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ショートショート 失敗知らず

ボカーン

助手「博士ぇ〜。いつも失敗ばっかりなのに、よく懲りずに実験続けてますね。」

博士「ワシがいつ失敗したんだい?」

助手「今回も、スモールライトの時も、時間遅らせた時も、何かやる度にやらかしてるじゃないですか。」

博士「あは~。そういうことか。
君からみたら確かに失敗かも知れないね。
でもね、ワシは今までの研究をその後も続けているのだよ。成功するまで続けるから、失敗したと思ったことはないさ。例えこの身が滅びようとも。」

助手「待て待て待て、最後いきなり物騒になったな。」

博士「あら、気になるかしら?
特別に良いものを見せてあげるわ。」

突然のオカマ口調に動揺していたのもつかの間、ラボにあった隠し扉から入った地下室を見て、さらに動揺した。

助手「博士がいっぱい…。」

博士「凄いじゃろ!このクローン博士は、ただのクローンではない。それぞれの経験も1つの場所で記録し共有している。例えこの身が滅びようとも、ワシの経験は他のワシに引き継がれるのじゃ。」

助手「博士。これ倫理的にアウトでしょ。」

博士「研究者に一般社会の倫理など求めるでない。新たな発見は常識を超えたところにある。ワシはその発見を追い求めているだけじゃ。その発見をどう使うかは、もちろん正常な倫理観を持った人間がやるべきだと思うが、発見なしに応用はありえないものだ。」

助手「珍しく納得する熱弁でした。
それにしても、博士の食費、バカ高いなぁと思ってましたが、そうゆうことだったんですね〜。」

博士「……。」

助手「あ!良いこと思いつきました!博士のクローン増やして、農場作ってくださいよ〜。そしたら食費浮きますよ!」

博士「……。」

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