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葉桜の季節に君を想うということ~High Jumpの読書記録~(ネタバレあり)

High Jumpの読書記録のコーナー!

今回読了したのはこちら!

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歌野晶午先生の「葉桜の季節に君を想うということ」です!!

毎度恒例「ほんタメ」で紹介されていたんですが、そのほかにもミステリー小説を紹介している記事や動画で軒並みオススメしていて今回読んでみることにしました。

大どんでん返し系でいわゆる「叙述トリック」を使っている作品で、作品紹介がネタバレになってしまうといろんな方がおっしゃっていたので、その情報のみしか聞かず、今回読み始めました。

話の概要はネタバレにならないように、文庫本の裏表紙の分を引用させていただきます。

「何でもやってやろう屋」を自称する元私立探偵・成瀬将虎は、同じフィットネスクラブに通う愛子から悪質な霊感商法の調査を依頼された。そんな折、自殺を図ろうとしているところを救った麻宮さくらと運命の出会いを果たして――。あらゆるミステリーの賞を総なめにした本作は、必ず二度、三度と読みたくなる究極の徹夜本です。

表紙裏に「徹夜本」と書かれているのってすごくないですか?この表紙裏からもとんでもない本であることが見て取れます(笑)

以下ネタバレを含むので未読の方はこの段階で読んでみることをオススメします!!1つ言えるのは読んで後悔させない!ということです!是非!!


自分は現在むさぼるように日々読書をしていて、これまでも人並み以上には本を読んできたと自負していますが、この作品は、タイトル、作品を通してのメッセージ性、叙述トリック等の内容、主人公のキャラクター性、すべてを総合して今までの人生読んできた本の中で一番好きな作品になりました!!

「叙述トリックとはこういう作品を言うんだ!!」と著者に撞木で頭を打たれたようなそんな感覚に陥ります(笑)
冒頭を読むと、ん?官能小説?村上春樹的な作品なのかな?と思いましたが、読了後は、装丁にぴったりな哀愁と、タイトルの意味に納得させられました。

長々と語っても仕方がないのでいつも通り、印象に残った場面を紹介します。ここまで記事を読んでくれている方はおそらくすでにこの本を読了済みだと思うので、いきなり本文からそのまま引用します。

「そういうネガティブな考えの方がおかしいぞ。どうして俺が特別であってはいけないんだ。誰が決めた。特別か特別でないかは生きてみないとわからないじゃないか。優秀な人間を見て、自分は敵わないと思ったら、その時点でもう負けだ。自分の可能性を信じる人間だけが、その可能性を現実化できる資格を持つ。」

作品の中で主人公であるこの成瀬将虎がかっこいいなぁと思うシーンが何度かあるのですが、それらの行動の根源はこのセリフなんじゃないかと思わされました。登場人物ほとんどが高齢者だと最後に判明するのですが、それまでは全くそう思わせなかったのは、成瀬将虎のマインドにこのような思考があるからだったんだなぁと考えさせられます。人生は20~30代が一番中身があって黄金期といわれることが多いが決してそうではないと、叙述トリックで読者を騙すことにより、主人公の考えがより重く、読者に響いてきます。実際自分はそうでした。そして、その人生を桜にたとえているわけです、タイトルにも繋がってきます。もう素晴らしいの一言です。自分はよく友人にネガティブだと言われることが多いですが、この作品を期に少し、自分の可能性を信じてみても良いなと思えました。本当に良い本に出逢えました。これだから読書はやめられないですね(笑)

人生の黄金時代は老いていく将来にあり、過ぎ去った若年無知の時代にあるにあらず――林語堂

今年の秋は、もみじもいちょうも良いけど、桜を見に行きたいなぁ(笑)

ではまた次回、バイバーイ

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