ナオコライフ21 香りの変遷

人の五感の中でも、嗅覚の刺激は記憶に残りやすく、想起するきっかけがまた記憶へとつながりやすい。嫌悪感と結びつきやすい五感のようにも感じるけれど。

求める香りについて。歳を重ねるごとに変遷があって、ふと振り返ってみてそれなりの環境の変化とともにある。

若い頃は、自分を主張するような、人に振り向いてもらいたいような、そんな気持ちがいっぱいで香水をえらんでいたようだ。オシャレのひとつのアイテムとしてのところもあった。地元に帰ってきてからしばらくして、作り込んだ強い香りに拒否反応を示すようになり、どおしようかなと考えたら、隣で売ってる天然香料の香水はリラックスしてつけられたので、そちらに自然に変えていった。ある転機でした。でもその香水はたいしてつけずに、終わっていったけれど。先日部屋を片づけていて出てきて、香りが強くて耐えられない。天然香料といえども、今のわたしにはもう縁のない香りとなった。


近所の桜並木のお寺の道は、木々や草の混ざりあったよもぎのような香りがしている。ずっとここに居たいとおもわせてくれるような香り。こんな自然そのものから発する香りに惹かれるようになった。今のところ香りを身にまとうつもりがない。

最近はまっているのは、マグに白湯をいれて、そこにローレル(月桂樹)の葉を一枚入れると、ローレルの香りが広がる白湯の出来上がり。香りの好みは個人差が激しいから、いい香りの部類に入るかわからないけれど、ローレルはカレーやシチュー、ポトフに入れるスパイス。そんな香りがほんのりする白湯をいただきながら書いている。こんなことが、心と体をゆるめるきっかけになっている。冬ごもりの中で、くつろぐ時間を作り出している。


香りにまつわることで、こんなにも若い頃と違ってくることが、今では時々その時間の流れが不思議に感じるのと、じんわりと滲みでてくるのと、歳を重ねる喜びもあるのではないかとおもう。今まさに、ということ。




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