リハビリに運動をさせて１年半経った。
なるべく筋力を
なるべく人に会って
なるべく外に

とママを通わせている。

隔週2回
最低でも週一回
早上がりしたり、有給を使って時間の都合をつけて。

その予約を取って、連れていき
時間になると迎えにいく。

娘さん？偉いねぇ
お母さんは幸せだねー
そんなことして貰ったら、元気になるわね
メンバーの人は私を誉めて応援してくれた。

そして今日。
急いで帰っても家を出るまで45分しかない
玄関でママの靴を出し、慌ててリビングへ

ママがリビングにいない。
ママの寝室を見る。
片付けてあった物を次々に出し、散乱状況が凄まじい部屋。

声はする
物に埋もれて、潜ったのか。。。



ベッドに仕立てた、フローリング用マットレスの上に厚いマットレスとその上に、低反発のマットを敷いた横に収納ケースがころがり、その下にママは居た。

良く見ると
トイレも失敗している。
早く立って、というもまだ収納ケースから色々出している。

本当に物を触らずに居られない人なんだ
しつこい位に。
何か探しているわけではない、ただ、手にとって、触る。
早くして、と言ってもそうなんだけどという。

もう、間に合わない。
どうやっても。キャンセルの電話をした。


靴を出して、シューズの荷物準備をしていた３分ですら惜しむ位慌ててたのに。

バスルームへ連れていき、全部脱がせてシャワーを浴びさせて、全身洗う。
私は帰ってからのこの数分で、汗だくになる。

シャワーを浴びせていても、私のシャンプーボトル、蛇口、洗顔フォーム、次々物を触っていく。

いいから、頭を洗って！
と私がいう。

それでも、
今度はお風呂洗剤に手を伸ばす。その手を払うと、癇癪を起こす。。。


汚れた衣類もシャワーで流し、
兎に角全身洗った。
タオルを渡す。手に持って畳んで膝におく。

体を拭くようにいう。仕方無いから背中を拭く。出るようにいう。。。。
体を拭かないと風邪をひいてはと思うので、着替えを渡す。


何故かバスルームへ、戻る。
早く出るようにいう。


殴り掛かってきた。
張り手をしようとして避けたら、掴み掛かってきて、お前はーっ！！という。

いつまでも、大声だせば黙ると思ってないでよ。勝てると思ってるの？

と口から出た。
掴みかかってきた手に親指を握られ、捻りあげられた。
今度は拳で殴ろうと、目を見開いて腹を目掛けて突いてきた。

早く着替えて
私の時間を無駄なことに使わせないで

靴下を履かせようとした
頑として、足をあげない。

自分で履けないなら手伝ってるうちに履いてといった。
何もなかったように素直に履いた。

リビングに戻り椅子に座ると、左親指が変色して腫れていた。



私はママに
早く出ていって下さいと、いった。
子供の家に転がりんできて光熱費すら出さずに好き勝手して、こんなケガまでさせるような人と暮らしたくないです、と言った。

ママは
あんたが、出ていきなさいと笑った。


こういう
日常があることを滅したい。
何でもない振りをしている私は、悟られたくない、憐れみを受けたくない

と思っていたが、
今日ママが言った言葉はどれも認知症とは無縁だった頃からの言葉。


ママがイヤで早くに独立し一人暮らしを始めたのに、何故今ここにいる、と思ってしまう。



滅したいのは
１日の中でこういう時間を過ごすこと、
そういう時間を紡いでしまった自分、
かもしれない。

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