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道化師

海が果てまで引いてしまった砂浜で
音が空白に吸い込まれてしまった砂浜で
命が香りを流され尽くしてしまった砂浜で

呼ばれてもいない
道化師がひとり
断絶から浮かび出る

世の中から剥がされた色を纏い
華美の崩れた醜態を晒し
まだらの息を吐きながら
じっと沈黙と対峙する

その視線は
絶望にしか届きはしない
孤独しか見るものはいない

千切れかかった手足に猶予はない
道化師は大きく生唾を飲み込む

自らの震えを振り切った今
忘却への階段を上り
意識の舞台で
最後の演技が始まる


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