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マトリックス4を見に行ってはいけない人

映画の続編を見るのに前作の予習復習なんか必要ない、って記事を以前に書いた。
たった1ヶ月でそれを撤回する。
ただし、マトリックスの新作についてだけだ。

ほとんどの映画については先月書いたことが当てはまる、と今でも思っている。
でもマトリックス4は前3作の記憶がある状態で見ないと意味がない。
なぜならば、監督がそのように作っているからだ。そしてそれでこそ意味がある続編だからだ。

1999年に公開された映画『マトリックス』は映像革命だった。
マトリックスの後に、僕たちはうんざりするほど大量のマトリックス的な映像を見させられた。
映画だけじゃない。ドラマ、CMからコント番組まで。

あまりにも引用やパクリをされすぎて、マトリックスが映像革命だったことを忘れてしまうくらい。
そんな状況の中で続編2本が作られた。
2本の続編は1作目ほど評判にはならなかったけれど、それでも映画はシリーズとして完結した。

マトリックスシリーズのテーマを無理やり一言で言えば「目覚め」だ。
仮想世界で眠りながら生かされている人々を目覚めさせる映画。
これは情報に溺れて自分で考えることを忘れている現代人、つまり観客へのメッセージ。

しかし、マトリックスから22年。続編が完結してから18年たった現在。
人々は目覚めていない。
むしろ情報や仮想世界に溺れ、自分で考えることを忘れている(眠っている)人が増えている。
だからこの4作目を作ったんだろう。

マトリックスの映像が好きだった人は見に行ってはいけない。
なぜならその期待に今作は答えないから。
いいですか、見に行ってはいけませんよ。

だって「前に見たような映画が見たい」って人に向けては作られていないから。
「前に見たような映画が見たい」って人は、どうせいつまでたっても目覚めないんだから。
この映画に込められたウォシャウスキーの願いに気づかないんだから。



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