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ショートショート sense

(そうか、それが無くなっていたのか…。)


人類は20歳になったら身体をサイボーグにするようになった。サイボーグにすることで人生を何倍にも長くし、さらに不具合が起きた身体も寿命が尽きるまで交換すれば、何歳になっても運動できる身体が手に入ったのだ。


私は身体をサイボーグにした。
今までの身体は、急に腹痛になったり、頭痛がしたりして大変だった。どこかがおかしくなる度に、少し歩けば隣を横切った車に思いっきり水をかけられたり、目の前に上からものが落ちてきたり、遠くからボールが足に飛んできたりと危ない目に遭ってきた。
どれもこれも腹痛や頭痛のせいだ。あれがなければ、危険な目に遭うこともなかったろうに。

そして、現在、サイボーグの身体だ。この身体はイイ。前の身体よりも機敏に動けるし、目も耳もよく聴こえる。何よりも、腹痛も頭痛もない。本当に良かった。


身体をサイボーグにした女性はバラバラになって死んでしまった。どうやら、大量殺人犯に殺されたらしい。この事件の被害者は全員サイボーグだった。記録された監視カメラを見ると生身の人間は、この殺人犯を見るなりすぐに逃げていた。サイボーグの人間達は男女問わず殺人犯にされるがままにバラバラにされていた。

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