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【詩】空き地 / 夜明け

空き地


私の秘密の部屋は
誰にも知られてはいけないのです
ただ 空き地に似ているのです

子供たちが隠れん坊をするのに
きっと適しています
雪が降れば いつでも
新鮮な雪球を作ることができます

そこに立ち続ける 美しい境地
座らない 出られない 諦めの意地?

大地も空もないその場所は
ひっそりと涼しく薄暗い
そこに花火など放てば
獰猛にバランスが崩れるでしょう

その空き地はどんな夢を見るのでしょう
きっと 焦げて咲きたがるのでしょう
その稀な夢は 血のような深紅色で

ほんの小さな花が枯れたなら
私以外の誰に知られることもなく
色彩は失われ 元の姿を思い出すだけ

花やかな残り香だけは
ゆるく胸を締め付けるだろうけれど


2007/06/20
2011/09/03 改訂


夜明け


灯りを
ともせば 朝
けしたら 夜
そんな魔法の部屋を
こしらえた 君

引きこもって
笑った 僕
引きこもうとした

世界の小ささに
君は疲れていた
そこに残るのは
小さな流星だけ

僕の部屋は 朝
君は 逆光のせいで
深夜のようだった

何も見えないふりして
君を引っ張り返した
杖で殴られたけれど
気づかないふりをして

君の 夜 明けて
流星だけは残った
太陽の大きさを感じて
君は何を思うのか


2010/10/12


あとがき

 この2つの詩は、別々に創作しました。
 ただ、改めて読み返してみると、作成時期が近いことも含めて、ペアにした方がいい気がして、同時に載せました。

 空き地に似ている不思議な部屋を持つ私と、
 魔法の部屋にいる相手を連れ出す僕。
 ビフォーアフターみたいだなと。

 どちらの詩を書いたときも、もしかしたら私は、同じことを悩み、同じ何かを、誰かに言いたい気分だったのかもしれません。

 そして今、noteの記事として再び選び取ったということは、同じ地点に立っているか、眺めているのかも。

 ……はて、いったい何の話だろうか?(笑)

 自分の作品なのに理解しきれない私ですが、少なくとも、ときたま載せている過去の詩は、現在でも好きなものばかりです。

 でも、前も向いていたいから、そろそろ次は、新作を出せるといいな!


トップ画像はハタモトさんよりお借りしました。
画像が、両方の詩と合いそうな部屋のイメージだなと思いまして!(家具のない空いた部屋・朝か夜かわからない光加減)
この方、note8周年事業発表会公認レポーターをされるそうです。応援しています!


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