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セブの笑顔に大号泣しちゃった。 - 映画レビュー:"La La Land('16)"

今日、久しぶりにララランドを鑑賞した。

ネイルが伸びてしまったので、ファイリングするのになにか流し見できる映画がいいな、、知っている作品でミュージカルとかだったら一緒に歌えて楽しいかも、久しぶりにララランド観たいし ということで選んだ。

結果、ネイル触りながら観ていたけどやはり作品の力があるので後半どっぷり観入った。

ララランドは、La La Land=Los Angelesに暮らす、夢を追う二人の物語。女優志望でオーディションを受けながらワーナーブラザーズのカフェで働くミア。ジャズを心から愛し、いつかは自分のジャズクラブを持ちたいと願うセブ。Meet cuteとは言えない出会いだが、お互いの夢を追う姿にいつしか惹かれ合う二人。数々の美しいオリジナル楽曲やダンス、クラシカルで色鮮やかな衣装や名作映画への敬意を評したオマージュの数々などなど、ミュージカルファンだけでなくたくさんの人の心を掴む名作だ。

ミアとセブは、ミアの最後のオーディションを契機に恋人関係に終止符を打つ。
5年後、有名女優になったミアが夫とフラっと訪れたジャズクラブは、なんとセブの店だった。
店内で、ミアとセブはお互いを見つけ、言葉は交わさないものの、表情と音楽で全てを伝える。
Ifが重なるepilogueのシーン。こうなって欲しかったよね、こうなりたかったよね。。という気持ちで、私の目には涙が浮かんできた。でも、忘れてはならないのは、このifのストーリーの中で二人が夢を叶えたかということ。
ミアはオーディションに受かりパリで撮影する。有名女優へとなるが、しかしセブは。。セブは自分の店を持ったかどうか、最後のシーンで二人が入るジャズクラブはセブの店そっくりだが、しかしセブの店ではない。
ミアとセブが一緒になっていたら、セブは自分の夢は叶えていなかったのだろう。

運命の相手

この作品て、夢を叶えるために出会うべくして出会った二人の話なんだ、と気付いた。

ミアとセブは、運命の相手だ。

お互いが自分の夢を叶えるために、お互いが必要だった。

たとえ運命の相手同士が一緒になる未来でなかったとしても、自分の人生を掴むのに必要だった人。

恋人でも、家族でも、友達でも、知り合いですらなかったとしても、
ミアとセブのような関係を築けたことってとても素敵なことだ。

ロシュフォールの恋人たちを観た時も、 Modern Love season 2 episode 7を観た時も同じ/似た感想を抱いて、そして好きになった理由が同じ/にていることを思い出した。
まだ会ったことのない誰か/もう会うことはない誰かだけど、それでもお互いを案じて、応援し合う、そんな愛情のやりとりができるのって、本当に素敵なことだと思った。
同時に非常に切なくて、寂しくて、とても大事に心の中にしまっておきたくなる。

最後のセブの表情が私は忘れられないし、セブの表情に大号泣しちゃった。
あのセブの表情からはいろんなものを感じた。

大丈夫だよ、こちらは元気にしているよ、君は元気そうだね、映画が成功して有名になって本当によかったね、すごいよ、僕も自分の夢を叶えたんだ、お互いこれからも頑張ろう、君のことを応援しているよ。
そして愛しているよ。


作品の最後でミアに笑顔を見せるセブ

Here's to the fools who dream!

愚かな夢追い他人たちに乾杯!オーディションでミアが話す/歌うシーンで、一番好きな歌詞だ。
Auditionって芸術の素晴らしさと大切さを歌ってくれている歌なので、資本主義的考え方で暮らしている自分はハッとさせられた。
そうだよ、これこれ、そうだよね。だからartは必要なんだ、大切なんだ。

ミアの人生は、自作の舞台を上演するところから大きく動き出す。
冒頭、彼女と同じような女優志望の女の子たちと話すシーンがあるが、ミアはあのままオーディションを受け続けるだけだったらきっと女優の夢は諦めていたかも知れない。
自分の力で舞台を書き上げ、財産を投じて自作の舞台を上演する、たとえ失敗してチケットが全然売れなくて、恥ずかしいし赤字で苦しいし、どうしようもなくなったときにキャスティングディレクターから連絡が来た。
やはりそれだけの覚悟と努力と、突拍子もないことをする勇気、まとめあげる才能と根気がなければ抜きん出ることは難しいのだろう。
とても現実的で難しく険しいけど、大切なことを描いてくれた。
そして連絡がつかなくなったミアを探し、連絡を届けてくれ、オーディションに行かないとわめくミアを説得、数時間かけて会場に連れて行ってくれたセブ。やはりセブあってのミアなのだ。

ララランドって全然面白くない、あのラストが気に入らない、なんで二人はくっつかないのか、そもそもミュージカルなんて突然歌い出して踊り出すし意味わかんない、
そんな声をいままで散々聞いてきたけど、
本当に鑑賞すれば二人がくっつかない結末なのがわかるはずだ。
ララランドは芸術性が非常に高く、大衆向けの作品ではないのだろう。
だからこそいいの。二人が一緒にならないからいいの。
そのラストが、決断が、必要なの。

ララランドを初めて鑑賞したのはまさにカリフォルニア留学中の秋だった。
久しぶりに今日また鑑賞できてよかった。
ララランドは最高だ、非常に美しく繊細で素晴らしい名作だ。
愚かな夢追い人に乾杯!


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