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2022年観劇まとめ~宝塚本公演編~

2022年も終わりが近づいてきたので、今年の観劇記録を残しておきたい。まずは、メインフィールドの宝塚歌劇の本公演から。関東在住ということで、東京宝塚劇場で今年上演された作品をまとめておく。宝塚歌劇公式チャンネルの各作品の初日舞台映像リンクをつけるので、興味のある方はぜひ見てみて欲しい。

『元禄バロックロック』/『The Fascination』

公演:花組
主演:柚香 光、星風 まどか
観劇回数:3回(うち一回は配信)

お芝居の方は、新進の谷貴矢先生の作品。SF時代劇的な変わった世界観の作品だ。時間を巻き戻せる時計が作品のキーアイテムになっているのだが、設定についてはよくよく考えてみると色々と突っ込みどころがある。だが、あまり深く考えずに世界観とコスプレとパフォーマンスを楽しむぶんには良い作品。

ショーは、華やかな花組らしい作品で、ピンクや紫を基調とした色調が映える。柚香、水美、永久輝の3人はダンスが持ち味で、3人並んでのダンスは迫力がある。

『今夜、ロマンス劇場で』/『FULL SWING』

公演:月組
主演:月城 かなと、海乃 美月
観劇回数:6回(うち一回は配信)

お芝居のロマンス劇場は新生月組の目指す姿がはっきり見えた佳作。原作の魅力を損なわないようにしながら、舞台作品に上手く落とし込んでいる。ここ最近は、原作やコラボレーションが増えているが宝塚歌劇との親和性が重要だと感じている。その点でこの作品を選んだ小柳先生の眼は確かだ。

ショーのFULL SWINGはジャズナンバー中心のショー作品。派手さはないが、シブいカッコよさがいい感じ。ショー作品も組カラーを考えながらトップスターや組子の良さを引き出す作品作りがなされていることがわかる。残念だったのは、後日発売のDVD/BD販売においてクライマックスとも言えるシーンの音声が差し替えとなっていること。このあたりの版権問題も考慮して作品作りはしてほしいところ。

『NEVER SAY GOODBYE』

公演:宙組
主演:真風 涼帆、潤 花
観劇回数:2回(うち1回配信)

テーマは地味ながらフランク・ワイルドホーン氏の素晴らしい曲と小池修一郎の脚本、そして宙組生の平均値の高いパフォーマンスで見応えのある作品であった。

『夢介千両みやげ』/『Sensational!』

公演:雪組
主演:彩風 咲奈、朝月 希和
観劇回数:2回

お芝居の方は、問題ごとをお金で解決していく異色の主人公像と、どういうわけかそれにべた惚れのヒロインにどうも馴染めず。彩風咲奈は、朴訥とした役を自分のものにしていたが、シティハンター、夢介とイロモノ役が続いており、正統派な代表作がそろそろ欲しいような
ショー作品は、こんなに休みなく踊りっぱなしで大丈夫なのか心配になるほどダイナミックな作品。派手な演出に銀橋を惜しげなくつかうスタイルは満足感高い。

『めぐり会いは再び』/『Gran Cantante!!』

公演:星組
主演:礼 真琴、舞空 瞳
観劇回数:5回(うち1回配信)

お芝居は、ファンタジー風の世界観で、個性的なキャラクターがたくさん登場する。悪く言ってしまえば、わちゃわちゃした作品であるが、星組生のキャラクター作りには合っていると感じる。世間の評価は今一つだが、個人的には好き。全然関係ないけど、キャラクターの設定などがひと昔前のファンタジー系アニメ・ゲームっぽくて、小柳先生に親近感を覚える。

ショー作品は、タイトルの通りトップスター礼真琴の歌唱力に圧倒される。スペイン風の世界観も魅力的。ただ星組はショー作品が多いので、ちょっと擬視感を覚えるような場面も多かったかな。パフォーマーが多い星組のショーは楽しいから、組カラーを活かしているとも言える。

『巡礼の年』/『Fashionable Empire』

公演:花組
主演:柚香 光、星風 まどか
観劇回数:2回(うち1回配信)

お芝居は、著名な音楽家リストが主演で、ショパン、ジョルジュサンドなどの有名な人物の関係性が描かれる。柚香演じるリストはただ美しい。華やかに描かれる当時のサロンなどの様子も魅力的。ただ、作中でのリストの心情の変化がいささか唐突な印象もあり、観ている側の心情がついていけないところがあった。

ショー作品はおしゃれ帝国という名前だけど、これはおしゃれなのか??パーカーのフード部分にEmpireとか書いてあるんだけど。。個人的には若手がひたすら踊る To the Futureの場面がお気に入り。花組の将来が楽しみになる。

『グレート・ギャッツビー』

公演:月組
主演:月城 かなと、海乃 美月
観劇回数:5回(うち1回配信)

NEVER SAY GOODBYEに続き、小池修一郎先生の一本物。フィッツジェラルドの原作も結構好き。お話としては、昔好きだった既婚の女になんとか近づこうと向かいに屋敷を立てて機会を伺うという、冷静に考えると相当怖いストーカー男の話なのだけど、月城かなとが演じるとただただカッコ良い。君は薔薇より美しいなんて気障なセリフがハマる人はそんなにいないよ。禁酒法時代の酒場アイスキャッスルなどの場面の作り込みが凄まじく、流石は芝居の月組という他ない。

『HiGH&LOW』/『Capricciosa』

公演:宙組
主演:真風 涼帆、潤 花   
観劇回数:3回(うち1回配信)

お芝居はLDHとの異色のコラボ。清く正しく美しくが信条の宝塚と、反社会的・暴力的なハイローのコラボってことでどうなるかと思ったが、宙組生が各チームの役を作り込んできて、再現度はなかなかのもの。ただ、限られた時間でチームが5つ+敵+女の子チームで7つもあるので、各チームのパフォーマンスでほとんどの時間が割かれてしまった。お話は正直ちょっと安っぽい悲恋という印象。

ショーは、オーソドックスというかクラシックな作品という感じ。最近のショーは派手派手なもの、ちょっと奇をてらったものも多いのでこういうのもいいと思うが、悪く言うと尖った魅力に欠ける作品ともいえる。

『蒼穹の昴』

公演:雪組
主演:彩風 咲奈、朝月 希和
観劇回数:2回(うち1回はこれから)

浅田次郎の人気作品の舞台化。専科から大量の助っ人登板もあり、世界観の作り込みも含めて気合が伺える。舞台セットや衣装などもかなりの作り込みで煌びやかな紫禁城に圧倒される。原作が名作であるだけにお話はしっかりしており、大作を限られた時間に上手く収めるべく脚本も頑張っている。そして、雪組トップの彩風に本作の梁文秀という役はハマり役で、間違いなく彼女の代表作となるだろう。

個人的ランキング

最後に2022年度宝塚本公演の個人的ランキング。

芝居1位:グレート・ギャッツビー

小池修一郎の男のロマンを、月城かなとと月組生が体現し、1つの世界が出来上がっていた。楽曲も含めて完成度高い。

芝居2位:今夜、ロマンス劇場で

月組推しの贔屓目が若干入っている自覚はあるが、こちらの作品は打って変わって夢々しく、幸せな気持ちになる物語で非常に良かった。

芝居3位:NEVER SAY GOODBYE

小池修一郎作品も2つランクイン。行動の動機のようなところが若干弱いのだけど、楽曲・歌・演出のレベルが高く場面ごとの見応えがすごい。

ショー1位:Sensational!

出し惜しみしないという言葉が一番ぴったり当てはまる作品で、宝塚のショーを観たという満足感が最も大きかった。

ショー2位:Gran Cantante!!

やはり、今の宝塚でショーをやらせたら星組が一番であろう。それだけに、ショー作品を沢山やっており、目新しさがちょっとだけ薄れてきたかな。

ショー3位:FULL SWING

ショー作品として上記2作と比べるとやはり地味でクラシカルではあるが、それだけにベクトルの異なる魅力がある作品だった。

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