デッドリフトとソルティアとフレディと人生と
デッドリフトは人生だ。
それをタトゥーにして545kgのバーベルを持ち上げる人がいる。その人の体重は185kg。たしかに人生を賭けていると思う。
一回一回の練習から人生を賭けていると言う。その一回一回で岐路が分かれる。凄まじい集中力とその積み重ねの集大成に545kgがあるのだ。
最近、ソルティアをしている。黙々と。眠る前に。
かなり上達してマイクロソフト公認の称号「才能あり」までいった。いや、そんなことはいいんだ。とにかくたくさんやった。
ソルティアの上級レベルは、一つの判断ミスがゲームを終わらせることがよくある。どのKingを空席に置くかとか。
でも、その時点では判断着かないことが多い。やってみて最後になって不正解ということがある。でも、空席にKingを置かなければいけないのだ。
何度やってもクリアできないこともよくある。あらゆる組み合わせをしてもダメ。でも、コンピュータだから正解は必ずあるんだが、正解が一向に見つからない。
ふと思う。そんなことが人生にもあるんじゃないかって。その時電話に出なかったために人生が変わったり、終わったりすることが。
その逆もあるんだけど、良くなった場合、岐路のことなんて気付かないことが多い。ケセラセラなんてね。ちびまる子ちゃんのように。
545kgの人は言う。
「ボディビルなんて嫌いだね。だって人の主観が入る。良し悪しなんて人に決められたくない。自分で決めたいんだ。そう、俺の場合、持ち上がるか持ち上がらないか。とても簡単なんだ。そこが気に入ってる。」
「もちろん、チャンピオンになってすべてが良いわけじゃない。靴下なんて自分で履けない。そうなんだ、僕は靴下さえ自分で履けない」
見事な太鼓腹をさすりながら、笑い転げる。その人も。その人の妻も。
「俺のことをデブって言う奴は言わせておけばいいさ。確かに俺は痩せてない。でも、俺は成し遂げた。誰にも文句を言わせないことを成し遂げてる。だから、いいのさ。靴下なんて自分で履けなくても」
"僕はもう過去を振り返らない。前しか見ない"
フレディ・マーキュリー
前しか見ないためには、今日自分は全力だったか。満足できることをやり遂げたかを自問自答し続けるしかないんじゃないかと思う。後ろを向く暇のない何かを。
たとえ行く先がゲームオーバーであっても。それは今は分からないし、それで幕を閉じるならそれでいい。あとはずっと眠るだけと思えば悪くない。
悪くない。悪くない。悪くない。
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