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汁なき道を。

ベトナム料理って、だいたいの女性は好きな気がする。
パクチーの好き嫌いはあるだろうけど、生春巻きとかフォーとか、なんとなくヘルシーで罪悪感が無いし。甘くてすっぱくてちょっと辛い、スイートチリのあの風味がクセになるし。ベトナムビールもおいしいし。

だから私も、たまに食べに行く。
そこのお店は現地の人がつくっていて、お客さんにもたまに現地の人がいる。
自家製の唐辛子ニンニク酢や魚醤など、いろいろな調味料がテーブルに置いてあって、自分好みの味に仕上げながら食べるのが楽しい。
壁にかかっている何枚かの写真はベトナムの街並みなんだろうな、どれも微妙に曲がっている。

フォーといえば、温かいスープに浸った汁タイプが王道だが、私はなかなか食べる機会がない。おいしそうだな、と毎回思うものの、ビールに合わせることを考えると、どうしても炒めあげた汁なしのほうを選んでしまうのだ。
私だって汁を飲みたい。澄んだスープを優雅に味わってみたい。
でも、シュワッとしたアレには、肉や野菜と一緒に油をまとったあっちのほうが絶対にうまいのだ。もっと言えば、今はビール以外の液体を体内に入れたくないのだ。
そうして私は今日も、汁のない道へと進んでしまう。

私にもいつか、汁フォーを迷いなく注文できる日が来るのだろうか。
どうでもいいようでいて、けっこう長年の悩みだったりする。
フォーだけではない、担々麺や排骨麺、ビーフンなんかにも共通する永遠の問題なのだ。

今日は時間が早めなので汁フォーチャンスか?と一瞬思ったが、昼前だからといってノンアルコールにする理由が私にはない。むしろ、昼前だから飲みたいのだ。

ということで、この日もビールと炒めフォー。
梅雨空が途切れてひさしぶりに晴れた休日の青空に、私の小さな悩みは流れていった。

「バーバーバー」と読むらしいベトナムビール。
食事と一緒に、と言い忘れたので先に来てしまい、ペース配分がちょっと乱れた。


牛肉の炒めフォー。乾麺ではなく生麺を使っているそうで、もちもちつるつる食感。
やっぱり汁なしで正解!

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