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手術した夜に

まるでたった今生まれたかのようだ
突然目の前の視界が開けた

病室では看護師さんが忙しそうに動く
時刻を尋ねると夜の7時半だそうだ
7時半か…心でぼんやり呟いた

 朝8時半に徒歩で病室を出た
 手術台に乗ったのは9時前だっただろう
 心電図や点滴等を装着され
 まもなく時計を落としてしまったのだ
 夢を見ることさえ許されなかった

看護師さんがモニターする
体温38度7分 脈拍102 収縮期血圧168…
体のあちこちの痛みが表示される

酸素マスク ドレーン カテーテル 点滴…
横たわり彼らの息や呟きを聞いている

鏡に映る配線だらけの姿を虚ろに見詰める
閉ざされ切り離された一枚の絵画のようだ

動く右手で布団をギュッと引き寄せた
私から抜け出し室内を漂う現実を
浮き立つ現実を手繰り寄せるために

咳き込むと飛び出したのは赤く薄汚れた痰
咳であり血痰であり命の防御反応だ
生きている証が愛おしい

たぶん明日はやってくる
きっと明日はやってくる

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