僕だけのサカナクション

サカナクションが好きだ。


先週、6月19日にサカナクションの新アルバム『834.194』が発売された。
オリジナルアルバムとしては2013年発売の『sakanaction』以来、6年ぶりとなる。
中学校に入った子が高校を卒業してしまうほどの年数だ。
もうそんなに経ったのか。
おっさん化を感じずにはいられない。

自分がサカナクションに最初に触れたのは高校1年生の時だ。
当時は夜22時から始まるラジオ番組『SCHOOL OF LOCK』を齧り付くように聞いていた。
SOLはアジカン、バンプ、堀北真希、新垣結衣‥と錚々たる面々がレギュラーを持ち、中高時代の思い出とは切っても切り離せないモンスター番組。
そんな番組中のコーナーの一つバトルモバイアルで間奏に流れたのが1stアルバム『「三日月サンセット」。(だったはず。)
一聴してカッコいいバンドいるんだなとなった。

でも、まだ好きになっていたわけではなかった。
2ndアルバムの『NIGHT FISHING』の発売時、別のバンドの旧譜とどちらを買うか迷った挙句、結局買うことはなかった。(参照

きっかけは1stシングル『セントレイ』だった。
イントロを聞いた時の衝撃。
めっちゃチュイチュイいってるんですけど。
MVが好きすぎてなんども繰り返しみた。
3rdアルバムの『シンシロ』は塾帰りにタワレコに直行して買いに行った。
”ライトダンス”のカッティングギターに浮かれた。

2ndシングル『アルクアラウンド』で多くのラジオのパワープッシュになりブレイク。
個人的にはあれ?という感じだった。
セントレイの方が好きだったしキャッチー過ぎた。
けど、一番は古参ぶるファンにありがちな拡まっていくバンドに対する寂しさだったと思う。
4thアルバム『kikUUiki』はレンタルで済ませてしまった。

その後しばらくは数ある好きなバンドの一つという状態で、シングルが出れば少し気になるという状態だった。
決定的に引き戻された2011年にRISING SUN ROCK FESTIVAL。
夜のステージでレーザーをビュンビュン飛ばしまくる圧倒的なステージ。
その日まであまり好きになれていなかった『ルーキー』のライブでの格好良さに痺れた。
ライブ終わりにかかっていた『ネイティブダンサー(rei harakami へっぽこre-arrange)』まで含めて完璧な北海道の夜になった。

その後、『ミュージック』で紅白歌合戦出場まで果たす。
マジョリティの音楽として認められたこの日の直前にMVが公開された『ユリイカ』。
あくまでマイノリティとマジョリティのバランスをとりつづける姿に痺れた。
そして何よりも『ユリイカ』がめちゃくちゃ好きだった。
物悲しく漂う郷愁。
社会人となり上京した時、電車に揺られながら何度も聴いた。

シングル『グッドバイ/ユリイカ』でオーバーグラウンドのマジョリティ音楽とのお別れを告げたサカナクションが行なったのは自主レーベルの立ち上げと新しいプロジェクト『NF』だった。
クリエイターを巻き込む吸引力のギアをあげたサカナクションは一気にカルチャーを引っ張る存在になった。

そして発売された『834.194』。
二枚組になっておりDisc1は東京盤、Disc2は札幌盤と称される。
大きく分ければ前者は作為的にマジョリティを意識した楽曲群、後者は上京前(『シンシロ』以前)のように無作為に作っていた楽曲群となるそうだ。

マイノリティとマジョリティの間の重心を探り続けたサカナクションにふさわしい名盤だ。
そして生産限定版に含まれるDVD/ Blue-rayの『サカナクション デビュー10周年記念イベント "2007.05.09 - 2017.05.09"』が楽曲とMC、そしてバックグラウンドで流れる写真が今までの歴史を語り感動せざるを負えなかった。
(その際の山口一郎さんのブログも合わせて是非。)




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