俺はゴミじゃない

大川興業のヴィジュアル系芸人 俺はゴミじゃない(と言う芸名) です! ここには主に小説…

俺はゴミじゃない

大川興業のヴィジュアル系芸人 俺はゴミじゃない(と言う芸名) です! ここには主に小説を投稿します! よろしくお願い致します! とりあえず「!」を多めにして元気の良い感じが出ている自己紹介文にしました!

最近の記事

プレス!プレス!そしてプレス!

「ヨシノのことが好きです! 俺と付き合ってください!」 学校の体育館裏に呼び出され、同じクラスの男子、カケイから告白された。 カケイが私に好意を持っていることは去年、高校1年生だったときから知っている。 この学校では比較的明るく元気な性格で友人も多いカケイは、休み時間になるといつも馬鹿でかい声で他の男子たちとふざけ合っている。その都度、要所要所で私のことをチラチラ見てきてたし、下校のとき、廊下を歩いている私の前に他の男子に突き飛ばされるような形で躍り出て来て、「あ、すみません

    • ボクヒコちゃん

       俺は小型犬を飼っている。雄のポメラニアンだ。捨て犬だった。令和の時代にこんなことがあるのかと言うような、ダンボールに「拾ってください」の貼り紙。近所の電信柱の影に置かれていた。  仕事帰りの夕方にそれを発見した。まだ掌に乗るくらい小さいその犬は俺を震えながら円らな瞳で見つめていた。その様子は「犬」ではなく、「ツブラメ」という別の種族の様。目が合ってしまえばシンプルに「うあ。可愛い」が俺の感情を支配する。今までの27年間、動物を飼ったことは一度もなかったが、一気に心が持ってい

      • 美化の現実〜或アイコク者が夢見た世界〜

        令和となってはや幾年。 或アイコク者が独り言を言う。 「美しい国日本。 誇り高き国日本。 取り戻さねばならない。 そして今度こそは勝たねばならない。 この世界一素晴らしい日本と言う国を名実共に世界の頂点にせねばならない。 私の愛国心は日本で一である」 或アイコク者は毎日のようにこう呟く。 彼には壮大な計画があり、 そして彼にはそれを成し遂げるだけの才能があった。 マッドサイエンティスト。 どんな物語もこう呼ばれる人物が登場すれば進行が容易になる。 様々な原理原則の説明を省き、

        • 動く

          夏の朝、僕は仕事へ行く為電車に乗る。 始発の電車なので空いている。だから座る。 電車はダイア通り進んで行き、 駅に止まる度に、人が乗ったり降りたり。 誰が乗って誰が降りたか、 そんな事はいちいち気にせずスマホで朝のニュースを見たり、マンガを読んだりしているのだが、 ふと目をやると正面の座席に全身タトゥーだらけの男がふんぞって座っていた。 非常にかったるそうだ 顔以外は殆どタトゥーだ。 暑いからなのか、 見せびらかしたいからなのか、 黒のサイズが大きいブカブカのタンクトップに短

        プレス!プレス!そしてプレス!

          或る男と女、互いに無関係で

               騒がしい街の、 騒がしいファーストフード店、 様々な人々が色鮮やかにがやがやし、 見慣れて来ると濁って見える。  店内の席に独りの肩まで黒髪が伸びた女が座っていて、 紙コップのちんけなコーヒーを飲みながら、 週刊誌を熟読している。 今、捲ったページを再び戻して読んだのがその証拠である。  男、無精髭、皺だらけのワイシャツと色あせた青いジーパンを履いた男。 がやがやの中を歩き回っている。 やがて女の隣の席に空きを見つけ、 其処に座り、女に声を掛ける。 「わざわざ、こ

          或る男と女、互いに無関係で

          テロリストバナナ

           二つの爆弾。今俺はそれらを抱え込んでいる。  一つ目。それはDNAの爆弾。メンデルの遺伝の法則とやらが本当に正しいのであるとすれば俺にとっては確実に悲劇。  俺の父方の祖父は肝臓癌で死に、母方の祖父は大腸癌で死んだ。これでまず俺が癌で死ぬ可能性が高くなる。  父方の祖母は六十過ぎでアルツハイマーに掛かり頭以外は健康なのに六十半ばで死んだ。母方の祖母は同じくアルツハイマーにかかり六十前半で死んだ。リュウマチも患っていた。これらのため俺が癌に苛まれなくとも、短命で更に認知症にな

          テロリストバナナ

          善人 A GO!GO!

          ここにいるのは1人のいい人。 彼を知るものは皆、口を揃えて彼の事を 「いいひと」 と言う。 どれだけ彼が「いいひと」か? 読者諸君の知り合いの中で1番いい人を思い出してみて欲しい。 そのいい人よりも数段「いいひと」。 それが彼なのだ。 ある仕事帰りの夜道「いいひと」は通り魔に刺された。 激痛と無呼吸を超えた息苦しさを感じながら地べたに倒れ込み、薄れ行く意識の中、 犯人がどうやら面識は無いが、男だと言う事はわかった。 そして自分の胴体に刃物を数回突き刺し、 そのまま去って行

          光陰

          人は 「時間が巻き戻せたら」 とか 「あの頃に戻りたい」 と時間を巻き戻すような事へ憧れる。 と同時に 「早く時間が過ぎないかなあ」 「早く明日が来ないかなあ」 と時間の経過を渇望したり、 「今日と言う日が永遠に続けば良いのに」 と時間の停止とも言える現象を望んだりもする。 兎角人は、時間をどうにかしたがる。 ここに一人の男の子がいる。 ある日、突然物心がついた。 人はそうなるものだ。 皆さんもそうだったであろう。 母親から遊んだオモチャをオモチャ箱にに片付けるよう躾けられ

          かうんせらー

          僕は心理カウセリングを受けに来ている。 仕事や人間関係で疲れているからだ。 かかりつけとなった先生に最近の話を聞いてもらい、僕は何某な心理状態になりやすいとか、何某な精神状態の時には何某な考えに陥りやすい傾向にあるだとか、一通りアドバイスのようなものももらう。 「それでは、また何かあったら来てくださいね」 と言われ部屋を後にする。 これでしばらくは気持ちが楽になるだろう。 私は今心療内科へカウセリングを受けに来ている。 普段は心理カウンセラーをしているのだが、 来る日も来る

          嘔吐(サルトルではない)

          「アッハハ」 「なんだよそれ」 「おかしすぎだろー」 気心知れた仲間数人と久々に集まり 昔から良く行く居酒屋でくだらない馬鹿話に花を咲かせる。 楽しくて仕方ない。 まだまだ話は弾む。 勿論、酒も進むし箸も進む。 お互いの財布事情で限界はあるけれど、 飲めや食えやの大騒ぎ。爆笑爆笑また爆笑。 側から見れば何がそんなに可笑しいのやら。 しばらくすると一人の男が突然黙り席を立つ。 無言で足早に厠へ向かう。 「英太郎の奴、まただな」 「ああ、あいつは酒弱いのに飲み過ぎだ」 「誰か見

          嘔吐(サルトルではない)

          神武以来の天才胎児!

          脈打つ鼓動。 我の音なり。 囁く声は、 我の母なり。 あと数日で「臍の穴」となる場所に、 突き刺さる管は今現在唯一外界との接触。 我は知っている。我は理解している。 我は胎児である事を解している。 そして地球と呼ばれる地上へ生まれ落ちて嬰児となる。 なんの因果か我は天才。 地球と言う星に住まう人類と呼ばれる種の始まって以来の大天才。 過去のどんな偉人の追随も許さない知能を持っている。 さて生まれたら何をしてやろうか? 全人類を虜にする油や絵や金属の建築を創り出してやろう

          神武以来の天才胎児!