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追憶のモロッコ料理~安息日にはクスクスを~

お気に入りの国はいくつかあるのだが(まあ主にインドとスペインだけど)、モロッコも私にとっては特別な国。
大好きである。

モロッコについての愛をまた再燃させてしまったのは、映画「モロッコ、彼女たちの朝」を見たからである。
映画に出てくるのは、主に、小さなパン屋を営む未亡人の女性とその娘、そしてイスラム教でタブーとされている未婚の母になろうとしている身重の女性だけ。そして彼女達が作る朝ごはん、ムスンメンなどのモロッコのパン。あの国のあの匂いや雰囲気を思い出させるには十分すぎる映画であった。(内容も良かった。私が好きなタイプの映画だった。)


私はモロッコの砂漠や町も好きだし、雑貨も大好きだが、モロッコ料理も大好きなのである。
スパイスたっぷりだけどチリがあまり使われていないせいかインドほど辛くないし、パンもおいしいし、店の雰囲気とか内装、食器、小物類のセンスも大好き。
モロッコの世界観を取り入れるべく我が家をせっせとDIYしていたブームは現在いったん休止中ではあるが、小物から食器、色合い、柄などなど語りだすと愛が溢れてしまう。
我が家をモロッカンテイストにしていく作戦には気合いが必要なので、その気合いがなかなか出ない今、モロッコで食べた料理を思い出して、家でモロッコ料理に挑戦してみようと思う。



まずはタジン鍋。モロッコと言えばこれである。

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円錐状の蓋が取られている状態ではピンと来ないかも知れないが、これも一応タジン。
一人旅で再訪した時にシャウエンで食べた。

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これは妹とモロッコのサハラ砂漠へ行った時の写真。
妹がハリラスープとそれ専用の木のスプーンを気に入っていて、買って帰った思い出。
野菜をたくさん摂れる料理で私が大好きというものはなかなか珍しい。

こちらは菅野ちゃん(美穂)が来たらしいレストランで食べた羊のタジン。肉は肉でもちろん美味しい。


さて、まずはタジン鍋に挑戦。(注:これは少し前に作ったので記憶はあやふや)

タジン鍋の作り方(うろ覚え)

まずはモロッコ料理に必要不可欠なスパイスを準備。
にんにくはついつい手抜きでチューブ。
そして、俺達のタケルのにんにく旨塩。
行きつけのステーキ店タケルが出している何にでも合う塩。
あとは適当。

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それを鶏手羽元にまぶしてからタジン鍋で焼く。

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それからたまねぎとブイヨンと水をコップ一杯程度入れて、何となくモロッコで撮った写真を見よう見まねに、細長く切った野菜を見栄えよく並べた。
高さを出すために真ん中にトマトを積んで蓋して放置。
写真に撮っておらず記憶があやふやだがおそらくそんな感じ。
それからちょっと蓋を開けてインゲンを並べて、冷凍庫にあったシュウマイをポンポンっと乗せてまた蓋をしてしばらく放置。

さて。

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野菜は何を入れたか忘れたが、この写真を見たところ、たまねぎ、ジャガイモ、にんじん、かぼちゃ、インゲン、あとは水煮で売ってるいろんな豆だと思われる。
そしてシュウマイ。
私は鍋にもシュウマイを入れる人だが、シュウマイってのは何にでも合うから良い。
中国とモロッコのコラボ、タジン鍋の完成。
味は悪くなかった。
しかし、何となくぼやけた味。
まあまあの出来ではあった。
次、頑張るとして。


モロッコ料理を食べるなら、これも飲みたくなるのが常。
甘さたっぷりミントティー。

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モロッコで頼むとこんなにたっぷりミントの葉が入っていて、暑い国で甘さたっぷりの熱いミントティーが合うのなんの。

こればっかりは家では作れないので、パリで買ったリプトンのマラケシュミントティーを。

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モロッコで買ったグラスで飲むとまた良い。

現地では、朝食は、いつもだいたい宿の屋上やテラスで、ムスンメンと呼ばれるモロッコ風クレープに塗るジャムやバター、砂糖がミニタジンにサーブされていて、朝からとってもいい気分になれた。

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このミニタジンの群れを見て、一つも買って帰らないなんて勇気は私にはなかった。
気に入りすぎてフェズやマラケシュの市場でやたらと買ってしまったミニタジンだが、そもそも私は家で優雅にのんびりと朝食を食べない人間のため出番がなかった。
使い道に悩んだが、ピンバッチを入れておいたり、テンションが上がるので、時々わざわざこうやって使う。

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食べ過ぎる自分に蓋が出来るから良い。


さて次は、モロッコで食べた料理の中でタジンの次にお気に入りになっている、こちらのクスクス。

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どっさり乗った野菜のせいでクスクスの全貌がほとんど隠れているが、世界最小のパスタで2~3ミリの小さな粒のことをクスクスという。肉やスープ類と共に食べる料理を総称してクスクスと呼ぶことも多い。
何とこのクスクスは、1年位前にユネスコの無形文化遺産に登録された。
モロッコではイスラム教の安息日である金曜日にクスクスを食べるという風習があった。
今日は土曜だが、私の安息日には違いないので、我が家にて世界遺産を作ることにした。

クスクスの作り方(想定外のハプニングあり)

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KALDIで買ういつものクスクスが売り切れていたので、イオンで別のメーカーのものを買った。イラストがステキである。

KALDIのクスクスは、紙の箱を開けたら、湿気防止のためか、ビニール袋にきっちり包装されている。イオンで買ったクスクスも当然そうなっていると思い込んでいたため、いつもの癖で、思いっきり紙の箱を開けたらこうなった。

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世界最小の世界遺産がうちのリビングに無数に広がった。
こちらのクスクスは、ビニールに包装されておらず、そのまま直に箱に入っていた。衛生面はお構いなしだし、想定外で泣きそうである。

こういうときは同居しているアイツに頼もう。

ボルンバに先にクスクスを食べさせるとして、こぼれた世界遺産をそのままにして、私は先に進むことにした。

クスクスと同じ量のお湯を入れて、オリーブオイルを少し混ぜて5分くらい置く。
それからちょっとバターを入れて混ぜると出来上がり。
食べる前にもう一回レンジでチンをしたら蒸したて風に戻るからちょうどいい。

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これってめちゃくちゃ簡単なので、米を炊く代わりにキャンプ飯にいいのではないか。
ふとそう気づく。
これまで、メスティンで必死に火加減や水加減に真剣に取り組んで米を炊いてきたが、クスクスなら簡単だし時短だし洗い物も少なく済む。
よし。決めた。
次のキャンプはクスクスしちゃうぞ、クスクス。


モロッコ風の煮込み料理の作り方

クスクスに合う煮込み料理を何となくで作ってみることにした。
鍋に鶏肉、たまねぎ、ケフタ(モロッコ風の肉団子)の代わりにジョンソンヴィルのあまり見かけない肉肉しいグリルブラウンというやつを切って、ガーリックオリーブオイルで炒める。
スパイスは今回も何となくでチョイス。
クミン、コリアンダー、パプリカ、しょうがのチューブ、にんにくチューブ、タケルのにんにく旨塩、カンボジアのこしょうなどなど。
それから、冷凍庫や冷蔵庫にあった色んな種類の野菜を投入し、
水を1カップくらい投入、
コンソメ投入、
トマト缶投入。
投入の連続技。
あとはひたすらグツグツと煮た。
野菜は、ジャガイモ、にんじん、かぼちゃ、サツマイモ、ブロッコリー、根菜と豆のパック。何でもいいので適当に投入しまくった。
順番なんて知ったこっちゃない。
換気扇を回しても部屋中に広がるアラブの香り。
アザーンが聞こえてきそうな、いい気分である。
味見をしてみると少し薄い気がしたが、そういう時は何のスパイスを入れたらよいのか分からず、基本の普通の塩をたっぷり入れて、カレー粉をちょびっとと、岐阜で買ったカレー用の蜂蜜を入れてみたら整った。
かなり美味しい煮込み料理になった。

よし完成。
クスクスの上に盛り付けてモロッコ柄の手作りトレイに乗せてみたら、ものすごく良い。

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肉が少ない気がしたので、冷凍庫にあったコストコのプルコギビーフを炒めてトッピング用に添えた。
今回は、韓国とモロッコのコラボ。

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上から撮ったら、床に広がる世界遺産クスクスを、うちのボルンバがまだ一生懸命走り回って食べているのが写り込んだ。
かわいい奴だ、お疲れ様です。

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モロッコで買ったハリラスープ用の木のスプーンが、現地感をプラスしてくれている。
やはり、決め手の雰囲気作りにSpotifyでアザーンを聴こう。
あまりに気分が良いのでモロッカングラスに白ワインを入れて、昼間からいただくことにした。
クスクスを食べている私の安息日は、働いてはいけなくて、ソファーに寝そべっていないといけない。だが、アルコールや娯楽はOK。
アポロチョコじゃなくてリンツのチョコレートをミニタジンに忍ばせてスイスともコラボ。
たくさん作りすぎたので、お気楽な安息日はまだまだ続くのであった。



旅で食べた味を、普段そんなに料理をしないくせに、意外としょっちゅう果敢にも自己流で再現している私であった。



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