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塩を砂糖に変えたらいいんじゃない? 〜観客の映画へのダメ出しはちょっと荒い〜

1996年、『ミッション・インポッシブル』を試写会で観た。
その生意気な22歳の男子は、すぐにダメ出しをした。
なんで途中で黒幕をバラしちゃうんだ。最後まで黒幕がだれかわからない状態を引っ張った方が絶対に面白いのに。って。

ダメ出しをした生意気な22歳の男子は僕のことなんですけれども。
先日『ミッション・インポッシブル』の1作目を27年ぶりにじっくりと観た。
そしてまざまざと過去の生意気な自分、未熟な自分を思い出したんです。

映画に対しての観客のダメ出し、そのほとんどは浅いと言うか乱暴というか、そんな感じが多い。
こうした方がいいのにという素人の提案は、製作者の選択肢にはすでにあったに決まっている。
その上で理由があって選ばなかった選択肢なのだ。

そしてその選択は素人が思うよりもはるかに微妙なもの。
料理に例えてみる。
この料理は塩辛いから塩を全部砂糖に変えればいいのに。

ってレベルで観客の思いつきは荒っぽい。
製作者は食材、調味料、調理方法、仕上げ温度、お客に出すタイミングなど。全てのバランスをトータルに考えて作っている。
全ての観客よりも映画全体を上空から俯瞰しているのが製作者。

映画にダメだしするなってことじゃない。感想を言うのは自由だ。
でも映画を面白く感じられないのは、自分の考えの浅さが原因であることもある。
というか自分が原因の場合がほとんどと思った方が映画を楽しめるだろう。

たとえそれがどんなに自分にとって面白くなかった映画でも。
世間からの評価が低い映画でも。
いち観客よりもその映画を制作した人のほうがはるかに考えているに決まってるんだから。

ミッション・インポッシブルの1作目は、途中で主人公が黒幕に気づく。
それは同時に観客に提示される。それなのに素知らぬふりをして任務を続行する主人公。
そのサスペンスが面白いんだよ!ってことにすら気づけなかった若気の至り。

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