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ゲームが楽しいんだなぁ

夕食の準備ができた時、息子がゲームをしていたので、やめるように言った。いつもの約束事として、自分でタイマーをセットしてゲームをするのだが、そのタイマーではもう少し時間が残っていた。タブレットを片付けたものの、いいところだったらしく、彼は納得がいかなかったようだ。私と上の子は食事を始めたが、息子は私をにらんで泣いていた。
どうしたの?なあに?と聞いても、なにも言わない。ただ、一定の執念で泣き続ける。
私は、それじゃ、ゲームをしたらいい、と言った。「私はごはんのほうが大事だと思うけど、〇〇にとってゲームのほうが大事ならしたらいいよ」
でも、してもいいと言われても、息子はゲームはもうしなかった。ゲームを再開したいというより、一旦やめてしまったことに納得できない気持ちだったのだと思う。

ともかく、この時点まで、私は特に叱りつける感じでもなかった。ただの、ちょっと疲れた私の提案。
けれど、ずっと泣かれているのは辛い。食事を終えて席を立っても、ついて来る。泣くというより、「フーンフーン」と鼻から音を出している。そうすることで感情表現をしている。私がなにを聞いても、なにを言っても、返事はなし。こういう時は、言葉でのコミュニケーションはできないのだろう。というのは、頭ではもちろんわかっているが、といって、私に他の手段はない。もしかすると、ひざに抱き上げて、黙って抱きかかえていたら良かったのかもしれない。でもこちらも未熟な人間なので、意地を張ってしまう。

私はとうとう我慢できなくなって、「やめないと、もう二度とゲームできないよ」と言った。久しぶりに、大きな声だった。嫌になってしまう。
息子は一瞬泣き止み、その瞬間に鼻血が出て、ティッシュを求めて立ち去った。
彼は日常的に、脈絡なく鼻血を出す。手助けしなくても自分で対処できるので、私はしばらくその場を動かなかった。やがて、近くの床に鼻血がついていることに気づき、彼の歩いた後に点々と落ちた鼻血を拭いた。そして彼のところにたどり着いた。

鼻血が止まると、息子は夕飯を食べ、私はそれを見ていた。

夜、眠る前に、「あの時、どんな気持ちだったの」と聞いてみた。
息子がにこにこしながら話したのは、私の問いに対する直接的な答えではなく、好きなゲームのキャラクターのことだった。

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