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【2022最新版】支援措置の申請をしてきました。

「支援措置」とは?

正式名称は、「住民基本台帳事務における支援措置」。

以下総務省のホームページより引用。

「配偶者からの暴力(DV)、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者は、この支援措置を利用して、加害者からの「住民基本台帳の一部の写しの閲覧」、「住民票(除票を含む)の写し等の交付」、「戸籍の附票(除票を含む)の写しの交付」の請求・申出があっても、これを制限する(拒否する)措置ができる。」

つまり、事前に申請することで加害者側(虐待であれば親や家族)に、公的記録から自分の現住所を調べられないようにできる制度である。

実際、申請しに行くのは現在自分の住民票がある(住所登録のある)各市区町村だが、この総務省記載の内容は、全国共通なのでぜひ一度目を通しておくことをお勧めします。

総務省ホームページ↓↓


(行政機関に相談する際、口頭で通じなかったときこのページをスマホでも印刷でも提示するといいかも)

この制度は2004年に制定されており、それから年月を経て少し申請方法が変わってきているらしい。

ということで、ネット上でも最新版として誰かの役に立ったらいいなぁと(私が申請をしたのは2022年4月中旬ごろ。都内)
私が申請した際の内容を一例としてここに記しておきたい。

これから申請をしたいと思っている人、どこまでする必要があるのか不安だという人、ぜひ筆者の経験を参考に、少しでも負担軽減に役立ててもらえればと思います!

「支援措置」ができる人

『配偶者からの暴力(DV)、ストーカー行為等、児童虐待及びこれらに準ずる行為の被害者』

であれば申請ができる。

ちなみに筆者は、虐待を過去に受けていたが、今まで行政に保護されたことも児童養護施設にお世話になったこともない。大人になってから、親元を離れてから「あれは虐待だったのだ」と自覚した人間だ。なので、理由があって親から逃げたい人、距離を置きたいのに親がさせてくれない人は、誰でも上記に当たると思う。

話がつくような相手であれば苦労しない。
そうではない相手への制度なので、貴方が今まで苦しんでどうしようもなかったことがあってこの措置を取りたいのなら、申請する権利がある。自信を持ってやってみて欲しい。

「支援措置」に必要なもの

必要なものは身分証明書、だけでした。

一般的には運転免許証、マイナンバーカードなどの顔写真付きのものが良いとされるが、他にも保険証や、複数点あると身分証明書として認められる書類等ある。

これらも市区町村で異なるので、わからない時は役所に電話してしまうのが一番いいと思う。役所のホームページに記載されていることもあるので、電話できない時はネットで調べてみるのもお勧め。

「支援措置」の申請のために行く場所


私の場合は、下記の通りでした。

①現在の自分の住民票がある市区町村役所(区役所、市役所等)

→所定の申請用紙を受け取り、手続きの説明を受ける。

②役所で指定された第三者機関(警察署)

→過去のどのような事実から措置を申請したいのか話し、①の用紙に相談有の記載・捺印をもらう。

③再度、①の市区町村役所

→第三者機関の捺印済みの申請用紙(②)を提出して申請完了。

一刻も早く申請を完了させてしまいたかったので私は一日で終わらせましたが、3件やることがある…結構きつかった……。

無理して一日中に終わらせなくてもいいものなので、それぞれ別日にしても良いと思う。


初めましての他人に自分の過去を話す機会が多々あるので、決して無理せず、メンタル第一でいきましょう。

②は、第三者機関であれば①で指定された場所でなくてもいいみたいなので、指定された場所に行くのが不安で他に普段相談しているような第三者機関や団体があれば、①に確認してそちらにお願いするのもいいと思う。

私の場合、役所で勧められるがまま警察署に行くことにしました。

では、ここからは私の場合の申請当日の経験談を共有します。

①自分の住民票のある市区町村の役所(区役所、市役所等)でのこと。

再度になりますが、まず必要なものは身分証明書。
忘れると面倒なので、役所に行く時は必ず持っていくことにしましょう。(今回の手続きで印鑑は不要)

役所に着くといろんな手続きによって窓口が分かれていますが、総合案内所で聞いちゃうのが一番です。ただ、私の場合最初の案内の方が「支援措置」と聞いてすぐにはわからなかったみたいで「DV等の支援措置で」と付け足したら、分かってもらえました。

いや、確かに口頭で支援措置ってだけだとわかりづらいかなとも思う。
住民票関係のことだと分かってもらえればちゃんと窓口に案内してもらえると思います。私の場合は、他の人(順番待ちの発券機の案内係)にも再度訪ねて確認しました。

ここで間違えて案内されると時間無駄にする恐れもあるので、口頭で不安な場合は総務省のサイト等見せて、「これの手続きしたいんですけど」と明確に確認した方が良いと思います。

その後、順番がきて、窓口の担当者(男性)に「DV等の支援措置の申請をしたいです」と伝えたところ、無事申請用紙をもらえました。


「住民基本台帳事務における支援措置申出書」

申請書の内容で必須の記入箇所を係の人が教えてくれました。

自分で書く内容と、この後第三者機関に書いてもらう箇所があるのでご注意を。

担当者さん曰く、「住民票」よりも「戸籍の附票」が家族であれば取得しやすいものなので注意したほうがいいとのこと。「どちらも取得できないようにしっかり手続きしましょう」と言ってくれました。
少し緊張してましたが良い人に当たったみたいです。

また、ここで訊かれたのは職業に関してと、固定資産がないかどうか。

例えば自営業やフリーランスで大きな買い物(減価償却されるもの等)しているとその関係で追加の申請?もしないといけないらしく、当てはまる人は役所でこのときに詳しく聞いてみた方がいいかも。

その後、担当者から指定の第三者機関を案内されました。

役所によって違うかもしれませんが、私の場合は今の住所(住民票と同じ)の確認され、「その住所であればこの警察署に行ってください」と警察署名とおおよそのアクセスを教わりました。

あとは用紙に記入するのも、指定の警察署に行くのもいつでもいいと言われたのですが、もちろん支援措置の執行は、申請書を提出してから。
私はその足で早速、指定の警察署に行くことにしました。

②役所で指定された第三者機関(警察署)でのこと

まず私は正直警察官にいい印象があまりありません。というのも、16の時、制服姿で逃げ込んだ交番のお巡りさんに助けを求めたのに、「実の親をおかしいと言うのはとは何事か」と説教をされ、追ってきた母に問答無用で引き渡されたからです。
そんなことを思い出しながら、警察署への道を歩きました。

警察署でも、まずは総合受付へ。

とりあえず役所からもらった申請書を見せて、「役所にここに来て手続きするように言われて来ました」と念を押しました。

受付の女性はわからなかったらしく、私の差し出した申請書の内容を入念に確認し、内線で伝えていました。

待合席で10分くらい待っていると、私服の男性警察官に苗字を確認され、奥に案内されました。

そこは簡易な取調室みたいなところで、ドアは開けたまま、彼は警察手帳を見せながら挨拶してくれました。

まず彼は私の身分証を確認し、生年月日や住所、職業を尋ねました。

ちなみにこのとき私はうつ病を患って休職中だったので、つまり無職ですか?と確認されて少し恥ずかしかったです。笑
前職の確認もされました。しっかり業務内容や所属先企業まで訊かれたので、その辺信頼性に関わるのだろうかと少しドキドキ…
ちなみにここで話した内容は役所への申請書にはそのまま書かれません。あくまで相談内容として、警察内で承認するための聞き取りのようでした。

申請するまでに至った経緯を尋ねられ、ここで初めて過去の話をしました。

社会的養護は経験がないこと、10代の頃母から暴力などの虐待があったこと、祖父母が世間体を気にして通報してくれなかったこと。最近になって母からまた電話がかかってくるようになり、身の危険を感じてこの措置をしたいと思ったこと等、順を追って詳しく話しました。

警察官の男性は、時折質問も挟みましたが、私の話が立て板に水だったのもきっとあり、終始うなづくだけでメモに集中している様子でした。

特にどんな暴力受けたか等は言いませんでした。ただいつ頃被害があったのか、虐待の事実があったことと今まで相談をしてきた人や機関の有無を話しました。
ただし、相談先の詳細等は訊かれませんでした。

特に質問を受けた中で印象的だったのは、すでにもう母が私の住所を知っている可能性はないか、でした。また、他の家族から住所が知れることもないかも詳らかに訊かれました。

また、加害者欄に生年月日の記載がないことも質問されましたが、成人してからまともに会ってないこともあり、「覚えてない」と正直に言うとそれはそうかと納得してくれたみたいです。

実際、その欄は記載がなくてもいい箇所なので、もししつこく訊かれても気にすることはないです。正直に言っちゃいましょう。

話が終わると(多分聴取は20分くらいだったかなと)、「少々お待ちください」と言ってその警察官は部屋から出ていきました。

それから小一時間くらい待たされたと思います。辛かったのは電波が全然無かったこと。笑

戻ってきた彼のその手には、警察署の捺印記名と「相談有り」の記載がされた申請書がありました。とてもホッとしたのを覚えています。

③再度、①の役所へ行った時のこと

その申請書を手に、再度役所へと足を伸ばしました。

申請の通知書は後日現住所に送られてくるらしいのですが、念の為提出前にコピーをとっておいてもいいと思います。時間経ってから申請した内容を確認できるようにしておく意味でも。

私の場合、過去の交番での一件もあり、欠かさず申請書の写真を撮りました。笑

さて、ここまでくればもうあとは提出するだけ、と思ったのですが、同じ日に再度役所に行ったのにさっきとは別の担当者(女性)に対応を受けました。


また、申請書には警察の「相談有り」の記載はありますが、内容までは記入されていないので簡単に説明を再度求められました。立ち話ででしたし、大声で話す内容でもないので私は小声で極めて簡略化した内容を話しました。

担当者の方も、警察と同じく「父方や他の家族から住所が知れることもないか」を心配していたらしく、主に質問はそれについてでした。

私も「既に警察に話したので」というスタンスを貫き通しました。

役所も忙しいから仕方のないことかもしれませんが、立ち話でできる内容じゃないことをもっと理解してもらえるといいなと思います。この辺はやはり人によっては辛く感じるかもしれません。

そして、最後に注意事項の説明を受けました。この支援措置のデメリットにもなる内容かもしれないので、下記にまとめます。

「支援措置」のデメリット、注意点

○1年ごとに更新が必要(期限の少し前に催促の通知は来る)

○コンビニでマイナンバーカードを利用した「住民票の写し」が発行できなくなる

○本人以外への開示が厳重になるため、委任状を利用した役所での書類手続き等が原則できなくなる

上記のデメリットは、申請用紙提出時に紙面でもらえたのでそれも保管するのが良いかと。
これらの説明を聞いて、申請は無事完了しました。

後日、申請の受領通知書が現住所に郵送で送られてきます。私の場合は、約2週間ほどで届きました。


申請したのに棄却されたり、加害者側に通知が行くようなことはありませんのでご安心を。

私が申請をしようとした理由、
申請してみて感じたこと。

妹からLINEで、「母が姉の住所を尋ねてきたよ」と聞いたとき、背筋が凍りました。

実家関係で、最近になって連絡を絶っていた母から何度か電話が来たりして頭を悩ませてはいたのだけれど、いざいきなり電話で「今どこに住んでるの?」と訊かれてあからさまには無視ができなかった。
曖昧に答えたのはいいけれど、いざとなれば「母親」であることを理由にいつでも現住所を知られてしまうという事実。
無視できない危機感がそこにはありました。

サバイバーの友人に最近ゾッとしたこととして、それとなく話したところ、この制度を教えてもらい、念には念をと。申請しようと思ったのでした。

支援措置を申請していると、なんらかの理由で加害者側に住所が知れてしまって押しかけられた場合(一番怖いことだと思う)、通報したり警察に相談した場合に、支援措置をしていた経歴から話が伝わりやすくなるというメリットもあるらしいです。

もちろん、そうならないことが一番だけど、私の意思表示として申請しておきたいと思ったんです。

「DV等の支援措置」と言うと伝わりやすかったのも印象的でした。

Domestic Violence:家庭内暴力。虐待も家庭内暴力の一つであることに間違いない。
しかし、往々にして「DV」という言葉は「配偶者または恋人からの暴力」を意味して、家庭内であっても女性にだけであったり、夫婦やパートナー間だけの暴力の意味に使われることが多い。

そこで昔の記憶が蘇る。虐待を受けていた当時、DVの言葉は知っていました。
母親から暴力は受けているけど、自分は子どもだしなぁと、漠然と「DVじゃないし、他人に自信持って相談できないなぁ」と思っていたことを覚えている。被害者である自分が「児童虐待」という言葉を使うのは相応しくない気がしていた。今思えば不思議なことなのだけれど。

確かに、第三者目線で見てみれば、私のような20代後半の女性が「虐待で」というより「DVで」と言った方が、役所に来た目的がわかりやすかったのだろうとも思います。

今回、そんな他者の反応からも虐待を受けたAYA世代への世間の認識は、まだまだ薄いことを身をもって痛感しました。

今回は私の経験を元に解説を添えてDV等の支援措置について書いてみましたが、あくまで一例になってしまうのも事実です。

役所も、警察や第三者機関も、手続きを進める上で担当した人に依るところが大きい。

それによってもっと時間がかかってしまったり、逆にもっと早く済んだりすることもあると思います。

でも、この制度は必要としている人に、その身を守る手段としてもっと活用されやすくなってほしいと願っています。

過去には、警察から役所に届出てもらうことが必要で、まず警察に相談するところから始めるプロセスだったそうなのでそれに比較すると、まだハードルが下がったのかなとも思う。

ただそれでもまだ1年毎に更新が必要だったり(期間継続にはまた同じことをしなければいけない)、被害者側の負担が大きいことは明らか…

もっとこの制度の認知度が上がることで、もっともっと被害者に優しくなっていけばいいと思います。
必要としている人に、この仕組みが届きますように。

もちろん、被害者が減ることが最良なのだけど。

今回も読んでくださり、ありがとうございました。

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