誌の特集が気に入って、その雑誌をもらったことがあります。
その特集は、「持ちすぎないから、豊かな暮らし」。
その出版年を見ると2005年とあるので、私が小学生の頃です。

この雑誌の中では、厳選されたお気に入りのものに囲まれて暮らしている人たちが取り上げられています。

その中に、「少しでいいもの・たくさんほしいもの」という記事があって、私だったら、服は少しでいいな、本はたくさんほしいなと考えたりしました。


ごく最近も、いいなと思った特集が組まれた雑誌を買いました。
その特集は「暮らしにもっと『軽さ』を」でした。

この雑誌を見比べて、三つ子の魂百までと言いますが、人ってあまり変わらないのかもと思いました。

お気に入りのものだけを持って、なにかに縛られることなく軽やかに暮らしたいなと私はいつも思っているようです。

ただ、そんなふうに思うのは私だけではないのでしょう。
金銭的な豊かさを求めた時代から、心の豊かさを求める時代へと変わりつつあるような気がします。

いま、私は、家賃5万円くらいの小さなアパートに暮らしています。

それは裕福な暮らしとは言えないかもしれませんが、私はわが家の暮らしをとても豊かだと感じています。

何もかもがそろっているわけではない。
でも、満ち足りていると感じます。

それは、たぶん、くらしの中に彩りがあるからだと思います。

以前の記事でお話しましたが、私の家には、一見するとモノは少なく、高級品もほとんどありません。

でも、よく見ると、家のあちこちに、なくても困らないものがあります。

なくても生活に支障はないけれど、あると心がほっとするようなもの。

ほかの人からみれば不要なものかもしれない。

でも、それは、私にとっては、余計なものではなくて、必要なもの。

生活に潤いを与えてくれるエッセンスのようなものです。

今日は、そんなくらしを彩るさまざまなものたちについて、今年手に入れたものたちを中心にお話してみます。



布が一枚あれば

イタリアに留学していたとき、毎日テーブルにクロスをかけて食事をしていました。

ルームメイトたちにとって、それはごくあたりまえのこと。

布を一枚広げるだけなのに、それだけで部屋がぱっと明るくなります。

はじめはテーブルクロスに食べ物をこぼしてしまわないだろうかと、私はヒヤヒヤしていたのですが、たとえ汚してしまっても、洗えばいいだけ。

わが家では今年クロスを2枚買いました。

毎日クロスをかけることはありませんが、お客さんがくるときや、休みの日にテーブルクロスを広げています。

クロスを広げて、お花を活けると、ちょっといいレストランに来たような気分。

お客様がいらした日のテーブル


テーブルクロスを半分に折って、ベッドスローにすることもあります。

よくホテルで見かけるので真似してみました。

なんとなく、インテリアがキュッと引き締まって見えて、気に入っています。


カランコロンきのこ


突然ですが、これ、なんだかわかりますか?

このきのこみたいなものは、実はドアベルです。

カランコロンと、澄んだ音が鳴ります。

私の今年の誕生日に、前からほしかったこのドアベルを夫・ぺこりんにおねだりしました。

昔ながらの喫茶店には、ドアベルがついていることがありますね。
私の通っていた絵画教室の扉にもドアベルがついていました。

ドアベルは、お客さんの出入りを店の人に気づかせるためのものだと思いますが、その澄んだ音が響くと、訪問を歓迎されているようなきもちになります。

わが家にお客さんが来ると、その音にみなさん気づいてくれます。

でも、わが家にはお客さんが来ることは少なく、今年私は家にいることが多かったので、このドアベルの音は、もっぱらぺこりんの退場音・登場音と化しています。朝夕に鳴ります。


玄関には、カランコロンきのこのほかに、もうひとつかわいいものがあります。それがこのくまさん。

かわいいお顔立ち

これは、本来はコードをまとめるクリップとして使えるくまさんなのですが、わが家では玄関で自転車の鍵を預かるくまさんになっています。

両方の手に磁石がついているので、片手でドアを掴み、片手で鍵を掴みます。実に有能なくまさんです。

この使い方は、鍵を頻繁に失くす私のために、ぺこりんが考案しました。


動く彫刻

寝室に、動く彫刻があります。

動く彫刻とは、モビールのこと。

写真の窓際に浮かぶ三艘のヨットがそれです。

木と紙と糸でできていて、とても軽いので、わずかな風でゆらゆらと動きます。

これを選んだとき、ぺこりんから、「珍しくカラフルなものを選んだね」と言われました。

基本的に家にあるものは、白、木の色を基調に、水色(またはミントグリーン)を差し色にしています。

けれど、このモビールの三原色は表面積が小さいので調和を乱すことなく、モンドリアンのコンポジションのように絶妙なバランスで部屋をモダンにしてくれます。

ふと視線をあげたときに、この小舟たちが目に入ると、心が凪ぎます。

ものすごく軽いので、画鋲で簡単に天井に留められます。
贈り物にもおすすめですよ。


光の彫刻

わが家の別の窓辺に吊るされているものがあります。

それは、光の彫刻・サンキャッチャーです。

サンキャッチャーは太陽の光を受けると、七色の光の欠片をお部屋の中に散りばめます。そんな光を見ると、今日もいい日になりそうだなぁと思えるのです。


小さな「好き」を詰め込んで

ダイニングに、私の好きなものを詰め込んだスペースがあります。

小さなお家、ドライフラワー、ランプなどが並んでいます。

その一角は、完成された場所ではありません。
少しずつ、完成されていく場所です。いただいたものや、買ったもので、少しずつ華やかになってきました。

夏頃に撮った写真


今日撮った写真

余計なモノを増やしたくないというきもちもありますが、私にとって、心が動かされたらそれは余計なモノではなく、必要なモノ。

それは、浪費ではなく、自分の目や心を養うために必要な自己投資です(と、お財布に言い訳しています。)

さて、新入りさんたちを紹介しましょう。

ぬぽーっとした顔の、木のくまさん
秋之野窯の「陶の家」シリーズ。
右の2つが今年お迎えしたもの。
こちらはnoterの志麻さん・ramさんが遊びにいらしたときにいただいたリース。
「趣味に合わなくても困らないように、季節のものにした」と、お二人は仰っていましたが、
とてもかわいいので、季節が過ぎても、ずっと飾っていたい。


お花を飾る

地元には、好きな花屋さんがあったのですが、引っ越してきてからは近くに花屋さんがないので、スーパーの生花コーナーでかわいい花を見かけたときに買っています。

立派な花束じゃなくても、立派な花器がなくとも(この写真は以前もお見せしましたが、焼き肉のタレの瓶です)、お花がそこにあるだけで、気持ちがシャンとします。

お花の写真をnoteに載せるとほめていただくことが多いので、草月流のいけばなを習っていたときに学んだ、お花を活けるコツを簡単にまとめてみます。

①お花の長さは、器の大きさの約2倍。
花の長さは、短すぎても、長すぎてもかっこ悪いので、家で器の長さにあわせて切ります。

②正面、横、後ろから見ても、きれいなように。
正面から見てきれいにするようにするのが基本ですが、後ろから見ておかしいと、前から見ても変です。すべてを前に傾けるのではなく、1本くらい(あまり目立たないもの)を後ろに向かせてあげるといいです。

③全部を活かさなくていい。
買ってきたお花は、もったいなくてすべてを活けてしまいそうになるのですが、それだと逆にすべてを台無しにしてしまいます。
傷んでいる葉っぱやお花は潔く切る、水に浸かる部分の葉っぱは取り除く、葉っぱが多すぎて花を隠してしまっていたらそれも切ってください。

もっと細かなルールがいろいろとあるのですが、好きなように楽しんで活けることも大事です。


生花は、傷んでしまう前に、水に浸かっていた部分を切って、吊るしておくとドライフラワーになります。ドライフラワーにしやすいのは、バラ、カーネーション、かすみ草や枝ものなど。
ドライフラワーを買うよりも、生花を楽しんでから、ドライフラワーにしたほうがお得ですよ。

フェイクグリーンもかわいいものがたくさんありますね。寝室には籠の中にフェイクグリーンを飾っています。


おうち図書室

実家では、カラーボックスに本を並べていましたが、いつか本棚がほしいなぁとずっと思っていました。 

新しい生活がはじまるのにあわせて、念願の本棚を手に入れました。

これは、本棚その1。
本棚その2。
先ほどの飾り棚が下は本棚になっています。
ぺこりんの本棚は左上の区画1つ分だけ。
本棚その2には美術史系の本が多め。

背表紙が全部見えるように並べたいなと思っていましたが、残念ながら、もう奥と手前とで重なってしまっています。厳選して持ってきたはずなのに。

でも、一旦重ねてしまうと、もう全部重ねてしまってもいいのでは?と思えてきて、本を書い足したくなってしまいます。

本を買うときの、お財布への言い訳はこちら。

 本を買うということは、その本を「未来に読む」というひとつの約束のようなものを買うことだった。借りてきた本には期限がある。そうなると、そこにあるはずの「未来」が、あまりに短くてがっかりしてしまう。
 一方、自分のものにした本には、限りない「未来」が含まれていた。
 本を買うというのは、「未来と約束すること」なんだと気がついた。

吉田篤弘『金曜日の本』中央公論新社、2017年、p.69

そうです、私は、「未来と約束する」ために、本を買うのです。本を買うとき、私のお財布の紐は緩みがちです。

今年買って、特によかったなと思う本を10冊選んでみました。

図書館で借りてほしいと思っていた本(『日本文化の歴史』『エッセイの書き方』『長田弘全詩集』)、好きな作家さんの本(『僕が考える投資について』『金曜日の本』『物語のなかとそと』『風街のふたり』)、本屋さんや古書店でこれは良さそうだと思った本(『20世紀の日本美術』、『庭園美術館へようこそ』)、noteの勉強会をきっかけに知った本(『毎日のあたらしい料理』)

電子書籍も読みますが、今年読んだなかでは、この2冊が特に面白かったです。


本棚に並ぶ、大好きな本の背表紙を眺めているだけで、ほくほくします。幼い頃から図書館に住みたいという妄想をよくしていたのですが、家に本棚があると小さな図書室に暮らしているような気分になれます。

本物の図書館でも、2週間ごとに7~10冊借りているので、ほしい本は増える一方。

でも、1冊増えるたびにうれしくなれるから、一度にたくさんの本を買うんじゃなくて、少しずつ集めていきたいなと思っています。


食卓の彩り

4月から新しい生活がはじまって、毎日料理するようになりました。

初めはちゃんと毎日つくれるだろうかと不安でしたが、つくりはじめてみると、楽しくて、気づけば毎日楽しく料理できています。

私が楽しく料理できている理由を改めて考えてみました。
家にいる時間が長かったことに加えて、ぺこりんが褒め上手なこと、そして、両親が料理上手だったことが挙げられます。

おいしいと褒めてもらえると、自信にもなるし、また明日も頑張ろうと思えます。

そして、あたりまえのことですが、おいしいものをつくるには、おいしい味を知らないといけない。夫からおいしいとほめてもらうたび、おいしいものをつくりつづけてくれた両親にありがとうと思っています。

そして、私の料理をおいしくする、もうひとつの大事な要素は「器」

私と夫が選んだ食器たちは、私のつくる料理にあわせて選んでいるので、料理をおいしそうに見せてくれます。

どれもお気に入りの食器ですが、特に気に入っているものを紹介します。

パスタ皿兼カレー皿。
花柄のお皿。
麺類用のどんぶり。
小どんぶり。


わが家の食器は、宮城県石巻市にある観慶丸本店で買ったものが多いです(上の写真だと花柄のお皿以外すべて)。
私の大好きなお店です。
商品の並べ方がとても美しくて、そのセンスにいつも惚れ惚れします。宮城に行くことがあれば、ぜひそのセンスに酔いしれてみてください。


「かわいい」を纏う

衣食住のうち、衣は私がもっとも力を入れていなかった分野です。
特に、今年は家にいることが多いせいか、あまり衣服にこだわらなくてもいいかと思ってしまっていました。

でも、街中でお洒落な人を見かけると、ステキだなと憧れると同時に、お洒落な人を見かけただけで晴れやかな心地になれます。きっと、お洒落って、自分のためだけじゃないんだろうな。

来年からは、少しずつお洒落にも気を配れるようになりたいです。

最近、身に纏うものの中で、買ってよかったと実感しているのが、腕時計です。

腕時計が壊れてから、買い替えずにいました。家に時計があるし、必要なときはスマホを見ればいいかと。

でも、就活をするにあたって、気合を入れるために時計を買うことにしました。
いままでの生活なら時計がなくても支障はないけれど、仕事には時計は必需品。この時計をして、仕事をする自分を思い浮かべました。

結婚指輪と同じピンクゴールドの時計。文字盤の文字のフォントもかわいらしく、文字盤の大きさも私の腕に合っています。

お気に入りのものを身に着けていると、自分に自信がもてるような気がしますね。お気に入りのものに似合う私になりたい、と思えます。

私が購入した時計はatelier C-Brainのものです。美しい時計をたくさん扱っているブランドです。


私の身近なところに、いつもお気に入りのものを纏っているお手本がいます。

それは、私の夫ぺこりん。

ぺこりんが身に纏うものは、いつもどこかかわいらしいです。

夏には、これ着て会社に行っていました。笑
このカメレオンは、ぺこりんに似ています。
いわさきちひろの絵柄Tシャツ。
ぺこりんのTシャツのほとんどがグラニフのものです。

そして、ぺこりんは気に入ったものを長く大事に使っています。
私もモノは大事にしたいと思っていますが、服はセールのときに買ってしまいがちで、ぺこりんほど長く大事にしていません。


ちなみに、私が選ぶ、最近のぺこりんの服のイチオシはこれ。

モデルさんが着るとかっこいいですが、小柄なぺこりんが着ると、その姿は、まるでテディベア!

心の声で「テディベアにしか見えない!」と叫んでいた私ですが、意図せず声に出してしまっていたようで、ぺこりんは「テディベアじゃないもん!」と憤慨していました。

でも、最近ではぺこりんも、このフリースを「着るテディベア」と呼びはじめています。

身近な人にテディベアになってほしい、あるいは自身がテディベアになりたい方に、おすすめの一着です!


長々と、わたしのくらしの彩りについて書いてきましたが、改めて考えてみると、わたしのくらしにとって、なによりの彩りは、ぺこりんの存在かもしれないなと思いました。

ぺこりんが仕事から帰ってくると、部屋全体がぱぁっと華やぎます。

ぺこりんのおかげで、毎日がきらきらしていました。

めでたし、めでたし。


この記事が参加している募集

買ってよかったもの

このデザインが好き