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万物の霊長も敵わない

ゴールデンウィークも最終日。朝からどんよりとした曇り空に気持ちも曇りがち。
切りかえようと玄関で「よし!」と気合いを入れて重い腰を上げ外に出ると、前方には首を垂れゆっくりとした足取りで道路を横切る一匹の白黒猫の姿が目に入りました。
ご近所さんの飼い猫ハチワレの彼だとすぐに分かりました。

彼はこちらに気づいて静止し振り向くと、だらんとし息絶えた子ネズミを咥えていて、一瞬ドキッとしました。
「なんか文句あるのか!」
と言わんばかりにギロっと睨みつけられ、僕は「いえ、、べつに、、、」
そして、お尻を見せながら悠々と立ち去っていきました。

弱肉強食の世界。
自然の摂理。
傲慢な万物の霊長などそこに介入する余地はありません。生きる強さを目の当たりにして、生物に優越などはないのだと憶えたのです。

しかし、猫だけはどうしても好きになれません。昔、可愛がっていたセキセイインコが野良猫に食べられたからです。そのときのトラウマがいつまでも心に潜んでいます。
子どもの頃のつらい悲しい思い出は、深い傷跡となってなかなか消えないものですね。

しかし、愛鳥が食べられた哀しみも自然の摂理。猫を憎んでも詮方ないことです。幼きころの深い悲哀やその罪もすでに時効となっています。もう許容、宥恕できる大人なのですから。
そう自身に言い聞かせると、トラウマがどこか彼方へ駆けていったような気がしたのです。

ー了ー


最後までお読み下さりありがとうございました。

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