見出し画像

ブラック企業勤めのアラサーが文学フリマ東京に出るタイプのアラフォーに成長するまでの話①

 私はブラック企業に勤めている。休み少なめ、残業多め、仕事内容は限りなく多岐にわたるタイプのブラック企業だ。
 しかし仕事内容は自分の好きな分野について思いっきりできるし、給与もそこそこいいし、時にはやりがいを感じるので、私は大学院を修了した2010年から2016年まで、身を粉にしながらせっせとブラック企業に通い、退勤後は自宅でご飯を食べてから家の近所にあったハンバーガー屋でコーヒーを飲みながら23時半まで専門の勉強をする、という毎日を続けていた。

 そんな私に2016年、転機が起きた。
 パワハラ3連続である。

 パワハラの内容は伏せるが、A公衆の面前で長々と怒鳴られる、B更衣室(密室)で長々と怒鳴られる、C公衆の面前かつ私のいないところで偏った思想の持主だと批判される(それが噂として私の耳に届く)、という感じで、正直怒鳴られAも怒鳴られBも納得のいかないものだったし、Cに関してはまったく意味不明なものだった。

 今2024年の私が2016年の私に声をかけるとすれば、「そんなん気にせんでええよ」の一択なのだが、立て続けであったことで「私が嫌われているから怒鳴られるんだ」「ここにいない方がいいんだ」と完全に自己嫌悪モードに陥ってしまった。

 そして右耳の聴力が著しく落ち、耳鼻科に通うも耳鳴りで聴力を計測できずに終わることが続き、まずくて有名なイゾバイドシロップを飲み続けた結果聴力は多少回復するもめまいはやまず、心療内科に通うも適応障害なので効果も出ず……という状態が半年ほど続いた。

 心療内科では、休職を勧められた。しかし、私はそれを選択しなかった。

 私の仕事内容は多岐にわたる。得意な仕事もあれば苦手な仕事もある。好きな仕事もあれば嫌いな仕事もある。当時、得意でかつ好きな仕事の中にとても大事な案件があり、それをきちんと全うしたかったのだ。

 そうして心身の不調を抱えたまま迎えた2017年春、思いつめた私は占いに行った。そして、相談をした。

「気分転換ってどうしたらいいんですかね?」

 前述のとおり、家と職場とハンバーガー屋さんの往復でひたすら仕事関係のことをして生きてきたので、この時私には「息抜き」や「趣味」といえるものがなかった。あえて言えば「読書(漫画を含む)」だったのだが、気はそんなに晴れなかったし、一度読み始めると止まらないタイプの人間なので、睡眠時間をがんがん削られてゆくだけだった。

 占い師さんは言った。

「ゴスペルとか、口をつかうもの全般がいいんじゃないでしょうか。あなたの前世は盲目のシスターで、歌をうたうことで人々を癒していたんですよ」

 当時の私の好きな映画No.1は「天使にラブソングを」だった。私は占い師さんの助言を素直に聞き入れ、「福岡 ゴスペル」で検索。ヤマハが月1でやっている。速攻で申し込んだ。

 ゴスペルは、今でも続けている。
 ゴスペルのいいところは、仕事に関係ない、そして月1しか会わないメンバーとうっすらとした繋がりをもてるところだ。ぱっと行って、休憩の時に先生を含めてちょろっと薄い話をして、ぱっと帰る。居心地がよかった。

 趣味で人とつながるっておもしろい。そこから私のフットワークが軽くなり、古本市のボランティアにも申し込んだ。2017年は顔見知りが何人かできて、その場限りでその付き合いが終わった。そして、2018年、木埜真尋さんに出会った。

 古本市のボランティアでは、まずブックカフェでのボランティア説明会に参加する。その説明会は懇親会もかねていて、他のボランティア希望者とお話しをすることができた。そこで木埜さんとなんのきっかけかわからないが、古川日出夫さんのトークショーに一緒に参加することになり、そのトークショーのあとの懇親会(なんと古川日出夫さんも含めてカレーなどを食すことができた。コロナ前すごい)で筑前琵琶のイベントにも一緒に行く約束をした。

 木埜さんと、ボランティアスタッフの代表的な人物であるSさんは、「朗読と文章の学校」という習い事をしていた。またまた手前味噌だが、昔から教科書を読むときに「話すときと別人の声だね!」と褒められてきた私は朗読教室にがぜん興味をもった。占い師さんにも「口を使う趣味」がいいって言われていたし。

 アホみたいなスピードで木埜さんと仲を深める中で朗読と文章の学校の体験にいくことになり、そして体験が楽しかったので、これも即日入会の申し込みをした。

 朗読と文章の学校。
 週に1回の頻度で開催される朗読教室で、うち月2回文章の課題(400字)を提出してライターさんに添削してもらう。

 正直、文章には自信があった。

 小論文では模試でも試験でもほぼ満点しかとったことがないし、仕事関係で寄稿した文章も褒められることが多かった。高校では文芸部だったし、一度だけ賞ももらったし。最短で1年以上の経験の差のある先輩たちにもすぐに追いつけるだろうと思った。

 朗読と文章の学校に入って1回目。
ライターのKさんに文章、というか「そもそも文章を書く時の姿勢」についてさくっと袈裟懸けで斬られてしまった話は、また次回。


※センシティブな話もあるので、そのうち有料記事に変えます。
 時期は未定ですが、一週間後くらいかな……。
(※とりあえず3月末現在、文フリ東京までは公開しようと思ってます。)

この記事が参加している募集

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?