6月1日 牛乳について

 結論からいうと、乳製品は日本の主要輸出物となった。

 といっても、他の輸出物である米や果物に比べると微々たるものと言わざるを得ない。通年生産できるという意味では、他の農産物におとらない。

 屠畜とちくが禁止されてからも、乳牛にゅうぎゅうの飼育を禁止されたわけではないので、肥育農家ひいくのうかは即座に乳牛の飼育へと切り替えた。

 元々、乳製品の輸出国として強かった訳では無い。しかし、気候が安定している高原や北の大地は、地の利としてとても都合がよかった。余り日本人の認識として別荘というイメージがない場所がインバウンドに人気があり、その知名度がチーズやバターの知名度も高めていった。

 ただ日本のチーズとして圧倒的な人気を博しているのは、米由来のチーズだから、なんとも残念な話だ。確かに、アレルゲンを含まないチーズは、食べる人を選ばない。

 加工品の話ばかりを続けたが、牛乳が飲まれなくなった訳ではない。ただ、消費量の減少や加工品への向き不向きから、今でも「牛」といわれてイメージするホルスタイン種からジャージー種やブラウンスイス種へと切り替わっていった。何と言ってもホルスタインの特徴は乳量にゅうりょうが多いことだが、他の二種の特徴は質が良いことにある。その分、乳量はホルスタインに比べかなりおとる。

 結果として、市場流通する量が減り、学校で提供されることはなくなり、産まれて初めて飲む牛乳は牧場で、という人が増えている。かく言う俺もその一人だ。
子どもと一緒に訪れた牧場で、久しぶりに飲んだ牛乳が思っていたよりも美味しいということで、産直を利用する人が子連れを中心に増えていった。

 チーズ専門店という名の牧場のアンテナショップも各地にあり、チェーン展開しているところも少なくない。お店では、試食や食事を愉しむことが主で、品物を持ち帰ることは基本的にはできない。産直注文は、どの店舗でも受け付けている。

 最近、数は多くないが、数量限定で牛乳を飲むことができるところも出てきている。これは、朝絞った牛乳を飲めるというもので、産地に近いと昼頃に飲むことができるらしい。多くは、昼過ぎの15時頃の人が少ない時間から提供が始まる。この時間を狙って行く人も少なくない。

完売しないことは少ないが、売れ残ってしまった場合、夏場はソフトクリームへと姿を変え、冬場はホットミルクとして販売される。ただ全ての店舗でホモジナイズすることができる訳ではないため、ホットミルクを飲める店は限られている。

 牛乳だけでなく、チーズもモッツァレラやチェダー、ブルーチーズにカマンベールチーズといった有名どころから、ウォッシュチーズのモン・ドールやエポワスといった好き好みの分かれるものやフレッシュ系のクリームチーズやマスカルポーネ、セミハードタイプのゴーダやサムソーという馴染みはないけれど絶対に口にしたことのあるものも取り扱っている。

 そして、チーズにはケーキもある。NYのチーズケーキやバスク地方のもの、スフレにレアもショーウィンドウにしっかりと収まっている。

 牛乳の加工品として馴染み深く、家で作ることもできるのがヨーグルトだ。チーズのように目で見て大きな違いのあるものはないが、発酵のときに入れる菌が異なることで、効能が違うということがキャプションに記されている。

 ただ、ここでは様々なヨーグルトの水切りタイプを食べられ、好みのものを見つけられるという点では、かなり評価が高い。

 はっきり言って、チーズ専門店で食べられないチーズやヨーグルト、チーズケーキはないと言ってもいいくらいに揃っている。こういった専門店は何度来ても飽きることがない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?