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連絡が来ない

もう三十年以上も前からの友だちが
「ノリかなから何の連絡もない」
と焦りまくったそうである

年賀状が来なくても
すこし遅れて
いつも手紙を出していたのに
今年は来ない

来ない、来ない
どうしたんだ?

何年も連絡してないけど
ノリかなにつながりそうな知り合いに連絡をしようかな?

彼女は真剣に思い悩んだ
もう一度葉書を書いて出して見よう 
それでダメならまた考えよう

ずっとずっと細いけれど
つながっている
精神世界を求めている
一緒に呼吸法を習っていた

不思議なことをいっぱい言う
でも私にもそれは分かる 
彼女の言うことを
いとも簡単に乗り越えられる私

葉書が来て
これはまずいぞ…と感じた
わたしは
焦りつつも
長い長い手紙を書いた

母が旅立ち、自分の落ち込み
それから息子たちの結婚
近況報告を

最後には携帯番号と家の電話番号

手紙が届いたころに電話がかかってくる
声を聞いただけで
彼女と分かる

もう二十年近く会っていない
最後に会ったのは
私たちの子供を受け止めてくれた助産師K先生のお墓参りだった

その先生のことを彼女に教えたのは私

普通の産院ては産みたくないという彼女に「少し遠いけれど通ってみる?」というと二つ返事で通い出し
そこで出産


相変わらず彼女は
「自分の始まりは小さなひかりだった」とか不可思議な話しをする
でもそんなことは私にもわかる
「うん、うん」と黙って聞く

「ごめんね、わたしばっかり話をして」
「いいよ、いいよ」

「でもちゃんと子供たちを一人前にして、良かったよ」
「まあね…」

「きっとお母さんはいつもあなたと一緒にいるよ、だから安心して」
と励ましてくれる

また少ししたら手紙を書こう
長い長い手紙を

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