オレのウダツが上がるまで(第二十一話)

〜予兆〜

ーーー脳死を告げられたヒロヨシ自身も
   さすがに何かを感じていた。

   四度目の破裂のその瞬間、
   突然どこか未知の世界にでも
   吹っ飛ばされたような感覚があった。

あれ、オレどうしたんだろう?

何か違うな。今までと。
フワフワしてるっていうか
宙に浮いているような感じ。

もしかしたらもう死んじゃったのかな?

あ、そうそう。
もし本当に死んじゃったのなら
あの時家族に宛てた
遺書ってホドのもんじゃないけど
手紙書いといて良かったなぁ。

オレ、二年位前に前立腺ガンが
見つかったんだよな。

あの時は悩んだな・・・。

だって、ガンなんだから。

でも進行が遅いガンで
寿命が先か、病気が先かって
そんなフウに説明されたんだ。

そのガンにかかるには
ちょっと若すぎるけど
しっかり治療していけば
まず大丈夫だって
医師は言ってくれたっけ。

そんなあのコロ、ふと思い立って
家族に何か言っておきたいコトを
残しておこうって思ったんだ・・・。

〈つづく〉

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