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スパリゾートハワイアンズで学ぶ人材育成と観光

町議会議員視察研修で、以前から”ハワイ”つながりで交流のある、スパリゾートハワイアンズを訪問しました。

スパリゾートハワイアンズと周防大島町

調べてみると、スパリゾートハワイアンズ(常磐興産株式会社)と周防大島町との交流は、これまで数々重ねられていました(訪問前に把握しておけばよかったと反省しています)。

2011年9月 「フラガール全国きずなキャラバン」にて訪問
2012年7月 カウアイ島姉妹島提携50周年記念前年祭に出演
2015年7月 明新小学校にて出前授業(震災学習)を実施
2019年8月 「フラガールズ甲子園」(いわき市)に周防大島高校が初出場(以後、2022年にも出場)
2019年10月 「フラガール全国きずなキャラバン2019」にて訪問

PR TIMES 「フラガールが山口県周防大島町を訪問」常磐興産株式会社2019年10月4日に一部追記

東日本大震災の後、ハワイアンズが一時休館していた間に、「フラガール全国きずなキャラバン」が展開されました。2011年5月から10月にかけて、26都府県に海外は韓国を含め125か所をめぐるキャラバンで、周防大島にもお越しくださったのだそうです(当時の町広報誌の記事はこちら)。

また、2019年には、「東日本大震災での多大なるご声援をいただいた全国の皆さまへの感謝、そして近年相次ぐ災害の被災地へ、元気と笑顔を届けたい」との思いで、「フラガール全国きずなキャラバン2019」が展開されました。中国地方では、2018年におきた西日本豪雨災害で甚大な被害のあった広島県呉市、岡山県倉敷市に加え、夏には同じ豪雨で災害があった上、秋には本土と結ぶ基幹道路の橋に貨物船が衝突する事故により被害を受けた周防大島町にも、訪問してくださいました。


ハワイアンズの”一山一家”ストーリー

東海第二発電所の視察の後、スパリゾートハワイアンズに到着した一行にご対応いただいたのが、常磐興産株式会社の関根一志氏(常務スパリゾートハワイアンズ統括管掌・CS企画部・エンターテイメント部担当)。

関根さんは、周防大島にも来ていただいたことがあるそうで、先輩議員の中には再会を喜んでおられる方もいらっしゃいました。

会議室で関根さんがお話しいただいた内容は、想像をはるかに超えるものでした。
・炭鉱から観光へ
・震災からの復興
・コロナ禍を超えて
と、数々の大きな困難を乗り越えてやってこられたその情熱の底には、”一山一家”の精神(炭鉱のまちに根付く、「この山に関わるすべての人はひとつの家族、みんなで助け合おう」という精神)があることがわかりました。
そしてその中心には、”人材育成”が据えられていることもわかりました。

〇炭鉱から観光へ

1.6万人の従業員、家族含め6万人が炭鉱のまちで暮らしていた当時、炭鉱がなくなることは一つのまちが消えるようなものだったといいます。
その当時、会社の常務は効率化省力化の改革を盛り込んだ膨大な提案書を作成したそうですが、ハワイアンズを企画した中村副社長は、新たな”観光”に舵を切ると決めたといいます。

震災、コロナ禍と、会社が直面してきたピンチをチャンスととらえて、自ら変革してきた常磐興業。そこにあるのは、培われてきた「一山一家、手作り、土着、大衆、適時適切」という常磐DNAだと、ご説明がありました。

組織が変革していくにはトップの強い意志(リーダーシップ、見える化、わかりやすいメッセージ)が欠かせないとのお話もありました。達成しようとするイメージを具体化して従業員に見える化して、それぞれの立場で取り組めるようにする。それが単発ではなく永続的な改革につながると。
ビジョンを見える化し、従業員ひとりひとりが自分事として腹落ちできたことは、それぞれ仕事のやりがいにもつながったのではと思います。

あ~、もう一回フラガール観よう!(毎回泣く)


〇震災後

3.11の震災で、実は施設はそう大きな被害はなかったと言います。当時管内にいらっしゃったお客様は、従業員が通れる道を確認し、何とかバスを手配し、送り届けたそうです。
当初4月の再開を予定していたところ、4.11に余震があり、それでいわき市は大きな被害があったそうです。

私は、当時は耳にしたかもしれませんが、そのような災害があったことは全く認識がありませんでした。
友人が住んでいるいわき市なのに。
災害の自分事化ー私自身の課題だなと再確認しました。

これによりさらに半年の休館を余儀なくされたハワイアンズは、類似施設への派遣研修や前述のフラキャラバンの展開を実施されました。驚いたことは、派遣した従業員の給与は自前で、派遣先からはいただかなかったそうです。
”次のステップへの準備期間”ととらえたからこそだと言います。

〇コロナ禍

コロナ禍では、
・業務を細分化し、職員の業務をマルチタスク化
・過去踏襲型の業務の廃止
・顧客単価のアップ
を図り、サービスの”深化と進化”を図ったそうです。

昨年、売上100億円、純利益が6億円に達し、
現在1000人の雇用があるそうです。

受付スタッフ、食事会場、ショーの会場など、多くの従業員の方々をお見掛けしましたが、今時珍しく、皆さん日本人のようにお見受けしました。以下のウェブサイトの記事によると、8割が地元福島県の方だそうです。

”一山一家”の精神で人を大切に、育て、共に成長していくという社風が、人材確保が難しい昨今でこれだけのスタッフを確保できている秘訣なのではないかと思いました。「フラガール」を育てる常磐音楽舞踊学院の存在も、大きいかもしれません。

コンテンツを繋げて、地元を潤す

お話しの最後、関根さんが私たちにくださったことば。

周防大島は、”瀬戸内のハワイ”というだけでなく、すばらしいものが他にもあるよ。


いわきは、ハワイアンズの存在感がとても強いですが、
・私の大好きな水族館「アクアマリンふくしま
・口当たりがよすぎて飲みすぎてしまう「又兵衛」などの日本酒
・「常磐もの」と呼ばれる豊かな海産物や拠点の小名浜港(震災後は本当に苦しい状況だと思います)

などなど、心惹かれるものがたくさんあります。

ハワイアンズのロビーには、
観光スポットをつなぐ乗り合いタクシー「アクアマリンパーク号」のチラシがありました。
ホテルで購入できる、水族館の割引券もありました(もちろん購入♪)。

地元旅行会社と連携してたオプショナルツアー「四季旅行物語」のチラシも。

最寄りのJR湯本駅には、

朝のJR湯本駅

フラシティアウトドア”と銘打って、様々な着地型観光メニューのチラシが置いてありました。

施設に囲い込むだけではなく、地域をめぐってもらう仕掛けを、しっかり展開しようとされていると感じました。

ハワイアンズが人気になった当初、「もっと宿泊部屋を増やしてほしい」という旅行会社からの要望を受け入れず、ハワイアンズから宿泊が溢れたら、周辺の旅館に泊まってもらったらいい、と言っていた、というお話も思い出しました。

”一山一家”はハワイアンズを飛び出して、いわき市のスピリッツにもなっているのかなと感じました。


周防大島町は”瀬戸内のハワイ”だけではないコンテンツもたくさんあります(これが一番のキラーコンテンツというわけでもないと思っています)。

何のための、だれのための観光振興か、何が私たちの魅力なのか。

議員でもあり、観光事業者(宿泊業者)でもある私は、改めてこのことについて考えていく必要を感じました。

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