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【50代の大学生日記 第49話】全然知らんかった書初用紙の世界

 皆さん、明けましておめでとうございます!
 私は今年、大学を卒業できそうで喜ばしいことなのですが、学生という肩書がなくなってしまうと私の職業は「フリーター」になってしまうわけで、「文筆家」とか「書家」と名乗れるように頑張りたいところです。昨年は卒業制作に励むあまり疎かにしていた書道や短歌の道も、今年は五感を磨いて精進していきたいものです。
 さて、京都の書道用品店で「学生バイト」をしている私、店で扱っている書初用紙といえば「八つ切り」と呼ばれるサイズと「六つ切り」と呼ばれるサイズの2種類。とはいえ「六つ切り」は、とある書道団体の展覧会の子どもの部で使う紙として指定されているだけで、一般には「八つ切り」が使われています。
 ちなみに「八つ切り」は大きさがおおよそ17.6cm×68.3cmで、「全紙」(70cm×136cm)と呼ばれる基準の大きさの紙の長辺を半分に切り、短辺を4等分した大きさ、つまり全紙の8分の1のサイズ、「六つ切り」(23.3cm×68.3cm)は全紙の長辺を半分、短辺を3等分にした大きさ、すなわち全紙の6分の1サイズです。なお、紙の大きさは店で売っているものでもけっこうアバウトなので、「136cmの半分は68cmじゃないか! 68.3cmの0.3はどこからきたんだ!」というツッコミがあろうかと思いますが、まあそんなもんだと思ってください。
 京都だけではなく、私が生まれ育った奈良でも書き初め大会に応募するときの紙はこんな感じの大きさの紙だったので、私は全国的に書初用紙といえば「八つ切り」だと思っていました。

書き初め

 しかし、バイト先で紙屋さんのカタログを見ていると、「書初用紙(東京判)」とか「千葉判」「埼玉判」とかいうものがあり・・・・・・
「えっ? 東京では紙のサイズが違うの? それに千葉判、埼玉判って東京とも違うの??」
 と驚いてしまったわけで、いったい全国ではどんな書初用紙があるんだ?と調べてみました。

書初用紙のサイズ比較

 「東京判」ってデカい! 「東京小判」でも「八つ切り」より幅が広い。「埼玉判」は縦横比で見ると幅が広いし、「半紙三枚判」は縦横比で見ると細長いし、字のバランスを取るのが難しそう。そもそも「半紙三枚判」ってどの地方で使われているんだ? 調べてみたけどわからない・・・・・・
 ちなみに「半紙三枚判」は半紙を三枚、縦に並べた大きさです。「半紙」は江戸時代にポピュラーだった「杉原紙」の大きさの半分だから「半紙」と呼ばれており、前述の「全紙」とは関連のない大きさの規格です。ついでに仮名書道で使われる料紙の大きさは「全懐紙」(50cm×36.5cm)が基準で、その半分が「半懐紙」(36.5cm×24.5cm)です。「半懐紙」は「半紙」(33.3cm×24.2cm)よりちょっとだけ大きいだけなので、仮名用の「半紙」というのも市販されています。
 もはやわけがわからなくなってきたでしょう(笑)。書道用品店では「紙のサイズや名前がわけがわからな過ぎて覚えられへん」という理由で辞める人もいるそうです。
 書初用紙の話に戻りますが、上の図にある「東京判」や「千葉判」「埼玉判」は比較的ポピュラーなほうで、ほかにも「石川県判」「沖縄県判」「三重県判」「福島判」「和歌山判」「宮城版」「岡山判」「群馬判」「上越判」「町田判」なんていうのもあり、なぜか「三重県判」は「埼玉判」と同じ大きさだったりと、各地方で何が基準でこの大きさになったのかを調べるだけで博士論文が書けそうなぐらいの複雑さです。
 さらに驚いたことに、私が京都の「八つ切り」と同じ大きさだと思っていた奈良の書初用紙は「奈良判」(18cm×70cm)というもので、「八つ切り」よりひと回り大きいようです。
 じゃあ、「〇〇判」が存在しない県は「八つ切り」のような一般的(?)な紙を使っているのか? と何県か調べてみましたが、ネットで「書初大会」の募集要項を見ても、その地方ではその紙を使うのが当たり前だからか、紙のサイズが指定されていないものも多く、一方で北海道では「半切(条幅)」(35cm×136cm、前述の全紙の2分の1、すなわち八つ切り4枚分)が指定されており、他県より桁違いに大きな紙で書き初めをしているよことがわかりました。さすがは北海道!
 結局のところ、書道用品の世界はわけがわからな過ぎるということがわかっただけで、何の結論もありませんが・・・・・・
 今年もご愛読いただきますよう、よろしくお願い致します。

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