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地元を豊かにするには?今すぐできる10のこと

地元消費を増やすべき理由は「乗数」にあり


手前味噌で恐縮ですが、スイデンテラスの朝食の食材は8割が地元産。また、従業員も、8割近くが地元出身や地元在住者です。
域外からいらしていただいた方の宿泊費は、従業員の給料やリネン業者への支払い、生産者への食材の購入費などとして支払われます。そして、受け取った彼らも、その一部あるいは大部分を地元で消費します。さらにそれを受け取った人がまた消費する。このような形でお金が循環していくことを経済用語で「乗数」といいます。

一定の地域内でお金が何サイクルも循環すればするほど、お金はその地域から離れることなく、より早く循環するようになり、さらにより多くの収入、富、そして雇用を創出するようになる。そして、このようなコミュニティ経済の基本理念が、コミュニティが得る収入を最大限に伸ばし、そしてコミュニティから離れていくお金を最小化することができるのだ。

「スモールマート革命」 p80

チェーン店であれば、ごく一部がパート従業員や、フランチャイズの店舗オーナーに支払われますが、大部分の富は、本部が吸い上げていってしまいます。ロードサイドのショッピングセンターも同様です。

2004年、シビック・エコノミクス・コンサルティンググループは、シカゴ近郊のアンダーソンビルの調査を行った。その調査によれば、地元レストランで費やされた1ドルは、チェーン店よりも25%高い経済効果を地元経済に与えることがわかった。地元の利益は、地元小売店では63%多く、そして地元サービス業については90%多いことが判明している。

「スモールマート革命」  p92

地域経済のキープレイヤーは消費者

私が考え方の参考にしていたのが、「スモールマート革命 持続可能な地域経済活性化への挑戦」(2013年 マイケル・シューマン著 )です。

この本には、グローバル企業との対比の中で地域企業のほうが、地域に利益をもたらすことを論証し、資金循環による地域経済のあり方を論じるとともに、消費者、企業、行政などの観点から何をするべきか具体的な方策が示されています。

私は、2010年からの4年間を函館でNHKの報道記者として過ごしていました。観光客がたくさん訪れ、ブランド調査でも毎年上位に来る函館であっても地域経済は全く豊かではありませんでした。取材の資料として購入したのが本書でした。

その後、山形局や鶴岡支局に転勤になってからも、ことあるごとに見返して実践してきました。特に、私がたまに見返しているのが、消費者が何をすればいいのかランキング形式で紹介されている項目です。

ただ、アメリカの2002年のデータをもとに書かれても飲み込みにくいので、日本の消費支出のデータをもとに、勝手に日本版(地方都市向け)を作成しました。

地元を豊かにしたいという方は、自身の行動と照らし合わせながら御覧ください。

こちらは、国の消費動向調査の2022年版のデータです。一番近い、山形市のもの。


さて見て行きましょう!

地元化できること トップ10


第10位 地元で(の酒を)飲む、煙草をやめる
酒類、たばこの購入額の合計が6,827円。年間で81,924円
山形県に住んでいれば、日本酒にワインに、梅酒に、豊富な選択肢があるので、これは、いけそうですね。特に、スーパー主婦の店は酒類が豊富でおすすめです。

地元産の煙草は、ほぼないということと、肺がんになると、高度な医療が必要になり、治療費や薬代が外に流れてしまいます。

第9位 車のサービスを地元化する
自動車の購入費用を除いた自動車等関連費(ガソリン代、保険料、修理代、駐車場代等)が23,285円/月。
これを地元化するには、地元資本のガソリンスタンドを利用することがあげられます。これは自分自身も意識できておりませんでした。

それから、自動車の修理やタイヤ交換などは、◯エローハットや◯ートバックスなどにいかずに、地元の車屋さんでタイヤを買ったり、修理をしたり、整備をすることで地元化できます。

我が家では、整備・修理は、大山ボデーさん、タイヤ交換・保管は佐藤タイヤさんにお願いしています。気軽に相談できるので、金額以上のメリットを感じています。

ちなみに大山ボデーさんでは、軽トラやキャンピングカーのレンタルもできますので、結構便利ですよ。


第8位 地元の慈善活動に寄付する
これ、日本の統計ではどこに属するのかわかりません。寄付の文化も欧米とはまた違うのでしょうね。

個人的には、海外の地震や戦争へのチャリティをしていますので、ここは該当していません。

第7位 家庭でのエネルギー使用を地元化する
水光熱費は、26,515円/月。うち電気代は、半分を占める13,298円。
節電には皆さん取り組まれているかと思いますが、更に一歩進めようとすると、屋根上に太陽光を置くということになります。それだと、だいぶハードルが上がります。

我が家では、断熱して、そもそもの使用量を減らす作戦を立て、昨年、断熱改修を自前でやりました。冬場の光熱費はだいぶ抑えられましたし、なにより温度変化がゆるやかになり快適に過ごせるようになりました。夏場のエアコンの効きもよくなったので、節電に繋がっています。



参考にした本はこちら
(便宜上、amazonを載せていますが、ぜひ書店でお買い求めください。なお、アフィリエイトではありません)


今日、エネルギーにかかるほとんどすべてのお金は地域から出ていき、この漏損は石油や天然ガス、また他の燃料の価格上昇に比例して増加する。地元のエネルギー自立が遅れることで発生するコストを考えると、今すぐに行動しなければならない緊急性がある。

「スモールマート革命」 p170

コミュニティ単位でいえば、バイオマスや風力など、地元で生産可能な再エネの導入に対して、住民投票を行ってでも推進するべきということも記載されています。

政府も、ガソリンの購入補助を出していますが、焼け石に水で、本来は、外国依存を減らし、エネルギーを地元化できることに、投資するべきだと私は思います。

第6位 新鮮な食べ物を買う
食費は、91,274円/月。
鶴岡市に住んでいれば、産直やスーパーで地元の旬の食材を見つけられますので、多くの人が意識せずに取り組んでいるかもしれません。
一方で、魚の消費量はだいぶ減っているので、外国産の魚に手が伸びそうになったら、庄内の漁師さんの顔を思い浮かべて、由良産の魚を買いましょう。旬も楽しむことができて、質の良い食事をすることができて、健康にもつながる。一石三鳥です。

ちなみに、お魚を買うならこの2店舗が料理人のおすすめだそうですよ。
坂尾鮮魚店
https://twitter.com/sakaosakanaya

庄内観光物産館 おさかな市場
https://www.shoko-corpo.jp/bussan/shop/osakana/


第5位 地元の医療を利用する
保健医療は11,454円/月。この中に含まれている医薬品やサプリメント、保健医療用品・器具などは、県内製造が少ないので、地元の医院、歯科医院を利用することや、高度な医療や薬剤に頼らないように健康に過ごすということが一番です。我が家では、歯医者は、日本の予防歯科の権威である酒田市の日吉歯科に通っています。親としても、一生使う歯を子どもたちに残してあげたいと、予防のためのメンテナンスに通っています。自費診療ですが、おすすめです。


煙草が原因となる肺がんは、高度な医療が必要になりますので、吸わないことで、地域のお金が外に出ないことに繋がります。

これらの支出を地元化するただ一つの本質的な方法は、アメリカの医療を治療から予防へと変えていくという、長期的視点に立った転換である。

「スモールマート革命」 P172

第4位 地域の娯楽を見つける
教養娯楽の費用は、47585円。ここが結構難しいところで、都会と比べて文化的な活動のバリエーションが少ないというのが、悩みどころ。先日、友人に連れられて三軒茶屋を散歩したときに、徒歩で行けるところに、劇場や博物館があるのは、羨ましいと思いましたね。地元の映画館で映画を見る。ミッションインポッシブルを見に行くなら、三川イオンではなく、山形市のムービーオンで見るとかですかね。。。非常に難易度が高い。。。

「創造的経済力(クリエイティブ・エコノミー)」を持続させ才能豊かなビジネスをその土地に呼び込んで定着させるには地元のファンの存在が最も重要である、とリチャード・フロリダが主張していたことを、今一度思い返してほしい。地方のコミュニティにとって、地元の娯楽経済の拡大は、慢性的に退屈している若者に対して地元に定着するよう説得するための最善の方法となるだろう。

「スモールマート革命」  P174

図書館がパワーアップして映画のDVD借りれたり、電子書籍を借りれるようになってくれたらいいなと思いますね。
はしご酒が私にとっては娯楽ですが、次の項目で紹介します。


第3位 地元で外食する
一般外食が17,455円/月。
家族で外食に行く際に、マッ◯などのチェーン店とか行ってませんか?

こうしたチェーン店は幼い子どもたちをー私の子供を含めー脂肪分・塩分・糖分漬け、チープな中国製のおもちゃ付、あくどいコマーシャリズム漬けにしている。こうしたところに行くことをやめて、地元のレストランや家族経営の食堂を利用すれば、地元化への大きな一歩を踏み出すことができる。

「スモールマート革命」p174

我が家では、私がチェーン店にいかないという選択をしているので、家族で外食をする際には、麺屋いたがき、緑のイスキア、キッチン Futaba、ジュールファストなどを訪問しています。

どこで食べるといいかわからない方向けに、私は、google mapとinstagramで美味しいお店の情報共有に取り組んでいます。こちらもぜひ御覧ください。
https://www.instagram.com/shonai__gourmet/

第2位 車の使用を半分にする
家計調査では、車の購入費のデータがないので、我が家のフリードスパイクを10年乗る前提で、計算すると年間21万円、月々1万7500円。2台分だとすると、月4万円ほど。

過去に何度か車を減らせないかと検討したのですが、公共交通機関が発達していないため、踏み切れません。近所のスーパーでも、車で行ってしまっているので、反省します。

第1位 家を地域化する
消費支出調査にはないため、山形県で家を買った場合の参考値として2500万円ほど、35年ローンにした場合の支払い額が62927円/月。住宅ローン返済支出割合(住宅ローンを返済している勤労者世帯)の調査によると、一家計あたり年間109万2852円が住宅ローンの返済に当てられているそうです。

こうした金額が、◯マホームやセキス◯ではなく、地元の工務店に支払われたり、金利が地元の金融機関に入れば、乗数効果によって、地域経済が潤うことになります。

一方で、断熱がしっかりしていない場合、余計に光熱費がかかってしまいますので、そうした条件もよく考えて選ぶべきです。

我が家は、転職前に慌てて購入する必要があったため、地元工務店の建売住宅を選びました。地域にお金を回したという点は誇れるものの断熱の基準が低かったため失敗したなと思っています。またローンは、当時最安だった、優良住宅ローンから借りているので、地元化できていません。金利が安くなっていたら、借り換えというのも選択肢になるかもしれません。

ランキングは以上です。

皆様、なにかご自身でできそうなこと、見つかりましたか?
ぜひ、一緒に地元化していきましょう!

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