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『生命科学情報検索ガイドブック』をWebで公開

 2022年12月発刊の『生命科学情報検索ガイドブック』のWeb版を2023年12月5日に公開しました

 本書は,インターネットのWebサイトでよく見られる「リンク集」をあえて“書籍”の形で提供しようという試みでした。インターネットの便利な点は,リンクをクリックするだけで関連Webサイトにすぐにジャンプできる点です。リンク集も,タイトルとリンク先のURLを記述するだけで簡単に作ることができます。ならば,「リンク集を作るんだったら,書籍じゃなくてWebサイトでいいのでは」というのが普通の考え方です。それをあえて書籍化したのには二つの理由があります。
 一つは,図書館に資料として置いてほしいことです。図書館に収蔵してもらうには,紙の書籍の形でしか基本的にありえないからです。
 もう一つの理由は,関連する組織や団体,企業などを横並びに見ていただきたかったことです。書籍版を製作するときも,世の中にある関係するはずのWebサイトなのに初めて知った組織が多く見られました。特に,研究機関や学会,博物館など,テーマごとにWebサイトを集めると新たな“気づき”があり,見落としがなくなるように思えたのです。自分が所属している組織以外に,関係のありそうな組織が意外にあるのではないか,そんな発見の機会になればと思っての企画です。特に,若い研究者や小学校,中学校,高等学校といった若い世代の人たちに,「生命科学」の幅広い世界の入口として活用してもらいたいという思いがありました。
 「書籍だとリンクをクリックできない」という欠点をカバーする方法として,すべてのリンク情報を二次元バーコードとして掲載しました。バーコードをスマホで読み取り,これをPCに転送してリンク先を表示していただく方法のご提案です。200を超える二次元バーコードを1冊に収めた書籍は,カタログ集以外には類例がないと思っています。

書籍版『生命科学情報検索ガイドブック』のイメージ

Web版は無料公開,情報もアップデート
 発刊1年を経過し,リンク集として使い勝手がいいWeb版として公開することにしました。
 もともと,各Webサイトの情報は,サイトの運営組織の所有物であり,これを並べただけの書籍を有料で売ろうという以上は,書籍としての企画力が問われます。また,当初の企画案における図書館への営業が今一つ振るわなかったことで認知度が上がらなかったと思われます。一般書店の店頭に並ぶ機会もなく,お目に留まることがなかったのではないでしょうか。
 今回,Web版を公開したのは,使いやすいリンク集としてぜひご活用いただきたいことです。企画の趣旨は変えず,無料でお使いいただけます。また,Web版公開に合わせて,情報のアップデートも随時進めています。
 一般的なリンク集は,せいぜい関連する10リンク程度か,あるいは同一テーマで網羅的に集めただけで,リンク先の保証がないことも多々あります。今回のWeb版は,半年以上かけて各サイトの運営者と連絡を取りながら,必要に応じてアップデートしたデータを公開しています。ぜひご活用いただければと思います。さらに,書籍版に興味を持たれた方は,ぜひ書籍版をお求めください。
 この1年の間に,Apple Vision Proを頂点とするMR(ミックスド・リアリティ)ゴーグル/メガネが続々と登場しています。単に目の前に大画面を表示するという使い方だけでなく,将来的には,メガネに取り付けたカメラで現実世界やバーコードなどを読み取り,情報検索をさらに容易にできる可能性も出てきました。関係者が全員,ゴーグルを着けて仕事をする社会が訪れるのはまだまだ先のことですが,そんな時代を先取りした本書のコンセプトにもご注目いただければと思います。

(大西)<2023/12/16>