スキルの正体

先日、和食を食べに行ったときのことだ。

目前で、シェフが魚を炙ってくれた。片手にバーナー、もう片方の手に備長炭を持ち、魚の真上で備長炭を焼きながら炙る。
「こうすることで、香ばしくなるんですよ」
と、教えてくれた。

我が家でも、よく魚を炙って食べる。太刀魚を炙って塩とレモンで食べるのが、子ども含めて家族の好物だ。カツオを皮つきのまま買ってきて、皮目をこんがり炙るのもいい。でも、備長炭をかざす技があるとは知らなかった。えらく感動していたら、シェフが「お土産に持って帰って。家でやってみて」と備長炭を数本くれた。

私は、その備長炭に、スキルの正体を見た気がしたのだ。
出される料理だけを見ると、私は料理人に、絶対に真似できない、とてつもないスキルを想像する。わずかな味の違いも見逃さない舌とか。超絶器用な包丁さばきとか。天才が何年も修行を積んでたどりつく境地、みたいなやつ。

もちろん、それらもあると思う。でも、ひとつひとつを細分化していくと「魚を炙るときに備長炭をかざす」というようなシンプルなTo Doに落とし込まれることも、きっと無数にあるんだろうな、と思ったのだ。

そして、結果を出す人は、その無数のタスクを落とさない。

今、職場の先輩コーディネーターのスキルを、後輩たちが再現できるようマニュアルに落とし込んでいる。何が経験の蓄積が必要なスキルで、何が愚直にやり抜くToDoなのか。その見極めができると、スキルアップの階段をのぼりやすくなる気がするんだよなぁ。

スキルが足りないんじゃなくて、やるべき簡単なことがやれてないってこと、いっぱいあるよ、きっと。

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