美大生のための就活本(2020年版)

はじめに

就活を控えた、すべての美大生・専門学生のために書きます。

ぼくは武蔵野美術大学の視覚伝達デザイン学科を09年に卒業し、総合広告代理店のアートディレクター採用で社会人になりました。いわゆる「クリエイティブ枠採用」です。その後、7年くらい会社員をやった後紆余曲折あり、現在は当時の記憶を元に広告代理店のクリエイターを描く漫画「左ききのエレン」を少年ジャンプ+で連載しています。

ぼくは周りと比べて、明らかに才能がありませんでした。これを誰よりも自覚していたお陰で、必死になって美大生の就活というものを考え、研究し、トライアンドエラーを繰り返しました。

ぼくは行きたい会社に行けましたが、ぼくよりも明らかに才能があるのに結局どこからも内定が出ずにフリーターになった人もいました。

結論から言うと、美大生は就活の対策をしなさ過ぎます。

確かに「美大生の就活」とか「クリエイティブ採用対策」とか、世の中にまとめられていないので、対策の取っ掛かりが無い。

だから広告代理店でしばらく働いた後に「凡人のためのクリエイティブ就活」という本を書こうと決意し、出版社の方と打合せしてた事もあります。

しかし、書籍化は実現しなかった。なぜなら、全国の主要美大生を全員足しても1万人いないくらいのマーケット。書籍だと赤字になってしまう。電子書籍だってスケールしない。

そんな理由で書籍化をあきらめて数年が経ちましたが、このnoteという販路が適しているのではと思い立ち、この度改めて「美大生のための就活」について有料記事として販売しようと思います。


就活解禁が3月になりました。

これは今年はじめて就活をはじめる人達にとっては知った事では無いかも知れませんが、昔はもっともっと前から就活をはじめられました。

就活は、企業側が「募集をはじめますよ」と言って、説明会やら面接やらを開始する事ではじまりますが、近年になって遅くなったという事です。これは、美大生の弱点と非常に相性が悪い。

就活解禁が遅くなればなるほど、美大生の弱点が深刻化するのです。


美大生の弱点

ここで美大生の大きな弱点に触れます。最大の弱点と言っても過言でないかも知れません。それは「危機感」を感じ辛いという点です。

一般大の友人も多くいましたが、ぼくらよりも何倍も危機感を持っています。平たくいうと「ちゃんとしないと人生ヤバい」という感情です。

美大生のキャラクターは大きく2種類いると思っているのですが、1つは「超マイペース」です。美大という特殊な進路を選んで好きな事をして生きて行こうとしている人達ですから、ちょっとその辺には居ないくらい超マイペースと言えます。

もう1つは「超自信家」です。自分の才能を信じ続けて美大にくる人達ですから、かなり我が強い。入学の挨拶で「オレは卒業したら電通いきます」って宣言するくらいの自信家。これが特別なケースでもなく、何割かいますから。

この「超マイペース」と「超自信家」は、ベクトルは違えど同じ「楽観主義」なんです。「ちゃんとしないと人生ヤバい」と危機感を持ってビクビクしてる一般大生の対岸にいるのです。

もう死ぬまでそのまま生きて行ければ「超マイペース」でも「超自信家」でもオールオッケーなんですが「ちゃんとしないと人生ヤバい」と、就活の後半で気付くのが一番の悲劇。就活の開始が遅くなるという事は、例年に比べてより後半に気付くという事です。もう取り返しがつかないくらい後半に。


美大生がハマる“ポートフォリオ地獄”

ここからは、実践的な内容になります。

一般大生の就活にはない「ポートフォリオ(作品集)」というものが美大生の就活では最大の関心事になるでしょう。

美大生が陥ってしまう最大の「間違った認識」は、

“就職活動=作品(ポートフォリオ)を作る事”だと思っている点です。

学科の教授、憧れのクリエイター、第一希望に内定した先輩、彼らのアドバイスの多くは、ほとんど「作品(ポートフォリオ)」についてでしたし、学生もそこばかり気になります。

しかし、そもそも就活において、“作品とは、ポートフォリオとは何か”を教えてくれる人は少なかった。

「ポートフォリオのページ数は?」

「プロフィールや、目次は必要?」

「製本は?表紙は凝った方がいい?」

これは実際にOB訪問を受けてよく聞かれる質問ですが、こんな些細な部分的な事は後回しで良いんです。というよりも就活における“作品とは、ポートフォリオとは何か”が分かれば、細かな事はおのずと決まるものです。


就活とは何か?

就活とは何か?

就活とは「自己分析」と「企業研究」です。

一般大と美大の就活も、この根本は変わりません。それなのに「それって一般大の就活の話でしょ?」と斜に構えている美大生が非常に多い。

この「自己分析」と「企業研究」を両輪として第一志望に近づいてゆく活動、それが就職活動という行為です。


美大生は自己分析が得意のはず

しかも、美大生は「自己分析」が得意のはずなんです。

一般大生は、当然ですが就活で初めて自己分析をはじめます。自己分析をして大学生活を振り返り、自分を企業にアピールするための材料を整理します。

ぼくは「自己分析」という言葉が就活以外で使われない限定的な意味である事がいけないと思っています。平たく言えば「自分の知ること」と言い換える事ができます。

では「自分を知ること」を、美大生はやっているでしょうか。受験、課題、展示を経て、もっと良い作品を作るため、他人の意見を聞いてきたはずです。作品について、ああでもないこうでもないと、学食で延々と話したりした事はありませんか。

美大生が作品について悩んできた全ての時間が「自己分析」と言えるのです。つまり、制作活動とは、まるごと「自分を知ること」であり「自己分析」なんです。それも、非常に高度な自己分析です。だって一般大生は自分を探すために世界一周とかしているんですよ。美大生は目の前のキャンバス(PCでも)に向かって、自分を探している。自分を知ろうとしている。こんなに効率が良く深い自己分析が他にあるでしょうか。

まずは、就活において“制作活動=自己分析”であると理解して下さい。


ポートフォリオ(作品集)とは何か

では「作品(づくり)」は「自分を知る行為」で、その集大成である「ポートフォリオ(作品集)」の正体とは何でしょう。

“ポートフォリオ=エントリーシート”なんです。

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