吸引力の変わらない赤子ー涙色の搾乳

退院後、娘は吸引(啜)のスキルを磨き上げ、
更におっぱいを飲みながら眠りにつくという
寝付きスタイルを確立させていました。

寝付いた後も、私の胸は娘の口のはるか奥まで咥え込まれたままで、単に引っぱり出そうとするのは、身を削る行為でした。
ネットに溢れている粗っぽい方法(鼻をつまむと苦しくて離す・・はず)など試しましたが、
ダイソン娘には効果を得られませんでした。

娘を抱いたまま布団にそっと横たわり、
添い乳の状態で自然に外れる時をただじっと待つこともしばしばでした。

そうして感覚が麻痺した私たちは、
1度の授乳で1時間吸い付いて離れないことが出てきました。
そこに至ってようやく、私は自分の母乳量に疑いを持ち始めました。


赤ちゃんがおっぱいから離れない理由として
ネットには、
「母乳の量が少ない」「足りてない」
との文字が並んでいました。

それは、少なからずショックな字面ではありましたが、
それまで“何となく”嫌えんしていた搾乳器に手を伸ばすきっかけとなりました。

我が家にあったのはハンドルを握って搾り取る、手動タイプのものでした。
胸に押し当て、息を吐きながらゆっくりハンドルを握ると、真っ先に出てきたのは母乳ではなく、傷口からの真っ赤な出血でした。
その光景を見て

娘はこれを飲んでいた、飲ませていたんだー

そんな現実を突き付けられ、
次には涙がぽろぽろと溢れだしました。

ごめんね...
今までごめんね...


心の中でそう何度も謝りながら、
申し訳なさと、慣れない搾乳の痛みで滲む
視界の中で手を動かし続けました。

10分ほど経った頃でしょうか、
哺乳瓶の底に溜まっていたのは血液で淡いピンク色に染まった
ほんの10mlほどの母乳でした。

胸を清浄綿で拭き取りながら、私は憔悴し切っていました。

一体、娘にどれだけ飲ませてあげられてたんだろう...


それと同時に、自分の身体から作り出された母乳がこれまで以上に尊く、愛おしいものになっていました。


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《執筆後記》
涙なしでは語れないとはこのことですね、、(号泣)

ネットの検索欄で「母乳...」と打つと続く
予測ワードに今もたくさんの悩んでいるママのことを思うと、また...涙

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