【読書感想文】Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール
はじめに
2023年現在、フリーランスデザイナーとして活動していますが、UI/UXの勉強を始めよう!と考えていた時におすすめしていただいた一冊です。
本当に勧めていただいて「この本に出会えてよかった!」と思う一冊でした。
アプリ制作に携わる方はもちろんのこと、日々アプリやインターネットを活用している全ての方が自身の日常の行動やアプリとに向き合い方を考え直す機会になる本です。
本の要約
Hookedの本はよく4ステップのフックモデルに絞って紹介されていますが、実際「実例をもとにした習慣化の特徴、マーケティング」、「フックモデル」、「アプリ開発に携わる人のパターンと倫理問題」を学べる本です。
多様な実例と習慣化の特徴を解説
なぜ特定の製品やアプリが人々の習慣となるのかについての心理学的な側面を探求しています。
習慣化を作るプロダクトは痒い所に手が届く必要があり、
ビタミン剤から鎮痛剤へ、「あったらいいな!」から「なくてはならない!」への変化が必要。
そのようなプロダクトの特徴を、トリガー、アクション、リワード、インベストメントと呼ばれる4つのステップから成る「フック・モデル」が紹介されています。
Instagram,Facebook, Twitter , Pinterest などをはじめとして実存する
ありとあらゆる実際のアプリの特徴を例えに出しながら解説されています。
フックモデル
トリガー(Trigger)-きっかけ: トリガーは、ユーザーが行動を起こすきっかけとなる外部的なもの(通知など)や内部的なもの(感情や思考)です。
アクション(Action)-行動: アクションは、ユーザーがトリガーに対して行う反応です。これには、ソーシャルメディアのフィードをスクロールすることからリンクをクリックすることまで、さまざまな行動が含まれます。
バリアブル・リワード(Variable Reward)-報酬: ユーザーは、アクションを起こすことで報酬を期待します。報酬=お金ではなく、報酬にはトライブ(集団)=、ハント(狩猟)、セルフ(自己)の3つがある。バリアブル・リワードは予測不能で、ソーシャルな承認、物質的な利益、その他のポジティブな結果の形で表れます。
インベストメント(Investment)-投資: ユーザーは報酬を受けた後、製品に時間、労力、データ、お金などの何らかのカタチで投資をします。この投資はユーザーが将来的にも製品を利用し続ける可能性を高めます。
プロダクト開発に携わる人の倫理問題
本の後半部分ではクリエイターとしてどうプロダクトの開発に携わるべきかという倫理的な問題にも触れられており、人の感情とデザインが与える影響について考えさせられる一冊でした。
感想と印象に残ってる箇所
まさに日頃の自分の行動をどこからみられていて、言い当てられているような表現でした。
Twitter やInstagramをダラダラみてしまう習性は自覚していたものの、
メールに関しては仕事だと思っていて、自覚していなかったのでハッとさせられました。
多少なりとも仕事のメールなどは「誰かに必要とされている」という感覚はあるし、「どのような内容がいつ来ているかわからない」というのも頻繁にチェックしてしまう要因です。
SlackやChatworkなどチャットアプリにも同じことが言えるのではないでしょうか。
Hooked モデルに沿ってDuolingo(言語学習アプリ)の特徴を分析してみた!
最近使っている言語学習のアプリ: Duolingoで、数週間毎日スペイン語の勉強を毎日続けることができました。
Duolingo、続けられる仕組みが巧妙でまさにこのHookedモデルに当てはまるなと感じたのでその要素を分析してみました。
Trigger:トリガー
これはズバリ通知です!
設定で制限しなければメールxアプリの通知のダブルパンチです笑
その為、嫌でも視界には入ります。通知のタイミングも抜群!夜22時頃寝る前の時間に送られてくるのです。
メッセージも「今日やったら3日連続!」のようにモチベが上がる内容です。
Action:アクション
通知以外にもアクションのしやすさは、
一つ目はポップなアプリデザイン、二つ目は最初に自分で設定した目標(私の場合かなりハードル低い目標)=1日3~5分の学習です。
「たった3分!」とという気軽さが毎日のアクションにつながっていました。
Reward:報酬
基本的にはセルフ(自己)=達成感、続けた自分への自己肯定感があります。
そのほかの報酬、トライブ(集団)=、ハント(狩猟)はシステムのデザインで作り出しているのが巧妙だな!と思いました。
Investment:投資
上記、報酬で紹介した画面を見たり、「続けてる自分素晴らしい!」という感覚があることで次の日もその次の日も継続して時間を投資することにつながります。
またそうして続ける日が長くなるほど、5分の学習のたびに30秒くらい表示される広告がうっとうしく感じて課金を検討するようになりました。
最後に
マーケティングと同様にいかに人の感情の動きや人間の本質を知っているかがプロダクト成功の鍵になると改めて感じました。
また、改めてデザインの影響力は計り知れないなと考えさせられた一冊でした。
プロダクトデザイナーであれば、この本で紹介されているように人々の習慣を変えてしまう力もあるし、コミュニケーションデザイナーでもそのビジネスの認知のお手伝いをすることになります。
どんな種類のデザインでも、プロジェクトの大小に関わらず「ユーザーの立場で考えること」を大事にしていきたいです。
いただいたサポートは、よりよいデザインができるように美術館の入館料などに使わせていただきます!