ニート生活記 25日目

なんだか最近眠くて今日はいつもより少し遅めに起きた。雨の1日だとは知っていたが、外へ出ると気にならないほどの細かい雨だったので散歩をした。轢かれて死んだ蛙を見て、苦手な生き物の活動が活発になりつつあるのだと思った。

夜中にやっていたアーセナルとチェルシーの試合を見た。
それから部屋の片付けをした。旅の片付けは済んでいたが、部屋が散らかっていたから押し入れから何まで全て整理をして、掃除をした。大きな本棚と小さな本棚が二つあるのに、収まりきれないほど本や漫画が増えていてそれを整理することで頭を働かせた。
思ったより疲れて、片付けが終わってからゆず茶を飲んで一息ついた。
坂本龍一の最後の日々を記録したドキュメンタリーを見た。勇気のなさや恥ずかしさが、と日記に記してあった。他にも日々の生活での小さな喜びや病気でのメンタルの変化。当たり前なはずなのだが、あれだけ革命的な音楽を次々に創作する坂本龍一も私と変わらない日常があることになぜか真新しい気持ちで受け止めていた。
入退院を繰り返しながらも音楽制作を続ける生活で、ある日の日記には「こうなったらどんな運命も受け入れる」と記されてあって、容易に想像できない日常の中の葛藤の結果に熱いものが込み上げてくる。そのドキュメンタリーは、雨が降る中息を引き取った、とのナレーションで終わりを迎え、それは家の窓から見える小雨の模様と重なった。

夜ご飯を食べたあと、在宅仕事で使っていたパソコンやスマホを前の職場の社長が取りに来てくれるからとコンビニで待ち合わせをした。
相変わらずの社長は、パソコンなどが入った紙袋を返すと、これ取引先からもらったやつだけどあげる、と高そうなゼリーをくれた。それから店内に入ると、欲しいものあったら買うよ、と言われたのでコアラのマーチを選ぶと、可愛いなと言われた。もしかしたら私は可愛いのかもしれない。
それから店前で数分近況などを話しては、いつも同じような言葉をいって去る社長は、今日も「今度街コン行こうな」と言って帰っていった。ずいぶん軽くなった紙袋を引っ提げて雨の中を帰る。坂本龍一は入院中音楽は受け止める力が必要だから今は聞けないけど音は必要だ、みたいなことを言っていて、環境音楽を聞いていた。傘や車やアスファルトや家々に雨が当たる音が私を穏やかなところに誘った。

お風呂に入ったあとはウェスアンダーソンの映画や読みかけの小川洋子の本を読んだ。もう今週末ゴールデンウィークが始まることに慄いている。






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