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下諏訪紀行 <諏訪大社>技を競った春宮と秋宮

下諏訪紀行、ようやく最終回です。

今回は秋宮を紹介しますが、なんと春宮と同じく、行くつもりはなかったのにいつの間にかお参りする流れになっていました。

この日は2度目の岩波其残展を楽しんだあと、前から気になっていたカフェを訪れるために近くの駐車場へ車を停めたのですが、そこはこの辺りには珍しく有料駐車場でした。

すこしだけ後悔しながらも窓口の管理人さんへ申し出たところ、


どこ行くの?観光?

__はい、このあたりをぶらぶらと。

それなら、すぐそばの下社に広~い無料駐車場があるで、そっちへ停めた方が良かぁねぇかい? ここで駐車料払うぶん、お賽銭した方がいいら。

__(そう来たか!)そうですね~、そうします。ありがとうございました。

こうして、下社秋宮に自動転送されたのでした。笑

◇ ◇ ◇

さて、秋宮へ来てみると、正面の鳥居はなにかの工事中のため通れません。仕方がないので、横の入り口からおじゃましますよ~。


おぉ~、鳥居っぽくなってる


あ、その前に手水ですね。
冬場はちょっぴりつらい手水、ですがこの秋宮ではその心配も無用。なんとなんと、温泉が出ているのです!


御神湯
あったか~い、幸せ~


温泉で手を暖めてほっとしていると、「ピュルルル~」と空の方から鳴き声が聞こえました。見上げると、鷹なのかトンビなのかが円を描いて飛んでいます。

あの子、諏訪へ来るたびに見かける・・・もしやお諏訪さんの使い?


さあ、ではお参りしましょう。
参道へ入って正面に見えるのは神楽殿、一番記憶に残っている秋宮の姿です。

神楽殿

この距離からだとあまりピンとこないかも知れませんが、この狛犬さんはかなり大きく、青銅製では日本一の大きさと言われています。

しかし狛犬よりも迫力を感じるのは、正面の大きな注連縄!
これまで訪れた各地の神社を思い返してみても、出雲大社に次ぐ大きさのような気がします。古社の特徴なのか、親子という縁があるからなのか。


この大注連縄は、御柱祭ごとに新調されるそう
重さはおよそ1トン!

中ではちょうど、御祈祷の最中でした。
ドンドンという太鼓の音が心地よくからだに響きます。

つづいて拝殿へ。

秋宮 拝殿

この写真をみて既視感を覚えた方は、すばらしい記憶力の持ち主ですね。
なぜなら、、、


春宮 拝殿

以前紹介した春宮の拝殿と、ほぼ同じ造りだからです。

江戸時代に建て替えが計画された際、諏訪をおさめる高島藩から秋宮と春宮両方へ同じ図面が与えられました。その図面をもとに諏訪地域の2つの異なる流派の宮大工集団によって、同時期に同じ造りの社殿が建てられ、両宮は彫刻で技が競われたとされています。

下諏訪観光振興局HPより要約

秋宮を手がけたのは<諏訪立川たてかわ流>立川和四郎
1781年落成

対して春宮は、<諏訪大隅おおすみ流>柴宮長左衛門
1780年落成

なんと春宮の大隅流は秋宮よりも遅れて取り掛かったにも関わらず、一年早く、しかも半値以下(!)で完成させたそうですよ。納期とコスト競争が江戸時代にもあったとは驚きました。


みごとな彫刻


春宮のしっとりとした雰囲気にくらべると、秋宮は万事が豪華な印象です。

秋宮派と春宮派、好みが分かれるようですが、どちらかと聞かれたら春宮かな。静かで落ち着く感じ、川のせせらぎが聴こえていたのもお気に入り。浮島社と万治の石仏が近くにあるのも、いいですね。


ふたたび散策にもどり_

境内には、神楽殿と拝殿の他にもタケミナカタを祀る若宮社ほか、多くの摂社・末社がありますが、そのなかに鹿島社があることにちょっとびっくりしました。

鹿島社

鹿島社にお祀りされているのは、武甕槌命(タケミカヅチのみこと)。

タケミカヅチといえば、諏訪大明神たるタケミナカタが出雲の国譲りをかけて「力くらべ」をした結果、負けてしまった相手。

敗者と勝者が同じ敷地内に祀られている・・・

なんだか、諏訪大明神のとてつもない懐の深さを感じます。
過去のいさかいに固執することなく、さまざまな神の力を借りてこの地を守っておられるのだなぁと。

ありがたいことですね。


さいごは、これを見なければ帰れない、御柱まいり。

まずは「秋宮二之御柱」から

ほほぅ
やはり春二より大きいですね

つづいて、下社で一番大きな「秋宮一之御柱」

アキイチさん


なんという大きさ!

あっぱれの姿です。
このような大きな木がこの先も育つ「信州の山」であってほしいと、心から願っています。

◇ ◇ ◇

下諏訪紀行早春の巻、これにておしまい。
今回は「下見」のつもりで散策しましたが、また別の季節にじっくりと、更に寄り道をしながら歩きたいと思っています。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

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