昔、ばあちゃんの家で
朝起きると
ばあちゃんの枕元には
飲みかけのサイダーの瓶がある

夜中に喉が渇いて
酒屋の冷蔵庫から持ち出して飲んでいる

ばあちゃんの癖

「あんたも新しいの持って来て、飲まれ」
わたしにもすすめる

ばあちゃんの口には
あのシュワシュワの炭酸が心地いいのだろう

母も良く炭酸を飲んでいた
母のお気に入りは三ツ矢サイダー

今はペットボトル
冷蔵庫に入れて冷やす

今日はばあちゃんの月命日
昨日の買い物で炭酸を買って来る

確かばあちゃんのお気に入りはキリンレモンだったはず
買ってきて直ぐに冷蔵庫に入れる

朝お供えをする時に
ばあちゃんの写真の前に置く

倶母さんのこと
よろしく頼むね
倶母さんもおっかちゃんのことが大好きだったね

そんなことを思うだけで泣けてくる

母があの世に旅立ってから
ばあちゃんのことも身近に感じる

母の遺影の斜め後ろにはじいちゃんとばあちゃんの遺影もある
ばあちゃんの写真は
わたしが撮ったものを母が遺影に選んだ
目線がカメラから外れているが
これがばあちゃんらしい姿

母の遺影とばあちゃんの遺影を見比べて
「似てるね」と二男がつぶやく

母はばあちゃんの品の良さが好きだったからよろこんでいるに違いない

やっぱり似てる

ばあちゃんは母のそばにいる
いつも天命庵の御霊屋で祈る時
じいちゃんとばあちゃんと父のことを思う
多分、ばあちゃんの魂と父の魂は母のそばにいる
寄り添っているのだろう

じいちゃんの魂はどこいった？
少し離れたところから見守っているのか

今年の夏は異常に暑い

ばあちゃんは冷たいキリンレモンをよろこんで飲んでくれただろうか