見出し画像

2024. 04 見たもの読んだもの

【本】
・悲しみよ こんにちは
フランソワーズ・サガン
高校生の時に読んだ本を再読。

・ユーチューバー
村上龍
つまらない。なぜだろう。
中心人物である小説家が、自己中心的な老人だからかもしれない。
「自分は自由だ」と言うのだけど、小説家で成功していて独身で愛人のいる人物が自由でなくてなんなの?
本当に自由を体現するのは、抑圧されたり、制限されたりしながら、心の柔軟さを失わない人だと思う。
お金で快適さを手に入れ、自分の好き嫌いのままに暮らし、ネットで見た動画についてのつまらない話を延々と愛人に語る……。ある意味、それは現在の多くの人の日常かもしれない。それほどお金はなく、相手は美しい愛人の代わりに家族や同僚かもしれないが。
そう思うと、この小説は、有名な小説家がいかに平凡かを映しているのかもしれない。あるいは、ただの誇張されたマジョリティ。
マジョリティといえば、村上龍の小説には、マイノリティ感がない。異様な状況を描いたりしても、なんだか世界の真ん中にいる感じがある。そこが好きになれない。
女性を、男性である自分とは別の種の生き物だと思っているというか、明確に線を引いているところも、私自身の感覚と違うので、ついて行けない。小説中の人物がそういうふうに人と付き合ってきたというのは分かるが、私はそういった関係性に興味がわかない。私は性別なんかなければよいと思うが、おそらく、この人物にそんな発想はないだろう。

・映画監督 溝口健二
四方田犬彦 編
「巨匠というものは、時代の要請で作られた」という、四方田犬彦の前書きの一節が印象に残った。

・ソングの哲学
ボブ・ディラン
ディランによる音楽批評・エッセイ。
一曲一曲、聴きながら読んだ。
ダラダラ読んでいるだけでもおもしろいエッセイなのだけど、時々、アメリカ社会や現代という時代について、印象に残る洞察がある。
いつまでも読んでいたくなる本。

・花屋さんが言うことには
娘のおすすめ。

・アフターダーク
村上春樹
今までに読んだ村上春樹の小説で、1番おもしろかった。
時間の流れとともに読み進む。時に俯瞰し、時に至近距離まで寄る。
各人物に感情移入はしない(この小説がそれを求めない)が、それぞれの意思が感じられる。
本筋ではないが、主人公の姉が私自身の姉に似ていて、細かい特徴なども通じるところがあり、読みながら少し焦った。

・夜行巡査
・外科室
・義血俠血
泉鏡花
いずれも冒頭に勢いがある。
「夜行」は職人の若者の「こう爺さん」という呼びかけで始まる。「外科室」はいきなり、手術に立ち合うという話が切り出される。「義血」は力車と乗り合い馬車の死力の駆け比べから。

・遠く不思議な夏
斎藤洋
珍しく、子どもたちが2人とも最後まで読んでた。私は2回め。
小学生の頃、斎藤洋の著書を片っ端から読んだ。おもしろいのも、そうでもないのもあった。この本は一気に読んでしまう=おもしろいほうの本。
回想録形式で、「今はもう失われた」という感覚が読後に残る。

・カフカ ショートセレクション 雑種
酒寄進一 訳

・コナン・ドイル ショートセレクション 踊る人形
千葉茂樹 訳

・うしろむき夕食店
冬森灯
娘のおすすめ・その2。
おもしろいけれど、あちらこちら上手くできすぎな気がする。レストラン「うしろむき夕食店」の造形がいい感じすぎたり、伏線を撒いては回収したり、出会うべき人に出会ったり、マンガっぽいストーリー。

・たくさんのふしぎ傑作集 なぞのサル アイアイ
島泰三
アイアイって、タスマニアンデビルに少し似てる?
『たくさんのふしぎ』は、以前からずっと毎月子どもと読んでる。

・マチュピチュのひみつ
いつか、インカトレイルを歩きたいと思ってる。

・ポンペイのひみつ
ポンペイも訪ねたいと思ってる。

【映画】
・かがみの孤城
原恵一 監督
主人の周囲の大人たちが、不登校に対して理解がありすぎるように思う。でも、今の保護者の多数派はこんな感じなんだろうか?それはいい変化だなと思う。私は学校が嫌いだったけれど、行かないという選択肢はなかった。

・赤い靴
マイケル・パウエル 監督
1948 イギリス
展開のキレがよくて、引き込まれる。昔の映画はのんびりしてる、なんてことはない。
バレエのシーンも、劇中劇として完成されている。
バレエと実生活との間で、選択を迫られた主人公ヴィッキー。これが男性なら、などと恨みがましく考えることもできるが、私はなんだか、ヴィッキーの人生が芸術そのもののような気がした。引き裂かれながらも表現しようとする姿。彼女の場合は悲劇的な結末を迎えるが、それは選択を迫る周囲に対する抵抗とも言える。

・ピンクの豹
ブレイク・エドワーズ 監督
ピーター・セラーズ
1963
カーチェイス?の場合にヨロヨロ出てくるシマウマが大好き。一部始終を眺めてるおじいちゃんも。

・アルマゲドン・タイム
ジェームズ・グレイ 監督
2022
ニューヨーク、1980年、ユダヤ系中流家庭の少年。
カニグズバーグの作品に近い背景。


【展覧会】
京都文化博物館
特別展「コスチュームジュエリー 美の変革者たち」
スキャパレッリのブローチが印象に残った。
デザインはサルバドール・ダリで、手を象っている。ただ、指は木の葉のような姿。そして、爪の部分にはぷっくりと赤いクリアガラスがはめ込まれている。


・タイトル画像は、先日訪ねた東大寺の二月堂。雨模様もまた風情あり。
二月堂は24時間お参りできるらしい。今度は夜中に行ってみたい。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?