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ビジネス力の磨き方 (大前 研一)

 大前研一氏のファンではないのですが、氏の本は時折手にします。一番最近は、「ロウアーミドルの衝撃」でした。

 本書は、社会・経済的なテーマを論じたものではありません。仕事に取り組むに当っての「大前式メソッド」を紹介したものです。
 大前氏の本にはお約束となっている話はともかく、素直に「なるほど」と思ったところをご紹介します。

 まずは、先を見通す力「先見力」についてです。
 大前氏は、「先見力」の発揮プロセスを4つのステップで説明しています。

(p19より引用) 自分の周囲のみならず、さまざまな場所、異業種などで起こっているありとあらゆる事象を観察することが、先見力の第一歩なのである。
 そして、それらの事象の中から、ひとつの現象となって未来に影響を及ぼすであろう兆しを見極めるのが、次の段階だ。・・・具体的にいうと「Forces at Work」に注目するのだ。
 この「FAW」というのは、・・・無理やり日本語を当てはめるなら「そこで働いている力」ということになる。ある傾向を伴った事象があれば、そこには必ずその事象を発生させるだけの力(FAW)が働いているはずだから、それを分析し発見するのだ。
 それがわかったら次は、その力の方向に現在の事象を早送り(FF)してみる。そうすると、五年後、十年後、いまの事象が社会にどのような変化をもたらしているかがみえてくる。
 私のいう先見力とはこの、①観察、②兆しの発見、③FAW、④FFが正しくできる能力のことなのである。

 「FAW」から「FF」という言い様はなかなか面白いです。変化の本質をつかんで、それから未来を類推することですから、まさに王道ですね。

 そのほか、物事に対する「姿勢」について、大前流アドバイスです。
 まずは、固定観念に縛られたり、自分自身を実態以上に過小評価したりすること等によって生じる「思い込みの壁」について。

(p61より引用) 壁が突破できないのは壁が巨大だからではなく、じつは巨大な壁を前にもうダメだと自分で思い込んでしまうからなのである。
 なかにはもともと何もないのに、自分で勝手に壁があると思い込んで途方に暮れているなどという人もいる。・・・
 しかし、それが「思い込みの壁」だと分かりさえすれば、突破するのは簡単だ。思い込みだと気づいた途端に、壁のほうから消滅してくれる。

 また、いろいろな人からもよく言われることですが、大前氏もやはり「悩むよりは行動せよ」と勧めています。

(p149より引用) だいたい、これまでの人生で、悩んで問題が解決したなどという経験は一度もないのだから、悩んだって仕方がないだろう。
 だから、私は悩む暇があったらまず行動する。それでうまくいけばよし。もしうまくいかなかったら、どこが悪かったのか、その原因を徹底的に探し、それを排除するには自分には何ができるかを考える。そうすれば、次は必ずもっとクレバーな行動がとれるというわけだ。
 仕事でも人生でも、たった一度の失敗で終わりになるなんてことはないのだから、このやり方がいちばん確実で効率がいいのである。



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