見出し画像

ネバーランド。を読んでみた

とある男子校‥
そこにある古びた学生寮「松籟館」を舞台にした青春グラフティ。

2学期が終わり冬休みを迎え、殆どの生徒が帰省していく中、それぞれの事情を抱えた3人はこの寮での年越しを決めます。
さらに、この3人に加え、居残り組ではないものの何かと理由をつけて松籟館にやって来ては居座る生徒‥

この4人が繰り広げる年末年始の7日間の物語。

お互いの性格や相性を探り合いながら過ごし、各々の役割みたいなものが出来きつつある中‥

4人が抱えている心の叫び?合戦が始まります。

壮絶な過去に囚われている‥
大人達の保身めいた振舞いに憤っている‥
好きでいながら彼女に別れを切出してしまった‥
各々の告白にお互い傷つきながら、衝突と歩み寄りを繰り返し、連帯感と友情に物語は包まれていきます。

中でも、印象深く心に残ったのは第5日「歪んだ扉」です。
日中、テニスに興じる4人。そこには馬鹿騒ぎを心から楽しんでいる高校生の姿が描かれています。

でも、その夜‥

1人の生徒の告白が‥
‥読んでいる私も心が締め付けられるような過去‥
それを聞いた3人はその場から立てなくなるくらいの衝撃を受けます。

感情がジェットコースターに乗せられているかのように上下左右に揺すぶられながら物語はラストへ‥
「この物語、読み終えたくない‥」
この甘酸っぱい気持ちをいつまでも味わっていたいと思いつつも‥
‥読み終えました。

‥学校生活、家庭のこと、恋愛、レストランでのアルバイト、バンド活動、あの頃特有の悩み‥

‥全てのことに全力で向き合っていた高校時代のことが思い出され、なんとも言えない、鼻の奥がツンっとするような感覚に包まれます。

‥松籟館のあの4人、どんな大人になってるんだろう?

フィクションとはいえ、とても気になります。

 PS 恩田 陸の作品に時折出てくる「‥間抜けな音がして‥」この表現がとても好きです。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?