パーパス経営_パーパス主導の会社に変わる方法 ハーバードビジネスレビューより
HBR勉強会では、ビジネス誌”ハーバードビジネスレビュー”の特集を取り上げて、毎月勉強会を開催しています。2022年6月号は 「 パーパス経営」というテーマでした。特集の中の「 アジャイルな働き方でパーパス型組織に転換する」という論文を取り上げて、レポートしていきます。
論文によると、多くの企業は、退職者の増加や環境破壊に対処するためにはパーパス主導型組織になることが重要だと理解してはいるものの、実際にパーパス主導型組織になるための、具体的な方法がわからないのだそうです。論文の中で語られているオススメの方法は、 タイトルにもある通りアジャイルな働き方に転換する事です。
ご存じの方も多いと思いますが、アジャイルとは、ソフトウェア開発の手法の1つです。
もともとソフトウェア開発は、ウォーターフォール型と言って、水が上から下に流れるように、上流工程で仕様を全て決めて下流工程で実装するという形をとっていました。水と同じように、下から上には逆流しません。
これに対して、 アジャイル開発では、開発途中に仕様や設計の変更があるのは当たり前で、小さく・素早く作って試してみて、何度も修正を重ねながらな全体の形を整えていくというプロセスをとります。
経営の文脈でアジャイルな組織という場合には、経営者が決めて、現場が実行するのではなく、現場が自分たちで考えて小さなことを実行し、改善を重ねて全体として大きな流れを作っていくというような意味合いになります。
実はこの論文を最初に読んだとき、内容がよくわかりませんでした。「パーパス主導型組織になるためには、アジャイル型組織になるのがいいよ」という所から話が始まりますが、その後はアジャイルの素晴らしさを語ることがメインになり、なぜパーパス主導型組織になるためにはアジャイル型組織になるのがいいのか、その理由がはっきり書いていないのです。 結局パーパスとアジャイルはどんな関係があるの??というクエスチョンが頭をよぎります。
そもそもアジャイル型組織になると言うのも大変な話です。過去のハーバードビジネスレビューでも、どうやってアジャイル化するか自体が特集のテーマになっています。まずアジャイル型組織になって、その先にパーパス主導型組織になるのは、なかなか遠い道のりのように思われます。
どうやら色々な会社の事例を見た結果、パーパスと、アジャイルは相性がよく、パーパスに基づいて社員が自発的に動いているようみ見える組織を観察すると、アジャイル的な働き方をしていることが多い、という話のようです。
個人的には、論文の最後にある以下の部分に、パーパスとアジャイルの関係性が強く現れているのではないかと思いました。
組織に多様な考えを持つ人がいて、アジャイル的に現場で自発的に考えて色々なことを始めると、全体として見た時にバラバラな方向性に進んでしまう可能性があります。
例えば洋服メーカーであれば、高価だけど品質の良い服を使って、長く大切に使ってもらおうという方向と、トレンドに合わせて最先端の服を安く提供し、常に新しいものを楽しんでもらおうとする考え方は、価値を提供しようという熱い思いは同じでも、向いている方向が違います。
そこで、パーパスという向かうべき北極星を定めることが、多様性があるアジャイル型組織をまとめやすくするのではないでしょうか。
パーパス主導型組織になるためにはまずアジャイルな働き方を目指す、と順番で考えるよりも、パーパスやアジャイル、ダイバーシティーなど、新しい組織のあり方はセットで考えるべきものであり、同時に変わっていくものなのではないかと思いました。
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