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映画『ボギー!俺も男だ』(1972年)のザックリとしたあらすじと見どころ

映画タイトル:ボギー!俺も男だ
原題:Play It Again, Sam
製作年:1972年 アメリカ
監督:ハーバート・ロス

映画『ボギー!俺も男だ』は、

ハンフリー・ボガードの幽霊に翻弄される冴えないライターの奮闘を描いたコメディです。監督はしなかったものの、この映画はその後、ウディ・アレンが同じテーマやキャラクターで映画を作り続ける「原型」となる作品です。

キャスト

・ウディ・アレン(アラン・フェリックス)
うだつの上がらない映画ライター

・ダイアン・キートン(リンダ)
アランの友人 ディックの妻

・トニー・ロバーツ(ディック)
アランの友人

・スーザン・アンスパッチ(ナンシー)
アランに愛想を尽かして出ていく妻

・ジェリー・レイシー(ハンフリー・ボガードの幻)

映画『ボギー!俺も男だ』の見どころと感想

映画ライターのアランはハンフリー・ボガードに心酔しきっており、妻ナンシーに「一緒にいてもつまらない」と離婚されしまいます。落ち込むアランを何とかしようと友人夫婦のディックとリンダは女友達を紹介します。が、自信がないくせにこだわりばかりが強いアランは、女性とイイ関係が築けません。

で、そうこうしているうちに、友人の妻リンダに心惹かれていくアラン。

悩めるアランの前に現れたのは、大好きな映画『カサブランカ』のヒーローである憧れのハンフリー・ボガード(の幽霊!?)

ボギーは「女を落とすテク」をアランに伝授しますがー。

評)ダンディズムへのシニシズム ウディ・アレン映画の原点的1本

ハンフリー・ボガードとウディ・アレン。
男性としての魅力というか方向性がまったく異なるように思うのですが、そんな方向違いのところに憧れてしまう主人公アランがなんとも滑稽で愛おしいのです。人とは往々にしてそんなもんで、自分にないものや程遠いものに憧れてしまうのでしょう。

この映画は1969年にヒットしたウディ自身による舞台を映画化したもの。原題「Play It Again, Sam」を直訳すると「アレを弾いてよ、サム」という意味です。サムというのは、映画『カサブランカ』でボギー演じるリックが経営する酒場のピアニストで、リックと訳ありの美女イルザ(イングリッド・バーグマン)が久々にやってきて、「(思い出の)あの曲を弾いてよ」と言うシーンに引っかけてあるんですね。

ま、こんなふうにガッツリ「カサブランカ」ネタが出てくるので「カサブランカ」も見ていたほうがこの映画は楽しめるかもしれません。が、私はどうにも「ボギーのダンディズム」というのがよくわからない。「ボギーのどこがイイんじゃんろ?」と思いながらこの映画を見てしまうせいか、「ホントはウディ・アレンもボギー的なダンディズムなんて過去のものと思っていて、それを茶化しているんじゃない?」と思えてきてー、それが面白いのです。

さらに、この映画はウディ・アレン監督作品ではないんですね。
舞台でヒットした作品の映画化に乗り気じゃなかったとか、『ウディ・アレンのバナナ』と『ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう』の公開から間もなくて忙しかったとか、いろいろな理由があるようですが、ハーバート・ロスが監督したことで、それまでのウディの映画に比べ、きっついギャグは控えめで上品でスタイリッシュでロマンティックな作品に仕上がったのですからホントにありがたい。

さらに、この映画でウディ・アレンのミューズとなったダイアン・キートンは、舞台版のオーディションで見出され映画にも起用されたのです。コメディエンヌとしてのセンスと、その後ウン十年に渡ってハリウッドのおしゃれ番長として君臨することを予感させる個性的でファッショナブルな存在感が光り輝いています。

このほか、ウディ・アレンの親友役の常連トニー・ロバーツなど、ウディ・アレン映画の原点が存分に楽しめるおすすめ映画です。


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