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出会いは証明書を付けて | #9 証明なんてできない
ネット婚活を利用し始めて2ヶ月が経過した2015年12月中旬、僕はすべてのサービスから退会した。
そして退会直前に出会った8番目の女性と年明けから交際を始め、3年と少しで別れた。つい半年前のことだ。
彼女のことについては、この連載では書かない。
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なぜ僕はネット婚活サービスを利用したのか。
2014年2月、僕は13年間の結婚生活を終え、当時5歳だった息子は元妻と住むことになった。僕はひ
出会いは証明書を付けて | #8 偽らなくていいから
モデルの経歴を持つ女性とデートしたのは初めてだった。7番目に会ったアズサさん(仮名)、松戸在住の40歳だ。
彼女は静岡で短大を出た後、就職した地銀を2年で辞めて上京し、モデル事務所に所属したのだ。
179センチの長身を活かして。
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ネット婚活サービスでは、異性を検索するときに多彩な条件を設定することができる。そこには証明可能なものもあるし、できないものもある。
初回に書いたように氏名、
出会いは証明書を付けて | #7 セカンドチャンスが意味すること
6人目のナオコさん(仮名)は、ひとつ年下の41歳で、天才肌の和菓子職人だった。
彼女はバイオテクノロジー分野で博士号を取った後、製薬会社で研究職を務め、海洋学研究所に転職してから、和菓子の世界に入っていた。
大丈夫。僕も最初は意味がわからなかったから。
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今回のナオコさん以降、最後の8番目までの3人の女性は、すべてガチ婚を通して出会った。
3つのネット婚活サービスを使い比べてみてわかっ
出会いは証明書を付けて | #6 同じ星の下に生まれても
プロフィールを何往復読んでも、何ひとつ趣味が合わなさそうだったのが5番目に会ったエリさん(仮名)だ。
休日はテニス、ゴルフ、ヨガ。好きな映画は「007」シリーズ。旅行先は京都、日光、ポルトガル、モロッコ。見事なまでに全て僕の担当範囲外だ。共通項がない。
生年月日がまったく同じだという点を除いて。
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写真閲覧のハードルが異常に高いチャラ婚(3ヶ月契約中)を断腸の思いで封印し、僕は麗しきユル
出会いは証明書を付けて | #5 奇跡は万能ではない
4人目の女性、リカさん(仮名)と会うために、僕は北陸新幹線に乗っていた。
39歳の彼女と42歳の僕との間に、針の穴に糸を通すような偶然の一致があったのだ。
金沢という場所で。
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少数精鋭の「ガチ婚」と会員の多い「ユル婚」という、ふたつのネット婚活サービスを通して僕は約3週間で立て続けに3人の女性と会うことができた。しかし、そこからしばらく停滞期が続いていた。
そもそも「気になる」を送っ
出会いは証明書を付けて | #4 イントロは要らない
初めて女性側からメッセージをくれたのはユウコさん(仮名)だった。僕が3番目に会った女性だ。
彼女のプロフィールは謎めいていた。ひとつ下の41歳、大阪在住、学生、アルバイト、年収500〜600万円、前職は芸能関係。
芸能関係?
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ガチ婚で僕が女性に対して「気になる」を送っても、返してもらえることは少ない。そして交換が成立しない限り、メッセージを送ることはできない。
そもそも、女性側から僕
出会いは証明書を付けて | #3 勝者と敗者を分けるもの
ふたり目に会ったのはひとつ年上の料理研究家、ユキさん(仮名)だった。
鎌倉に自宅兼キッチンスタジオを構えて、雑誌の連載を持ち、料理教室を開いていた。
彼女は努力を重ね、自分の手でチャンスを掴み、幼い頃からの夢を叶えていたのだ。
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初回の反省をふまえ、僕は有料会員限定のガチ婚で、マニュアル通りに「気になる」のやり取りを重ねることに注力した。
東京または近隣3県在住で、僕の年齢よりプラマイ
出会いは証明書を付けて | #2 プロだったのかよ
婚活サービスを介して最初に会った女性。サトミさん(仮名)は、3歳年上で、嫉妬するくらい文章がうまかった。
彼女が書く短いメッセージには色があって、匂いがあって、温度があって、読むだけで彼女と並んで10月の東京を歩いているような気分になった。
できれば会わないで、ずっとメッセージのやり取りだけをしていたい、と真剣に思ったくらいだ。
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僕が登録したネット婚活サービスはふたつあった。
一方は
出会いは証明書を付けて | #1 チェックボックスが埋まらない
42歳のとき、ネット婚活サービスを使って2ヶ月間で8人の女性と会い、最後の女性と3年間交際して別れた。
たぶん僕はもう、こういった類のサービスを使うことはないだろう。
でも、40代離婚歴あり男の体験記が、誰か、ものすごくニッチな誰か、の役に立つかもしれないと思い、連載形式で公開したい。(登場人物に迷惑がかからないよう、ディテールには調整を入れます)
具体的なエピソードに入る前に、初回はネット