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【保護者・講師版】美大受験の現在

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近年大学受験・美大受験のあり方が昔に比べて大きく変化しています。20年間の大学受験講師の経験から、特に受験生の保護者や講師の方に知っていただきたい情報を提供いたします。
美大受験用の参考書などは、市販されていないのが現状です。このマガジンでは、文部科学省の統計データ等… もっと詳しく
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記事一覧

[1] 18歳人口統計に見る大学受験

まずは、1960年から2015年までの18歳人口(=大学受験者の基礎数)の統計グラフを見てみましょう。

こちらは、文部科学省がウェブ上で公表している教育に関する基礎データをもとに作成したグラフです。それでは、注目すべきポイントを時代順に追っていきます。

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[2] 高校卒業者数が50年前並みという衝撃

文部科学省が公開している統計データに基づいた話です。今度は、「高校卒業者(=大学受験可能な18歳)」の数が1960年から2016年までどのように推移しているのかを確認します。注目すべきポイントがある年代に絞ってみてみましょう。

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[3]「普通以上」が大学に行く時代

「大学進学・未進学統計グラフ」に、パレートの法則に基づいた「20%を表す線(グラフの中の赤い折れ線グラフ:優秀な人材のパーセンテージ)」を重ねてみました。

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[4] 危険信号の出ている大学をチェック

様々な記事で1990年代までと2010年代の現在では「少子化 + 大学数増加」という要因によって、大学(受験)のあり方が大きく変わったことをご案内いたしました。

それでは、どのように変わったのかを具体的に有名大学を例にとって見てみましょう(都内のわかりやすい大学のみを取り上げていますので、例に上がっていない大学が多数存在します)。

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[5] どこの大学でもよい、の大きなワナ

昔の大学受験と現代の大学受験で大きく違うポイントに、「浪人しなければどこの大学でもよいという考え方が増えた」があります。この考え方には大きなワナが潜んでいる可能性があることをぜひ忘れないでいただきたいと思います。

現在大学受験生をお持ちの保護者の方自身が大学受験した頃には、浪人することに対して大きなリスクがあったのは事実です。なぜならその頃は、「終身雇用制」が一般的だったからです。

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[6] 高い実力は多浪生の競い合いが前提だった

美大受験を表現する言葉として、「2浪・3浪当たり前」というイメージがあります。しかし、この言葉は少子化と大学数・学部数の増加により完全に崩れてしまいました。

確かに、25年以上前までは、「2浪・3浪当たり前」でした。理由は、「18歳人口の数が多かったから」です。つまり、少ない美大の定員に対して多くの美大受験生が志願をしていたので、競争率が高かったのです(実際、日本一倍率の高い大学は「東京大学」で

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[7] テクニックでは勝負はつかない

一般大学受験では、受験は「受験テクニックで決まる」というのがセオリーです。しかし、美大受験の世界では、「受験テクニックで決まる」は通用いたしません。

どのような分野でも、テクニックというのは初心者の頃が一番伸びが大きいものです。そして、上級者ではテクニック的な差は大してなくなってきます。これは、プロスポーツの世界や音楽の世界を考えてみるとわかると思います。

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[8] 「個性」「独創性」を重視するのが王道

現在の美大受験生で合格・不合格の差は、どこでついているのか?実は、それは20年前同様、やはり「個性」「独創性」なのです。

受験対策の短期間化によってテクニック面で低くならざるをえない現在は、「個性」「独創性」で「テクニックの低さをカバーできるかどうか」が勝負のポイントとなっているのです。

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[9] 「特別」を目指す美大受験

さて、美大志願者の多くが第一志望・第二志望として受験する(私大上位2位校:武蔵野美術大学・多摩美術大学)の数が18歳人口の数に対してどのような割合なのかを見てみましょう。

データは、武蔵野美術大学と多摩美術大学が公開している「2016年」の「一般入試・センター入試・推薦入試」の志願者数と、文部科学省が公開している2016年の18歳人口との比較です。

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[10] 「オンリーワン」>「ナンバーワン」

さて、それでは美大受験で最重要視される「『特別』であること」、つまりは「個性」「独創性」については、どのように考えていったらよいのでしょうか。

様々なものを評価する評価方法に、「加点方式」と「減点方式」というものがあります。

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