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星降る中部高地 縄文人と黒曜石|星ヶ塔ミュージアム

諏訪を知ることは縄文を知ること。
諏訪めぐりをするうちに、いつの間にか縄文の扉を開いてしまったようです。

今回は、星降る中部高地の縄文世界関連施設の<星ヶ塔ミュージアム矢の根や>を訪れました。場所は下社秋宮のすぐ近く。

ついでにお参りして


さざれ石を眺めて


高札も見て


通りのあちこちにあるご神湯で
手を温めながら


左手の建物が目的地です

星ヶ塔ミュージアム矢の根やは、国史跡「星ヶ塔黒曜石原産地遺跡」など下諏訪町の埋蔵文化財を展示するミュージアムです。

ところで、江戸時代の人々は黒曜石のことを何と呼んでいたと思いますか?

「ホシクソ」


夜空に輝く星のかけらだと考え、ホシクソと呼んでいたそうです。そのホシクソが峠道にたくさんあることから「ホシノトウゲ」という地名がつけられ、後にそれが変化して「星ヶ塔」となりました。


縄文人が掘り出した黒曜石
星ヶ塔遺跡

建物に入るとまず目に入ってくるのが、ど~んと大きな、縄文時代晩期の黒曜石採掘坑を原寸大で再現したジオラマ。


思わず見上げる

黒曜石って、もっと浅いところで比較的容易にとれるものだと勝手に思っていましたが、こんなに深いところまで掘っていたとは!しかも手作業ですよ。

「地下に埋もれている黒曜石の岩脈を縄文人が採掘したもので、日本列島では他に例のない貴重な遺構」と説明書きにありましたが、たしかにこれはすごい。

この地で採れる良質の黒曜石を求めて日本各地から縄文人が訪れ、そして持ち帰っっていったその道は「黒曜石のみち」と呼ばれ、そのまま交易の道となりました。

諏訪産の黒曜石が発見されている遺跡は、いちばん遠いところで北海道の館崎遺跡、それから有名な青森の三内丸山遺跡でも見つかっています。

またその逆で諏訪の遺跡からは、東北などの特徴ある遺物が出土しています。

岩板
東北地方に特徴的なもの


ヒスイ
糸魚川周辺地域のもの

縄文時代も、かなり遠方の地とそれぞれの特産品を交換するような交流があったということですね。縄文人の移動距離の感覚、気になります。

もちろん、土器の展示もありますよ。

人体文付壺
どのへんが人体?

なんだか、虫のようなものが付いている…
エミール・ガレのトンボ付きのガラス器がふと脳裏に浮かびました。(ガレファンに怒られそう?)

◇ ◇ ◇

縄文のつぎは古墳。
実はこの展示室からは、隣にある諏訪地域唯一の前方後円墳「青塚古墳」の石室を見ることができます。


と言っても中が見えるほど近くはない
むき出しの石室

全長約67m、6世紀後半の築造で、被葬者は不明。
諏訪大社下社の境内域にあることから、よほどの権力者か、下社の祭祀氏族金刺かなざしのだれかと推測されています。

県史跡 青塚古墳


信州古墳マップ
次に目指すは、あの古墳かな~


◇ ◇ ◇


そして最後、古墳の次は中国北宋時代。
……えっ?!ですが、これはなかなか面白いですよ。

中庭にあります

北宋時代の1092年に作られた水運儀象台ぎしょうだいは、現代の時計のルーツともいえるもので、正確な時を刻んでいたそうです。

900年の時を超えて下諏訪町が世界で初めて復元した、水力で動く大型天文観測時計塔。

毎正時にデモンストレーションがあると受付で伺い、せっかくなので14時に見学させていただきました。
※正時とは、現代の偶数時のこと(2時、4時、6時、、)


設計者の人形が身振り手振りで
説明してくれます

中は五重塔になっていて、時が進むごとに、今何時か示す札を持った小さな人形が塔の階層窓から見えるという仕組みです。この人形がかわいい。

鐘を鳴らす人と、一刻さん


その他、わたしが愛する奈良に関係深いものもありましたよ。

飛鳥にある水落遺跡のモデルと考えられる中国・唐の漏刻ろうこくの復元模型。あの奈良文化財研究所の指導のもと復元され、科学万博つくば'85に出展・大反響だったようです。

屋内展示で動いてはいませんが…

スタッフの方の説明もわかりやすく、楽しく見学することができました。ありがとうございます。

星ヶ塔ミュージアム、好きなものばかりで見応えがありました。

そしてわたしは、

ついにここで、

・・・

・・・

土偶御朱印帳を買ってしまったのです!


じゃ~ん
さっそく3つ収集

あぁ~、とうとう足を踏み入れてしまった、、、
三十三番札所土偶巡りの世界に!

山梨県にまで及ぶので、全て行けるかどうかはわかりませんが、のんびりと土偶巡りを楽しみたいと思います。

諏訪巡りと土偶巡り、楽しいことで忙しい。
なんとも幸せな未来です。



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