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或る決意

2023年4月22日(土) プロジェクトなづき稽古

物語の核を揺るがすほどではありませんが、章の名称を変えてしまうほどの変更を加えました。とっかかりは伸枝さん演じる座敷童の、あるシーンのSEや演出を考えているときでした。生まれてしまったからにはその存在を担わなくてはならない。たとえこれまで重要なファクターであったものを削除しなければならないとしてもです。きっと物語に深みを出してくれることでしょう。この日は午前中からの稽古です。まずはそれを参加メンバーに伝達。稽古としては抜き稽古を主にやりました。今回の現場である吾野宿を中庭だけでなく室内、蔵、通路など余すことなく使えるよう、また来てくださるお客さまに吾野宿の存分に感じてもらうべく稽古を進めてきました。遥かな歴史と集落特有の閉塞感、そしてキャラクターのある種のリアリティを体感してもらいたい。

さて、今回は演出助手である田口和さんと共同作業しつつ他のメンバーの意見を積極的に取り入れています。勉強になる局面がありました。田口さんが台本を見ながら川津さんのよき点が出ている。だからこそこのセリフを生かしたいと上野憲治さんに言いました。今回役柄シートというものを演出側で用意していました。生い立ちやどんなエピソードがあったのか、家族構成等々細かく記入してあります。上野さんはそこからさらに発展させて、ご自身の生活に役柄の記憶が混じってしまうほど役作りに没入しています。

川津は演出として最適解でも、現場としてはそうではないということも学びにすることができました。上野さんは言葉でこそ言いませんでしたが、 あるセリフを言うことにとても躊躇していました。それは見ていてわかったので上野さんの役者ノートに寄り添う形で台本を修正しました。 他、山田零さんの役で必要な小道具が今井歴矢さんより届いたり、伸枝さんより自発的な役どころへの提案があったり、チームとして連携しながら役作りに励んでいます。

稽古の帰り際山田さんから今回の舞台協力できそうだとの言葉をいただきました。まだその言葉の持つ振れ幅がどの程度のものなのかは川津はわかりかねますが、ゴーレム佐藤さん、田口さん、特に役者、芝居の先輩方は面白くなければ、 次回からは同じ舞台に乗ってもらえないので相当注意を払ってきたつもりです。更に頑張らなければ、と心あらたにできました。 詩作品もそうですが、集団となる舞台作品はいい現場であればあるほどまったく気が抜けないので苦しくもあり、同時に日常では到底味わえない快さがあります。

昨夜、どうしても川津に伝えたいことがあるとゴーレムさんと上野さんが拙宅へ来てくれました。川津さんの世界に妥協してはいけない、と上野さん。話し合ううち思っていた以上に川津は現場で自分の意見を言っていないことが理解できました。ゴーレムさんは言葉少なでよい、川津ちゃんが表したい世界をメンバーに伝える時、絶対譲ってはいけない、ケンカしてもいいから。今まであなたはかなり説明してきたけれども、要らないと思ったらしなくてよい。何よりあなたが作っていてたのしくなければ意味がないと述べました。結論から言えば、川津の紡ぐ世界が面白いからなづきの舞台に乗っている。川津は絶対作品作りで妥協してはいけない、何故ならば川津が妥協してしまうと、メンバーのあしもともぐらついてしまうから。「わかりやすい」、というノイズに覆われた作品というのは本来川津の作りたい作品ではないのではないか……それを伝達するためはるばる来て下さったのです。演出のやり方を変える。勿論しっかり受けとめさせていただきました。お二人のおはなしと山田零さんより送られてきた台詞を反映させる為、改めて台本加筆修正をおこないます。

自主練を経ていよいよ次回は吾野宿稽古。音響さんも加わり衣装合わせもあるので、川津もドキドキしています。

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