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8月に子育て家庭が気をつけたいことまとめ/キッズドクター看護師からのお便り

こんにちは。キッズドクターで「チャット健康相談」を担当している、看護師の小山内と申します。

子どもたちの待ちに待った夏休みに突入しましたね! あっという間にお盆休みがやってきて、ご家族皆さまで過ごすレジャーシーズンになるかと思います。 そんな楽しい休暇中に気をつけたいことを、キッズドクターによく寄せられるご相談をもとにまとめました。参考にしていただけると幸いです😊

8月に気をつけたいこと①食中毒

嘔吐や下痢を起こす胃腸炎は秋〜冬に起こるイメージがあるかと思いますが、 同じような症状(下痢、腹痛、嘔吐など)が起こる「食中毒」は、今の季節が最も多くなります。食中毒を起こす原因となる細菌にとって、日本の夏は「高温多湿」で最も生きやすい環境だからです。

食中毒を起こす原因となる細菌はいくつも存在しますが 今回は身近に潜む細菌を4つお伝えします。

食中毒の主な原因菌

1.サルモネラ菌
十分に加熱されていない肉や魚、卵料理に潜んでいます。

2.カンピロバクター菌
原因となる主な食材は、生の鶏肉です。 鶏のお刺身やたたき、加熱不足の唐揚げなどで感染する例もあります。

3.腸管出血性大腸菌(O157)
O157の毒性はフグ毒の30~50倍あるとされていて、非常に少ない細菌量で発症する食中毒のため、集団感染が起きやすいという特徴があります。

O157の原因となる主な食材は生の牛肉で、ユッケや生レバーなど加熱不足のローストビーフやハンバーグなどでも感染することがあります。

4.黄色ブドウ球菌
黄色ブドウ球菌は、人や動物の傷口(特に化膿しているもの)をはじめ、手指・鼻・のど・耳・皮ふなどに広く生息しています。 怪我をしている時だけでなく、健康な人の20〜30%が保菌していると言われています。

原因となる主な食材は「手作り食品」です。素手での調理を避けることで、感染を防ぐことができます。

食中毒を防ぐための3つのポイント!

食中毒の感染を防ぐためには、原因となる細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」という3つの対策が重要です。それぞれご説明していきます。

1.菌を「つけない」🙅‍♀️
買ってきた食品は、お肉以外しっかりと洗いましょう。特に生で食べるものは丁寧に洗ってくださいね。 野菜は見た目がきれいでも土や様々な雑菌が付いているで、流水で洗ってください。ただしお肉、特に鶏肉を洗うと食中毒のリスクが上昇するので、お肉は洗ってはいけません🙅‍♀️

また調理をするときには石鹸でしっかりと手を洗いましょう。手には見えない細菌や雑菌がたくさんいます。別の食材の調理に移るときも、忘れずに洗ってくださいね。

最後に忘れてはいけないのが、調理器具を洗うことです。 「お肉を切った後にさっと水洗いした包丁で生野菜を切る」などは絶対にやめましょう。 1回使った調理器具を再度使用するときは、その都度洗剤で洗うようにしてください。バーベキューなどを行うときも、調理器具が足りずに生肉を切ったあとの包丁を別の食品に使ってしまう…なんてことがないようにしてくださいね。

おにぎりなどを素手で作るのも危険です。きれいな手袋を着用して握ったり、ラップの上から形成したりするようにしましょう🍙

2.菌を「増やさない」🙅‍♀️

食べ物に付着した菌を増やさないためには、低温で保存することが重要です💡

まず、肉や魚などの生鮮食品やお惣菜のように、冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の買い物は、外出時の1番最後に行ってください。購入したら寄り道せずまっすぐ持ち帰るようにしましょう

購入後は、できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。ただし冷蔵庫にぎっしりものを詰めると庫内の温度が上昇してしまうので、7割くらいの使用に留めておきましょう。

レジャーなどでお惣菜やお弁当を持ち歩くときは、保冷バッグに凍らせたペットボトルなどと一緒に入れて保存するようにしましょう。

3.菌を「やっつける」🙅‍♀️
ほとんどの細菌やウイルスは、加熱によって死滅します。肉や魚を加熱するときは、中までしっかりと火が通っているか最後に確認してください👀

この時期は野菜も加熱して食べるとより安心です。レタスやキャベツなどサラダによく使われる野菜も茹でたり加熱することで、一見量は減りますが、柔らかくなって食べやすいです。 子どもにもちょうどいい固さになるので、お家でのサラダは温野菜サラダがおすすめです。 (ちなみにレジャーのお供として手軽なサンドイッチが人気ですが、生野菜が挟まれているためリスクが高くおすすめできません🙅‍♀️)

また生卵で食べる卵かけご飯が大好きな子も多いかと思いますが、賞味期限切れの生卵による食中毒で子どもが死亡した事例もあるので、期限が過ぎた卵は絶対に生で食べないようにしてください

8月に気をつけたいこと②脱水

最近では各地で40度前後となる日も増えています。 ここまで気温が上がると、汗をかく量も当然増えます。 どんどん出ていく水分に対して取り入れる量が少ないと、体から水分が抜けていき脱水状態(脱水症)になります。

脱水症とは水や電解質(体内の塩分やカリウムなどのミネラル)が汗で失われている状態で、重症化するまで症状が現れにくく、注意すべき夏の病気です。症状や対策を詳しくご説明しますね。

脱水症の症状は?

脱水症になると、全身に十分な血液が巡らなくなり、腎臓などの体の機能が低下します。 食欲不振や頭痛、全身のだるさ、脚がつったりしびれたりという症状が起こることもあります。

脱水症を防ぐには?

脱水症を防ぐには、何よりも水分補給が大切です🚰

人間は涼しい部屋で生活しているだけでも、思っているよりたくさんの水分が失われていきます。汗や尿も合わせると、だいたい毎日2~2.5ℓの水分が排出されています。

大人は喉の渇きを感じて自らこまめに水分摂取ができますが、子どもは喉の渇きを訴えることが難しく、脱水症を起こしやすいです。 そのためママやパパが子どもの水分摂取の管理をしっかりと行う必要があります💡

水分摂取を行うときに注意したいのが、 ただの水分(お茶や水)だけでは十分な水分補給ができない可能性があるという点です。 大量に汗をかいて水分を失った場合、電解質(塩分やカリウムなどのミネラル)を含まない水やお茶だけをたくさん飲んでも、 体に十分に蓄えられず、またすぐに出ていってしまいます。 そのためますます脱水が進み、ときには電解質不足となり脱水症の重症化や熱中症の発症につながります。

普段のお食事の時の水分補給はお茶や水でもよいですが、たくさん汗をかいた時には、子ども用のイオン飲料や経口補水液などの電解質を含んだ飲み物で水分を補ってください

ちなみに電解質経口補水液は自宅でも作れます!下記のレシピを参考にしてください✨

市販のイオン飲料よりも甘味が少なく独特な香りがあるので、飲みにくい場合はレモンやグレープフルーツ果汁を入れて香り付けしてあげてください。 それでも飲みにくい場合は分量の砂糖を減らしてリンゴジュースを入れるといいですね。 ただしあまりに甘いと喉の渇きを促してしまうため、「少し甘みが足りないな」くらいを目処に追加するようにしましょう🍎

レジャーや夜間の隠れ脱水に注意して!

元気そうに見えても進んでいる「隠れ脱水」にも注意が必要です。

夏休みで家族とのお出かけの際に車を使って長距離ドライブになることもあるかと思います。渋滞などに巻き込まれた際はトイレが近くなるのを防ぐため、水分摂取を控えたり我慢させることもあるかもしれませんが、これは危険な行為です。 車内は涼しくしていても、直射日光の当たる空間です。しっかりと水分補給を行いましょう🚗

また夜間も同じように、おねしょ問題やトイレに行くのに起きてしまうのが嫌で、就寝前の水分摂取を控えている方もいるかもしれません。しかし寝ている間に人は500ml程度の水分を失っています。 寝る前にしっかりと水分補給をしておかないと、翌朝脱水になっているということも考えられるので、気をつけましょう。

夏休みは8月末までのところが多いですよね。 学校や幼稚園、保育園にいっていない間はお家にいる時間も増えて、宿題を見たり、遊びに付き合ったり、毎食の食事を用意したり…ママやパパはゆっくりできる時間がますます減ってしまっているかと思います。この暑さも相まって疲れが溜まりやすい時期です。体調には十分気をつけて過ごされてくださいね😊