海は、海水浴に行くところ。
子どもの頃は毎年、近所の幼馴染家族や、いとこ家族といっしょに海水浴に行ってた。
到着して泳いで民宿に一泊してまた朝から泳ぐ。夏一番の思い出だった。

海は、遭難するところ。
砂浜からゴムボートでちょと沖に出て、砂浜の反対側、はるかな水平線の方をみる。
すると気分は遭難者。
「おーい、たすけてくれ」
なんて掠れた声でつぶやいたりする。

海は、ゴジラがやってくるところ。
地平線の彼方に黒いものが盛り上がり、それがだんだんと近づいてくる。
海岸に防衛線を張る自衛隊。
ゴジラは毎度それを一蹴して上陸するのだ。

海は、ゴジラが帰って行くところ。
最初の昭和ゴジラから最新のハリウッド版ゴジラまで、すべてのゴジラは海から来て海へ帰る。
子ども時代の僕は、遭難から帰ってきて砂浜に寝そべると、いつもゴジラの海を思い浮かべていた。

海は、宇宙。
ほとんどのSF映画で宇宙は海に例えられる。
宇宙戦艦ヤマトがいちばんわかりやすい。海に浮かんでる船の形の戦艦が宇宙を航行する。

スタートレックの宇宙も海だ。
星々はそれぞれの国で、それぞれの種族が住んでいて、それぞれの文化がある。
ときに海の覇権を争って戦争になったりもする。

『銀河英雄伝説・我が征くは星の大海』
タイトルからして宇宙は海だと謳っているSFアニメ映画。
帝国と共和国が銀河の政治体制を争う、ちょっと変わった物語。

スターウォーズはいわずものがな。
全体が海で覆われている惑星出身のモン・カラマリ族、アクバー提督の活躍が格好いい！
砂浜でゴジラの空想をしながら眠りに落ちると、いろんな宇宙SFが混ざった夢を見た。

海は、海水浴に行くところ。
親になってからは毎年、保育園で出会ったパパ友ママ友家族と海水浴に行っている。
子どもたちが小学校低学年まではペンションに一泊していたけれど、高学年になってからは日帰りのことが多い。

みんな忙しくなった。
保育園で出会った子どもたちももう高校生。
今年も行きたい、と親は画策してるけれど子どもたちがついてくるかどうか。

子どもたちが行かなくても大人だけで行こうか。子どもたちがいない分、心配せずにぼんやりできる。
また遭難ごっこしたり、ゴジラや宇宙の夢を見たい。
ひとまわりして人は童心に帰る。

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【書くンジャーズ】